このブログのタイトルを変換しようとして今、キセキとはミラクルの奇跡の事かと思っていたのですが、それだけではなく銀河鉄道の軌跡、鉱物研究家だったカケルにちなんで輝石や奇石、死者の名を記す帳面である鬼籍等、多くの意味が掛けられていたと気付きました。
6月11日、16時から日テレプラスで高橋大輔さん主演の「氷艶 十字星のキセキ」千穐楽LIVEを鑑賞しました。予想していたより大筋やエピソード、本当の幸いというテーマがかなり宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」寄りで意外でした。もっと脚色されているのかと(宮沢賢治は私が惹かれる作家のひとりで、いつか花巻市を訪れたいと望んでいます。理系の、硬質で透明感のある結晶の様な世界観が好きです。本当にレトロフューチャーというか、懐かしい近未来の様な。私の母方の大叔父が盛岡高等農林(現岩手大農学部)で賢治の10年位後輩だったらしいですが)。登場人物の三角関係の話になって行くかと思いきや、小説の様にカケルとトキオの精神的な愛の物語だったり。ユキは若くして病死した賢治の妹のトシを思わせました。村元さんの滑りは命の儚さと美しさをよく表現されていて、印象に残りました。
今回、直前で演出の宮本亞門さんが降板したり主役のひとりトキオ役が交替したりで、正直公演自体がどうなってしまうのか不安でしたが大野拓朗さん、長身の明るい好青年で、スケートも初心者なのに本当に頑張って下さったと思います。最初大野さんが銀河鉄道の夜でいうジョバンニでなく背の高いカムパネルラの方を演じるのかと思っていたのですが。二人の少年時代を演じた友野・島田両選手共、背格好やイメージが大人になった時とぴったりで感心しました。友野選手は、原作ではタイタニックらしき船の乗客が現代的に震災の津波の犠牲者に置き換えられた役を熱演していて泣けました。カーニバル衣装ではっちゃけていた島田選手も、彼をリフトする高橋さんも凄いですね。アイスダンスを学んでから、ソロと二刀流で表現の幅がぐっと広がった気がします。歌も上達されて素敵な声でした。今までの氷艶の様に派手な役では無いものの、演技も抑えた悲しみ等の感情を表現出来ていて良かったです。荒川さんの悪役演技もすっかり板について上手いと思わせますね。
最後はコンサートの様でしたが、役者の歌う挿入歌含めゆずの楽曲が作品世界のイメージにとてもマッチしていて、感動的でした。書き下ろしの「十字星」もですが特に「虹」は、日常の一瞬一瞬のかけがえのなさを感じさせてくれる歌声に熱い気持になりました。凡てのスタッフとキャストの皆様、素敵な作品を作り上げて下さって本当に有難うございました。
最近購入した雑誌。どれも若々しい高橋さんの麗しい写真にうっとりさせられますが、友野選手との対談が、今回公演の氷艶や滑走屋での出演者の後輩達との絆を感じさせて、特に良かったです。