「運命のひと」
さんざめく海飛沫、
いつまでだって聞いていられる、
それは甘くも優しくも、儚くも悲しくも、
気分によって変わる音楽、
胸の奥をつつくよう、
鼓動に近いリズムのようで、
ずっと想うはひとりだけ、
ずっと想うはひとりだけ、
深海の夢を見たんだ、
それは宇宙にいる気分、
ぽつんとひとり、漂うように流れてるのか、
いっそ一人たゆたうだけか、
淋しさと心地好さ、
その間の言葉になんてできないような、
覚束ない足だった、
溶けた氷を歩いてるよう、
ありがち過ぎるラブ・ストーリー、
王子が名無しに恋をする、
不良と聖女が愛を誓う、ありふれ過ぎた筋書きは、
誰もがきっと、心の隅に望んでいるもの、
レンガのカフェの名前はロジカ、
2階は空き家になっていて、
彼女はそこに暮らしてる、夜の晩餐呼ばれては、
ろくに吹けないハープを鳴らす、
酔い人たちは気づかないから、不協和音を響かせる、
そうそう言い忘れてた、
痩せてノッポでイヤミなくらいに磨いた靴を、
真夏にだって履いている、
まるで海が似合わない、
ダービーハットのキザなやつ、
ありもしない甘い嘘を売りつける、
自称の絵かきが来たら伝えて、
ずっと想うはあんたじゃなかった、
ずっと想うはあんたじゃなかった、
それでいいから、すぐに忘れてくれていいから、
思い出なんかにしなくていいから、
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⇒夏の光とカウガール
⇒対岸にトランペット
⇒うたかた
⇒放課後
⇒美しい世界
⇒森の日々と追憶と
⇒水の泣き声
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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)
あの人への想いに綴るうた




