思い出の花 -8ページ目

【旧作】止まった時間



shot~ショット~


家に帰っても
出迎える者は無くて
一人見つめたグラス
この小さなBARは
孤独な私を
微笑み迎えてくれる

今の私に甘いお酒は
似合わない
一人になった私は
いつものジンライム

時が経っても
一人が慣れなくて
また通い始めたBAR
この狭い空間が
寂しい私を
包み隠してくれる

透明なジンの光が
微笑む二人を映して
ライムの香りが
孤独を紛らす

また通い始めたBAR
BGMの
聴き慣れない洋楽は
私の過去を知らない
お酒だけの照明が
弱い私を隠す
このBARだけが
孤独になった私を
許してくれる

二人分の思い出
ポッカリ空いた隙間を
埋めてくれるのは
いつものジンライム

【旧作】止まった時間



replica~レプリカ~


“ただいま”の
言葉に
返る言葉は無くて
暗い部屋に
明かりを点けても
静まり返った暗い部屋

誰も居ない部屋は
空気が冷たくて
一人食事に
作った鍋も
虚しい空気は冷たい

昔 二人ままごとして
夢を語ってたね
理想の家庭だと思ってた
風が吹けば飛ばされて
雨が降れば傘も無くて―――
暮れかけた空に
“またね”の
言葉残して
ままごと遊びは終わる

“お帰り”の
言葉は返らない
“美味しい?”と
言葉は聞こえない
ただ……
部屋に残った二つの
箸と茶碗

温かい部屋は
あの日過ごした……
幼いままごとの夢

【旧作】止まった時間



doll~ドール~


君に僕は似合わないと
分かってる……

人形の様に色白で
人形の様に大きな瞳
愛くるしい僕の恋人

幸せが消えないように
ガラスケースに入れて
ずっとそばに
置きたいと願った

君と僕は続かないと
分かってた……

人形の様に無口で
人形の様に遠くを眺め
その瞳に僕は映らない

幸せな物語は終わり
人形になった君は
ショーウインドウに飾られた

もう話す事さえ
叶わない
もう目を合わす事も
叶わない
プリズムの光を放ち
大勢が見詰めるセルロイド

見詰めたショーウインドウに
自分の姿 反射して
僕は浅いポケットに
手を突っ込んだ

季節は流れ
流行と共に
ディスプレイは変わった
ショーウインドウに
君はもういない

思い出の中の
アンティーク人形を
ガラスケースに閉じ込めて
僕は見つめてる
愛くるしい
君を捜しながら……