描きはじめ描きおわり。 | 日本画いろは 川村愛

日本画いろは 川村愛

福岡在住の日本画家 川村 愛 の【 ことのは帳 】です。
絵のこと。日々のこと。綴ってまいります。

お久しぶりです^_^;

新学期が始まって、
息子の入学式があり、
専門学校の授業開始と、
バタバタしてました(。-_-。)

桜もいつの間にか散ってしまい、
浮かれ気分も何処かへ行ってしまった感覚。

気づけばハナミズキが咲き始めています。


さて、先日の月1回の木の葉モール教室でのこと。

月1で少人数なので、のんびりやってます。
そんな中、『絵のやめどきって?』という話になりました。

なんせ月1なので、時間を長めに取ってるとはいえなかなか出来上がりません。
もういっかな、って終わっちゃうこともあります。
作品は描き手が終わりと思えばそこまでなんですが、
実際、ただ色を塗った、というだけでは仕上がったとは言えません。

特に日本画は段取りが必要です。
和紙を傷めないためと、絵具の特性上、やり直し塗りつぶしが出来ないからです。

私も行き当たりばったりのめんどくさがりなので、できるだけ最短コースで描きたいとあれこれ考えます。

まず、対象を見た時の感動をどう絵にするかです。

『わぁ、きれい!』

これだけだったら写真で十分(写真家の苦労はもちろん別物)。
でも、それを絵にするには、どこをきれいと思ったのか、ポイントを分析します。

いちばん伝えたい表現したいことを描くのです。

対象の雰囲気なのか、形なのか、色なのか。

その時のヒントは、言葉でもいいし、見た時に頭の中に流れたBGMでもいい。
あの人のあの絵ような絵にしたいわ、でもいいんです。

私がよく生徒さんに言うのは
『この絵にタイトルをつけるなら?』
先につけちゃう。子どもの名付けみたいですね。こうなってほしいと願う、みたいな(o^^o)

言葉ありき、描き方ありき、でもいいんです。
私はこのパターン。
描きたいように描くのが楽しいですから。

大抵の場合、最初に見た時の印象がいちばん良いものであることが多いです。

イメージを膨らませて、段取りを決めます。

そのイメージを膨らませるというのは描き足すだけでなく、削ぎ落とす、凝縮させることもあります。

まず5cmくらいのエスキースで構図を考え、色鉛筆などで目標とする色も塗っておきます。いわば小下図です。

形を描きたいから輪郭をきちっと描こうとか、
明るい絵にしたいなら墨をあまり使わないようにしよう、とか、
この色を出したいから下地はこれで次にこれ塗って最後にこう描く、みたいな。


そしたら、あとはゴールに向かって段取り通りに描くだけ。

途中で迷わない。
とりあえず段取り外の『こうしたいな』が生まれたら次の作品で使い、あくまでこの作品では段取り通り。

段取り通りと言うと、なんか塗り絵のようなつまらない絵になりそうですが、
最後の仕上げは大胆に。
壊す崩す潰す洗う勇気。

最初の感動に近づけるのが作品のゴールです。

対象を見て、描き始めるまでに何年もかかるもの、描き始めたら1日で描けるものもあります。
時間が評価されるのではなく、
大切なのは表現です。

長々書いてしまいましたが、
教室の皆さんがいちばん迷うところですので
自分のためにも再確認。


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