PENTAX MV1 レポート | nico nicoのブログ

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昭和の時代に製造されたカメラの中で特に一眼レフを中心に取上げます。

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1979年....旭光学から発売された廉価版一眼レフカメラ....PENTAX MV1.....。

正直な気持ち、語る所も さほど無いカメラであるが.....。


......という事で久しぶりのブログ.....今回は PENTAX MV1 を取り上げます。


この MV1 というカメラですが、Mシリーズの系統として以下の様になります。


・ 1976年 MX

・ 1976年 ME

・ 1979年 MV1 <<<

・ 1979年 ME-SUPER

・ 1981年 ME-F

・ 1982年 MG


MX はMシリーズの中でも毛色が違う機種なので、立ち位置としてバカ売れした ME の次に発売された、廉価機種....とそれが MV1 いう事でしょうな。



ちなみに MV1 を紹介した wikipedia にはこの様な記載がある.....


1) MEベースの普及機(各部のパーツを共有しつつ、大幅なコストダウンとスリム化)

2) 軍幹部がプラスチック製へ

3) ファインダ内インジケータ表示を簡素化(シグナルインジケータと呼ぶ)

4) ASAHI という屋号が消え PENTAX というブランドが前面に

5) MV1 の 1 は キヤノン AE-1 からの影響から?

6) 撮影に専念出来る、ズームシステムカメラ


.....並べて見たものの、何とも華の無い残念感が漂う訳ですが、ここは逆手に取ってポジティブに考えてみようと思う。


1) MEベースの普及機(各部のパーツを共有しつつ、大幅なコストダウンとスリム化)


私的に ME という一眼レフは、非常に良く出来た機種として評価しており、合計2台所有しております。


軽量でありコンパクトであり、操作感および各パーツの質感もそれなりにあり、設計の段階でよく練られたカメラというのは、気楽に扱え、なおかつ撮影自体も楽しく、それでいて壊れない.....この3拍子が付いて回ります。


今回取り上げた MV1 と言う機種は ME の廉価版という位置づけの通り、気楽に使えるのは間違え無い.....。


ただ、この機種での撮影が楽しいか?...ここは人それぞれな部分もありますが、 

「いじっていて楽しく無いカメラは、使っていても楽しくない....」 

という私の中の格言に従うと、楽しい撮影シーンがイメージ出来ず、結局フィルムは通しておりません。


それでいて壊れない....この部分は明快です。


メカ機構に地雷を抱える ME super 以降のMシリーズとは一線を引く ME直系 の機構は、2014年の現代まで、正常に機能している事からも、無理の無い機構が故障知らず......こうしておきましょう。



2) 軍艦部がプラスチック製へ


AE-1 あたりから始まった量産一眼レフカメラは、電装系の保護とコストダウン、デザイン性も含めて、プラ軍艦を採用している機種が一気に増えました。


これも時の流れ....そう思えばしかたないのですが、凹んでも金属製の方が物としての価値は高く感じられます。


比較とした AE-1 は、それでも金属製的な雰囲気が残っていますが MV1 の方は安っぽさを感じるが故に、「 見せ方 」 という部分では、CANONの勝ちでしょうね.....。


そこまでの命運を背負ったカメラでも無く ME の廉価版ならば政治的に、MEは超えられない訳ですし。


3) ファインダ内インジケータ表示を簡素化(シグナルインジケータと呼ぶ)


ファインダ情報として左側(MEでは、シャッタ速度LEDが並んだ部分)に、露出の状態を示す 赤 緑 橙 の三色の表示が組み込まれ、これをシグナルインジケータと呼ぶそうです。


赤 = 露出オーバー(写真にはならない)


緑 = 露出はOK(おおむね?)


橙 = シャッタ速度が遅く、ぶれる心配あり(注意!)


こんなアバウトな感じで露出情報を、撮影者に知らせてくれる シグナルインジケータ ....。


多分、一眼レフ初心者向けに考案されたであろう機能であるが、そもそもこのMv1が発売された時代で一眼レフを使いこなそうという層は、シャッタ速度と絞りなどの撮影結果に反映される組み合わせを 知りたい・学びたい と思って購入していたはず.....。


当時の うるさ方....には叩かれたでしょうな MV1....。

思うに、シャッタ速度の見えない・分からない一眼レフカメラは、退屈なカメラ.....。


それならば、いっその事 Canon オートボーイ の方が幸せになれそうな気がしますぞ....当時の旭光学製品企画部の方....いまさらですが....。



4) ASAHI という屋号が消え PENTAX というブランドが前面に


この MV1 には ASAHI も AOCO もありません....。

あるのは ブランド名である PENTAX と 機種である MV1 だけです。


一つの伝統が消えたとか....思いがちですが、いつまでも1960年代の AOCOマーク では、来る1980年代の雰囲気には合わない....私的には ASAHI も AOCO も無くして正解と思いますね。



5) MV1 の 1 は キヤノン AE-1 からの影響から?


○○1 というネーミングは オリンパス OM-1 から始まった様に思えますが、その後 CANON AE-1 なども同様に 末尾に1 を付けており、ある意味この時代の流行だったのかも知れません。


OM-1にしてもAE-1にしても、意味ある 1 であったが MV1 には、どんな意味が隠されているのか、不明です。


あの時代...末尾に 1 を付けた方が若者受けする....そんな流行の意味ならば分かりますが......。


6) 撮影に専念出来る、ズームシステムカメラ


もはやズームレンズが一般化した現代から見ると、ズーム採用はある意味正しき選択であったとは思いますが、何も MV1 の機能を飾る為にズームを前面に出す必要があったのか.....。


チープで廉価な入門カメラだからこそ便利なズームを.....分からない訳では無いものの、ここはやはりチープな 50mm f2 でも付けていれば CANON T-50 購買層には受けたかもしれません。


品数を増やしたいが、経営資源的にには限られている.....販路拡大を狙いたい....流行とか市場とか ME super 発売までの間を....そんな当時の他社に押され始めた、庶民の為の一眼レフを供給しつづける PENTAX の焦りの様な.....何とも言いがたい迷いが、売れそうも無い MV1 を出してしまった.....そんな感覚を受ける私です.......。




.....そんな訳で、あまり語る所も見つからない PENTAX MV1 を無理やり取り上げてみましたが、ポジティブな記事で仕立てる事が出来ず非常に苦慮しておりました。


シャッタボタンがプラ製で もげる とか、巻き戻しクランクがプラ製で 破損 するとか、何でもプラを採用した結果の悪さと、ファインダ情報のショボさが 「今一盛り上がりに欠け、楽しさを感じられない」 カメラにしてしまった....一眼レフ購買層にあまり売れなかった理由....何か分かりますね。



それでもトラブル無く今でも正常に動作する機構については、真面目な設計者による誠意を感じる部分であり、例え廉価であっても信頼性の部分においては手を抜かない.....物づくりのある種の手本.....今回はこう締めくくろうかと思います。


......おしまい