最強の人生指南書
佐藤一斎「言志四録」を読む
著者 齋藤孝
発行所 祥伝社
2010年6月10日初版第1刷発行
ここで初めて知った気がしていましたが、
無意識？ たまたま？
ブックオフさんで110円とお安く売っていたので
大意もなく数日前に購入していました（驚）。
とりあえず
「はじめに」や「序章」
を読ませて頂いてから、
はじめて読ませて頂いた言葉（条項）に
心射抜かれました（笑）。
一の字と積の字は、常に畏れ謹まなければならない。
善悪のきざしは、すべて最初の一念によるところが多く、
また善が固まるのも悪が固まるのも、
いずれも初一念が積み重なった後の結果であるわけである。
「一の字、積の字、甚だ畏る可し」
この表現のおもしろさが、まさに佐藤一斎の才能だと思います。
普通は字など畏れません。
しかも「一」という字を見て畏怖の念を抱くなんて尋常ではありません。
漢字は中国の偉大な発明です。
その偉大さを彼はきちんと受け取っていたからこそ、
「一」という一字に、そして「積」の一字に
これほどに深い意味があるのかという畏怖の念を抱いたのでしょう。
では、これらの字の何がこれほどまでに佐藤一斎を畏れさせたのでしょうか。
それは、簡単に言うと、漢字一字がコンセプトだということです。
小さなことの積み重ねが、とんでもないところまで行ける唯一の道である。
だから一の字と積の字は思るべし。
人生はつまるところ、一の一字であると言ってもいいし、
積の字であると言ってもいいわけです。
つなり、人生という訳のわからないものに対してさえも、
この一字をもって代えられるようなコンセプト性の強さを
これらの漢字は持っているということに、
彼は感動に近い畏れを感じているのです。
コンセプトであるということは、
すべての漢字に共通する「漢字」自体のよさと言えます。
でも、その中でも、特に「一」と「積」の包容力はすごくて、
この二つが揃っているとだいたいのものが収まってしまう。
たとえば、
「一は最初の一歩、積はその積み重ね、世の中のことはすべてこれに尽きる」
そう言われると、そんな気がしてきませんか。
また、一と積という字を書いて部屋に貼っておくと、
それを見ただけで、一つひとつをきちんとやることが結果になるのだ、
というような気持ちになれるので、日々の行動が変わっていくはずです。
おそらく、いまこの「一と積」を理解して実践してる人でもっとも有名な人は、
イチローでしょう。彼は、「一と積」がわかっていると思います。
彼が二〇〇本安打を打てるのは、二〇〇本目をイメージしてはいないからです。
毎試合、常に次の一本と思って打席に立っているはずです。
実際、イチローは、小さい一つひとつのことを大事にし、
それを積み重ねることによってのみ、
とんでもないところに行けると語録で言っています。
このようなシンプルな考え方は、人生に役立ちます。
佐藤一斎はこう述べています。
「一物を多くすれば斯に一事を多くし、
一事を多くすれば斯に一累を多くす。（録・219）」
（物が一つふえれば、やる事が一つふえる。
やる事が一つふえれば、わずらわしさがふえる）
物が増えると、面倒も増えていく。
だから、できるだけいろいろなものを減らしていくのがいい、
そうすればストレスも減って集中できるようになる、ということです。
一点豪華主義という言葉がありますが、
あれは一つの贅沢なものに集中するということなので、
この場合とは少し違います。
この場合は、もっと全体をシンプルにしていくというイメージです。
簡素化といってもいいでしよう。
やるべきことが限られれば、そこにエネルギーが傾注できるので、
集中力が増していくのです。
即今当処自己
一瞬一瞬を
積み重ねるのが
人生かなと感じます。
一打一打に集中して
一打一打を積み重ねて行くのが
ゴルフですよね。
大切にしたい言葉です。
西郷隆盛が
「手抄言志録」
に採取した条項
などを中心に
他の言葉も
読ませて頂きたいな
と思います。
それでは、皆様、本日も
楽しくお過ごし下さい。
最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。
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