近代文明は日本も西欧も神話から生まれた、黒船は東西近代文明の出会いであり、和魂洋才の真の意味とは
近代文明は日欧とも神話(叙事詩を含む)から生まれたものである、神話は日欧以外にも存在するが、日欧以外の神話には近代の要素が存在しないのである。神話の中の近代の要素とは、人間本来の感情・情熱・冒険心・知性などに基づく叙事詩であり、日本神話の「神語り・ヤマトタケル物語」などやギリシャ神話の「イリアス・オデッセイア」などである。西欧の近代文明は中世社会におけるキリスト教の重圧を宗教改革により排除して、ギリシャ神話の復興(ルネッサンス)により開始された。日本の近代文明も中世社会における仏教の俗世への影響排除(織田信長による石山合戦や比叡山延暦寺焼き打ちなど)を起点として始まり、国学研究による古事記神話の復興と,近代の要素を有しない外来思想の仏教の分離から発展したものである。日欧の神話の置かれた状況の違いは、西欧では多神教のギリシャ神話の世界はキリスト教により異端とされ、神々の神殿は廃墟(アクロポリスなど)であったのに対して、日本では、仏教導入後も伊勢神宮などでは1500年もの間、日々神々へ食事が奉げられ、また神の住まいも20年ごとに新築され続けていたなど神話世界は生き続けたことである。また、仏教導入後には神話世界は圧迫され、古事記は忘れられてはいたが、神話は昔話として生き続け、神話の中の近代の要素からは、近代的な詩歌文芸である万葉集や源氏物語などが創作されていたことである。したがって日本における近代文明の発展は、西欧の神話世界の復興(ルネッサンス)と違い、神話と仏教の分離であったと言えるのである。また日欧の神話の違いにおいて特に重要なことは、西欧におけるギリシャ神話は外来語(ラテン語)で書かれていることに対して、日本神話は母語(大和言葉)で書かれていることである。つまり日本において神話の近代的要素が母語で語られているということは、日本の近代化が真に自生のものであることを意味している、このことが世界最初の近代文学である源氏物語が創造された原因である。以上のとおり、日欧の近代文明がそれぞれの神話から生まれたという歴史からみると、幕末の黒船来航による西欧と日本の出会いは、西欧近代文明と日本近代文明の出合いであり、交流と葛藤の始まりであったといえる。また、西欧近代文明を取り入れたことを和魂洋才と言われ①と解釈されているが真の意味は②であり、さらに和魂の内容は③であったわけである。 ①和魂(日本精神)+洋才(西欧近代文明)②和魂(日本精神)+和才(日本の近代文明)+洋才(西欧近代文明)③和魂とは仏教、儒教などの外来思想(からごころ)を除いた、記紀万葉などの大和言葉により形成された日本精神のことである。★長い歴史の複雑な出来事を新しい視点から極簡略に書きましたのでわかりにくい点はご容赦ください。