日本神話というと誰しも古事記や日本書紀に記された神話のことであると考えます。

しかし、日本の国土と日本文明の基底である縄文文化(この二つは重複している)を基礎としてみると、北海道の続縄文文化の中から生まれたアイヌ民族のユーカラも当然日本神話と言えます。

ユーカラは世界の三大あるいは五大叙事詩と言われるほど豊かな内容と高い品格を有し、神話としても文学としても優れたものです。

つまり、日本には古事記に記された大和言葉日本神話とアイヌ語日本神話という素晴らしい内容の神話が二つあるということです。

ユーカラは北海道の豊かな自然の中での狩猟採集を中心とした生活を反映したものであり、稲作農耕社会を基礎とした弥生神話である大和言葉日本神話よりも縄文時代の神話に近いと考えられます。

  またアイヌ民族は、東北地方を中心に広くアイヌ語由来の地名が存在することから縄文時代には東北地方などにも広く暮らしていたと考えられていることとか、縄文人由来と考えられる日本人民族特有のD型遺伝子の保有率が高いことなどからアイヌ民族は純粋縄文人であると言えます。

 なお、火炎土器などを生み出した本土の縄文文化は自然と共存する農耕を行う半農耕文化であり、弥生文化は水稲稲作に依存した文化であったと考えています。