拡大世界遺産⇒「ハロン湾+カットバ群島」 | nezumiippiki

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2023年9月、ベトナムのハロン湾がカットバ群島を加えて拡大した。

そのカットバ群島こそ世界遺産としてのハロン湾の景観と自然をより有しているのだが、なぜかこれまでカットバ群島は世界遺産には含まれていなかった。

世界遺産のハロン湾が拡大した時のニュース記事に、「ベトナム初の省をまたぐ世界遺産」と説明が加えられていた。ハロン湾はクアンニン省、カットバ群島はハイフォン市。

もしかして行政区の張り合いでもあったのだろうか?

 

 

地図で詳細にみると、ハロン湾クルーズの船が訪れるエリアはごく狭いエリア。Sung Sot Cave周辺に限られている。

 

一方、カットバ島とランハ湾と称される群島エリアは国立公園でもあり、景観美のみならず固有種を含む多様で貴重な生態系の宝庫となっている。

日本ではハロン湾のみが知られていて、カットバ島やランハ湾に来るツーリストはとても少ない。しかし、欧米のツーリストは以前からツアーでも個人旅行でも、カットバ群島の方が人気なようで、滞在日数も多いように思われる。なぜなら、バックパッカーの若者たちも大勢見かけるからだ。

 

筆者がカットバ島に興味を持ったのは、その国立公園で起きた実に残念な出来事があったからだ。

1986年にカットバ島の多くの面積を占める17,363ha(東京都区面積の約2.8割)が国立公園に指定され、この島の固有種にして絶滅危惧種に指定されていた霊長類、ホワイトヘッド・ラングール、通称カットバ・ラングールの存在が知られることになる。

 

赤ん坊は全身金髪、1歳半以降黒い毛に替わりはじめ、大人になって頭が白くなる。

 

当初3,600頭ほど確認されていたが、90年代中頃から中国からのツーリストが来るようになり、そのラングールの密猟を始め、2003年にはわずか40頭まで減少してしまっている。中国人がラングールの密猟をしていた(実行犯は金銭で釣られるベトナム人)のには、中国人特有の思い込みと思う。色々調べると、ラングールの恐らく何かの特定の部位か何かが、強精剤としてモンキーバーム(軟膏)の原料にされてしまっていた、ということのようだ。

Cat Ba Langur, Trachypithecus poliocephalus - New England Primate Conservancy (neprimateconservancy.org)

 

 

同じことは東北インドでも起きていて、これも中国人だが、インドサイの角が強精剤に良いとかでハンティングされ、バングラディッシュやブータンなどで実際に絶滅してしまっている。

アッサムにある国立公園にして世界遺産のカジランガ行ったことがあるが、今も密猟者がサイの角を求めてくるので公園のオフィサーはライフル銃を常に携帯した。実際、彼ら密猟者たちと時に銃撃戦にもなると言っていた。

写真で見たが、密猟者に捕まったサイは銃で殺され、角だけ切り取られて惨たらしい姿だった。ところでそのサイの角、足の爪と同じ成分で、それを幾ら煎じて飲んだところでなんの効果も無いと、いくら中国人に呼びかけても聞く耳全くないらしい。

”Shoot us with Camera Do Not shoot with Guns”

日本では考えられないサインボードですね。

 

ということで、カットバ・ラングールの何が人に効果をもたらすと考えているのか、相当に疑わしい。

そのラングールだが、2023年12月の段階で80頭まで確認できているようだ。

一旦、絶滅寸前まで減少してしまうと、そこからの回復はかなり難しいらしい。

 

ということで、そのカットバ・ラングールに是非お目にかかりたいと思い、今回カットバ島に初上陸を計画した。

海からの様子も見たいので、カットバ群島の1泊クルーズも予約。

クルーズ会社はパラダイスで、クルーズ船の名前はパラダイス・グランド。

都合の良いことにパラダイスは、クルーズ船発着のトゥアンチャウ島にパラダイス・スィートホテルも持っている。

 

パラダイスはハノイ市内からのピックアップ、ハロンまでの送迎サービスもしてくれているので便利。

送迎車は豪華なバン

 

ハノイのホテルは旧市街なら何処にでもピックアップしてくれるということなので、中心も中心のハイベイホテルを予約した。

後で、何故ピックアップ・送迎サービスは旧市街だけなのかと聞くと、欧米のお客さんの多くは旧市街のホテルに泊まるから、なのだとか。つまり、パラダイスのお客さんの多くは欧米ということらしい。

 

送迎の高級バンは既に3名の客を乗せて、8時少し過ぎにホテルまで迎えに来てくれ、もう1人のお客を他のホテルでピックアップし、8時半前にはハロンに向かって出発している。

 

立派な高速道路を約2時間半、途中でドライ分休憩。

 

クルーズ船発着のトゥアンチャウ島には10時頃に到着。

この時期はオフシーズンでそのままホテルにチェックインし、着替えてフェリー乗り場に移動。

フェリー乗り場にはカットバに滞在する欧米のパックパッカ-も集まってくる。

 

フェリーは11:30発に乗船、所要時間約50分。

運賃、人間のみ366円(‘24年2月22日レート)

ホテルに頼んでランチボックスを用意してもらい、船上でサンドイッチのランチ。

島内での車はホテルに依頼。

フェリーターミナルと国立公園入口の往復。

 

国立公園には6つのトレッキングコースがあるとかで、本来はカットバ・ラングールを見られる可能性のあるコースへ行きたかったのだが、そのコースを行くには終日を予定しなくてはならず、そうなるとカットバ島に泊まらなければならない。しかし、今回その時間はない。ということで、昼のフェリーで来て夕方のフェリーで帰る範囲で行ける一番短いコースを行くことにする。まずは、どんなものかトライアル。

国立公園の入り口はカットバ島のほぼ中央。

入園料488円(‘24年2月22日レート)

そこがキムジャオの森。グーラムの頂上は標高225 m、公園入口から往復3Km。

さすがジャングル、長~いムカデ?

 

ジャングルトレッキングとしてはとても整備され、斜面部分は石段になっているコースなので誰でも楽に楽しめる。

実際のトレッキング入り口からの往復は2Km。

年配者から子連れまで、殆どのトレッカーは欧米人でピーク近辺では列をなすほどに、そして狭いピークでは人が多くて更に狭くなっている。

展望台から頂上を見上げる

ピークまであと数メートル

 

カットバには欧米人が多いとは聞いていたが、それは確かだ。

公園入口から戻ってくる間、1時間半の間にアジア人は筆者の他に男親に子供2名以外見かけなかった。

眼下に公園入口、公園関係の施設が見える。

 

カットバ島のど真ん中、グーラム頂上から360°のカットバ島の山々は他では見られない異世界の景観。

この時期特有のどんよりとしたガスがかかっている。

海からの眺めと合わせてライムストーンの世界を堪能です。

帰りは4時のフェリーでトゥアンチャウ島に戻り、スパでマッサージトリートメントを受け、ディナーを取ってぐっすり就寝です。

明日はパラダイス・グランドで1泊2日のクルーズ、海からのカットバ群島と島内のベトハイ村散策です。