『影なき陰獣』 | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

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『影なき陰獣』

“I CORPI PRESENTANO TRACCE DI VIORENZA CARNALE”

アメリカ題:TORSO

【1973年/イタリア映画/モノラル/ビスタサイズ/93分】

 

 

◆監督:セルジオ・マルティーノ
◆製作:カルロ・ポンティ
◆音楽:グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス

★スージー・ケンドール【ジェーン】
★ティナ・オーモン【ダニエラ】
★リュック・メランダ【ロベルト】
★ジョン・リチャードソン【フランツ教授】
★ロベルト・ビサッコ【ステファノ】

イタリアの古都ペルージャを舞台に女学生が猟奇的殺人に巻き込まれるジャーロ物としては結構有名な作品。昔から評判の良さは聞いていましたが、いざ蓋を開けてみると古臭さを感じさせる安っぽい火曜サスペンスもどきなストーリーで消化不良。

【銀行強盗ちっくな覆面姿の犯人】


女の脱ぎっぷりはいいんですが、顔立ちが昭和と言うか大正辺りの人物にしか見えなくて有難みが感じられずヒッピー文化全盛の頃ですからクスリを煽ってラリパッパでフリーセックスなビッチは死んで当然と特別犯人探しが気になる訳でもなく地味な展開。

【ダニエラが鈴木杏と瓜二つで困惑…】


古風な町並みや当時のファッション、そしてミニクーパーやビートル等やたらとカラフルな車が登場するのはモーターショー並みに楽しいです。犯人の動機も不純すぎるし、あれごときで神経ピリピリしてたら世の中渡っていけないですよw
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【イタリアンホラーではお馴染みの人形が
キーアイテムとして使われています】
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ヒロインのスージー・ケンドールの魅力を
全く引き出せておらず実に勿体無い。

【別荘から下界の人々に助けを求めるべく手鏡キラキラSOSを発信するも、鏡にスタッフが写りこむという爆弾オチが…】
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これより3年も前にダリオ・アルジェントが
ケンドール主役で撮った『歓びの毒牙』を観ているとやっぱアルジェントは女性の美しさを引き出す抜群のセンスを持っているなーと思い知らされます。

残酷描写はエゲツない物に挑戦しているものの、特殊効果がマネキン過ぎて迫力に欠けます。ただ犯人の視点で考えればマネマンに見えなくも無い?そこまで深く作りこまれているのなら大したものですが。。もう少し陰湿かつネチネチした描写が観たかったです。

【この糸ノコが絶大な威力を発揮するかと思いきや。。】
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日本でも76年に劇場公開されていますし、
グロ描写が売りという評判ばかり耳にしていた幻の映画でしたから過度に期待したぶん
肩透かしを食らった感じは否めませんでした。隔絶された別荘でのスリリングな展開も
スージー・ケンドールの天然ボケばかりが目だって 盛り下がりますし…。ムードはあるのに徐々にボルトが緩んでいくあと一歩、もう一歩な出来栄えでした。

サントラは99年にRCAより初音源化されたのち、08年5月にディジット・ムービーズから完全盤がリリース。ラウンジ系の甘いメロディが陰惨な事件を洗い流してくれるようで耳に残りますね。ヒッピー集団が踊る場面で演奏している人物がデ・アンジェリス兄弟だったら面白かったのに。

【イタリア映画はタイトルが長くて覚えるの大変】
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【犯人登場時に流れるテーマ曲とかネタバレじゃんw】
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【全33曲、総時間71分と盛り沢山!!】
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音声はイタリア語がオリジナルみたいですが、ヘッドフォンで聴くとノイズが酷くて
DJがターンテーブルを逆回転する時に鳴る
「ビュワッ!」って感じのノイズ多発で疲れますわ。画質は73年の作品にしては肌の質感やシワがよく確認できるので良いほうではないでしょうか。国内版のマスターとなったブルーアンダーグラウンド社ではブルーレイもリリースしましたから。

それと昔出ていた国内版DVDではカットされていたらしい場面の復元箇所は全てイタリア語のシーンしか残存しておらず英語音声で聴くと幾度となくイタリア語に切り替わるため落ち着いて観れないかも。。オルタネイトOP&EDも特段変わり映えするものではなく
単に文字が違うだけとか、そういった類のものでした。