白樺湖
黒髪に見付けし白き小枝
朝靄の立つ湖に小石を投げ入れた心地よ
抜いてしまえば誰も分からず底に沈みゆく心と波紋
鏡のやうな湖に面持ち映し見れば朝靄で頭が白んで見えた
悲しきかな白樺に囲まれた湖のほとりで月は霞み日は昇らず朝靄の中
吾が影は薄く白樺に紛れる
出羽の灯
毎年この時期に
見上げる空
遠く遠く
浮かぶ竿燈火
もう直ぐ訪れる
三夏の終わり
熱を冷ます風が
ススキを揺らす
砂利道が走る故郷を
裸足で歩く勇気はない
蝉鳴く声に
故郷の夏を重ね
見上げる空
遠く遠く
太陽は山へ傾く
傷心
言葉のナイフを
携えた女
鋭く見詰める男
鋭く言い放つ女
切り捨てられる男
刺さる言葉に切れた男と
さして痛くも無い女
返す言葉が
無くなった男
さじを投げる女
物に当たる男
無言で涙を零す女
傷口が開いた男と
傷が上手い女