Life in the Lone Star State -137ページ目

日本のロースクールは大変みたいですね

日本のロースクール制度が岐路に立たされているようです。

多すぎた法科大学院…新司法試験、崩れた構想

記事によれば、今年の合格率は27.64%だそうです。法曹の質を維持するために、絶対的な合格基準を設け、一定の水準を満たしていない受験者は不合格にするという現在の運営方針自体は、それほど不合理ではないと思います。

差し当たり現在の問題は、当初ロースクールを卒業すれば7、8割司法試験に合格するという触れ込みだったのにもかかわらず、実際には3割以下しか合格させていないという点なのでしょう。

記事によれば、「当初、適度な学校数と考えられていたのは20~30校」だったのに、「実際には74校が乱立し、定員は約5800人に膨れた。」ことが合格率の低下につながり、当初の7~8割の合格という目標を大幅に下回ることになってしまったとあります。

そもそもなぜ当初20~30校が適度な学校数と考えられていたんでしょうか。大学側にしてみれば、ロースクールを設置せずに法学部だけを設置するというのは片手落ちで、法学部を持っている大学はどこもロースクールを開校したいと考えるのが当然じゃないでしょうか。それを20~30校が適度だと言ってみても見込み違いだったと言わざるをえません。

それでも、認可基準を厳格にして実際にロースクールの数を絞ればよかったのでしょうが、実際には想定の倍以上のロースクールが認可され(これを乱立と呼ぶのも違和感があります。当然の結果だと思いますが。)、結果的に合格率の低下を招いたということだと思います。

結局、ロースクールを管轄する文科省が、ロースクールの「乱立」を止めることができず、そのつけが学生に回ってきているという構造で、学生にとってみればこれはとても不幸なことだと思います。

ちなみに、アメリカの各州が実施する司法試験の合格率は70~80%程度です。以前もこのブログで書きましたが、NY州の場合は外国人の受験者を含めてこの数字で、ロースクールを卒業したアメリカ人の合格率だけだと90%を超えています。要するに、ほとんど全員が受かるということです。同僚のアメリカ人の弁護士に聞いたら、みんな多額の借金をしてロースクールを卒業するわけだから、司法試験の合格率を落とすことはできないんだみたいなことを言ってました。日本ではこのロジックはなかなか受け入れられないでしょう。

今年の合格水準に達していた人が2000人程度しかいなかったということは、日本では受験者の7~8割合格させるためにはロースクールに入る段階で2500人以下に絞らないとダメということになります。ロースクールへの入学段階で落とされれば、3(2)年間という時間と数百万円の投資を無駄にする前に方向転換できるし、仕事を持っている人も辞めなくて済むし、今よりはマシなんでしょうかね。でもそうすると、今後はロースクールの入学試験に通るのが旧司法試験並みに難しくなるのかもしれませんね。

ただ、各ロースクールがこの入学試験の内容を工夫することで、ロースクール毎に自分たちが考える今後法曹に入ってほしいタイプの人材を集め、彼らを2,3年間みっちり責任を持って鍛えて合格させるというような方向性に出きたらいいんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。理系出身の人を求めるロースクール、経済畑の人を求めるロースクール、ITに詳しい人を求めるロースクール、スポーツ界出身の人を求めるロースクールなどなど、独自色を出せば未修者の受験生としても大学選びもしやすくなるように思います。

いずれにしても、法曹の質を維持するという点が譲れない以上は、どこかで厳しい選抜があるのはやむをえないことです。(ここがアメリカと決定的に違うところです。)

受験生の皆さんのご健闘をお祈りします。