総理 大臣 野田 佳彦 殿
副総理大臣 岡田 克也 殿
外務 大臣 玄葉光一郎 殿
文科 大臣 平野 博文 殿
首相補佐官 長島 昭久 殿
基本的人権の尊重を求める会 代表 湯澤甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
憲法問題を語るとき、現在の憲法はマッカーサーに押しつけられたものと、判で捺したような言葉が常に連なる。
しかし、サンフランシスコ平和条約を締結し、国連加盟国になった以降、わが国がマッカーサーに押し付けられた理不尽な憲法条文は、我が国自身の決断によりすべて諸外国と対等のものに変更することに何の国際的制約がなくなっているのである。
マッカーサーに押し付けられたと他人のせいにするのでなく、自らの不甲斐なさを率直に認める勇気を持つべきである。
むしろ、マッカーサー憲法や国際人権条約の原文が、現在の憲法に何故書かれていないかこそ問題にすべきである。
第一に、マ憲法には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民と一体である」とある。現行憲法は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である」と、天皇と国民とを切り離している。
第二に、マ憲法は「人道を帯した全ての日本人は、家族・共同体の人々として尊敬される」と、人道重視を規定している。現行憲法は「すべて国民は、個人として尊重される」と、個人重視に変えている。
第三に、国際人権条約には「国民の家族や共同体の人々の固有の尊厳(習俗、習慣、領土、伝統、文化、法律等が含まれる)と国民の家族や共同体の人々の固い絆(愛情)を国民の基本的大義とする。この基本的大義について、国がこれを認知してあらゆる措置で尊重し保障する」とある。これが国民として最も大切なものとしている。現行憲法には基本的人権と誤訳された条文があるもその内容不明にして、国が認知したものが何も無い。国際条約違反である。明治憲法の教育勅語に相当するものを定めていないのである。
第四に、国際人権条約は「国民の自由と権利は、国連が創設したもので、締約国はこれを国民に保障する義務があり、しかもこれは基本的大義を常に増進擁護しなければならない法秩序を設けている。」現行憲法は「国民の自由と権利は、天賦のもので、個人の権利として尊重される」と、トンチンカンに解釈するのが正しいとされている。これも国際条約違反である。
ことごとさように、現行憲法は本来あるべき条文が欠落していたり、国際理解と正反対の解釈が各所でなされている。憲法に定める自由民主主義政治が排斥され、全体主義政治へと傾斜する政情こそが、憲法問題の根幹であることを想起すべきであると思料するのである。