
走行ギヤに切り替えたGT400は、微かに聞こえる信号を頼りに少しずつ速度をあげてゆきました。
発信音は一定でしたが、近づくにつれて大きくなり、それが救援を願う緊急用のものだと分かったからです。
声までは聞こえてきません。
でも同じアンドロイドが発する、特殊な音波は彼にしっかりと届いてきます。
「急がなくっちゃ」
残り少なくなったバッテリーのことも忘れて、GT400はその速度をあげてゆきました。
視界は変わらず、空からのわずかな光を跳ね返す凍りついた氷原でした。
「どこ、どこにいるの?」
救助信号を送ってきたアンドロイドはすぐそこにいるはずでした、けれど、片眼のGT400は遠くを見ることができても、すぐ近くのものがぼやけて見えます、あたりは暗く、警報にも似た音が聞こえてくるだけでした。
「ここだよ、ここ、なんだよ、君、壊れてんの?」
そう呼びかける声が聞こえてきました。
「……どこ?」
きょろきょろと辺りを見回し、GT400は声を探しました。
「あっ」
「早く治してよ、凍っちゃうよ」
振り返るとそこにはタイヤが外れ、氷の上に倒れたままのアンドロイドがいました。
自分と同じ、黄色いランプの眼が点滅しています。
GT400とは少しかたちの違う、イヌに似たアンドロイドがそこにいました。

illustration and story by Billy.
<続く>
前回までは……
星屑のロビンソン <1>
星屑のロビンソン <2>