
「少年ゾンビ高橋。#17」
「痛てて……」
渾身の一撃をまともに受けた高橋くんはうずくまり、呻いていた。
「……生きてる……」
警棒のフルスイングに耐え、なおかつ意識を失わないゾンビ少年に驚きを隠すことができなかった。
……いまこそトドメをさすべきでは……?
警官としての責務と自身の安全が脳裏によぎる。
そう、高橋くんは屍と化した自らを維持し続けるため、西島巡査の肉体を乗っ取ろうと襲撃してきたのだ。これまでもずっとそうだったんだろう、挙句、この村は無人の廃村と化してしまっている。
「高橋くん……君は……この世界にいるべきじゃない。忌むべき存在なんだ、放ってはおけない……」
「お巡りさん。そうは言うけど適者生存ってやつじゃない? 僕だって好きで子供になったわけじゃないしさ」
「君はもっとも適してはいないんだよ。教えてくれ、いままで何人を犠牲にした……?」
「何人……? 覚えてなんていないよ。脳だって変わるんだ、記憶も刷新されてゆく。この『高橋くん』って少年の身体をもらう前は……」
そこまで言って高橋くんは目を閉じた。俯き首を振る。
「どうしても聞きたい?」
「覚えていることすべてを聞かなければならない。僕は警官だ、犠牲になった人々のことを調べなければならない」
冷静を装いながらも唇が震えていた。そこにあるだろう真実は、治安を法を揺るがすことになるのだと彼は確信していた。おそらく世代を超え、このゾンビは現世にとどまり続けたのだ。
「僕がいまの姿になる前は……」
一時とは言え、彼は僕の友達だった。きっとこの告白がすべてを壊してしまうだろう。
唾を飲み、続きを待つ。
「魚だったんだ」
さかな、か……。不憫だ、そのさかなは生きながら屍となり、やがてこのゾンビに……。
……さかな?
「え、ちょ、さかな? ど、どういうことだい高橋くん⁈」
「だからさぁ……」
思い出したくなかったんだよなぁ、高橋くんはぼそりと呟く。
「魚だよ魚。しかも、よりにもよって刺身にされちゃったんだ、酷い話だよ。いきなり体を切断されちゃったんだから」
「……刺身、ね」
「そう、刺身。よく食べるよね、ゾンビ化した魚の刺身なんて。で、お腹が減ってたのか、単に意地汚いのか、あきらかに腐っちゃってる刺身を食べたのがこの高橋くんとかいう子供だったってわけさ」
語り終えた高橋くんはやれやれと首を振る、二度と思い出したくないというように。
……魚で刺身かぁ。拍子抜けだな……。
西島巡査はそれ以上、問い詰める気が失くなってしまっていた。
【なんで刺身かと言えば、晩ごはんに刺身食べたから……的に続く】
【おふざけが過ぎてるゾンビの前回まではこちら】
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