今年の1冊目は韓国の小説を読みました。以前フェミニズム文学が注目された時に「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んだことがあり、これが2冊目です。
2014年のセウォル号沈没事故、それに端を発するキャンドル革命に関心を持つことがあり検索してみたら、この小説がヒットしたので読んでみました。
ファン・ジョンウンさんは私とかなり年齢の近い作家でした。この小説に関しては純文学的というか、エンタメ的ではなく、人の内面を表現しようというような文章でした。
内容としては、セウォル号事故、キャンドル革命を背景とした「d」「何も言う必要がない」2篇の連作小説です。
もちろんネット検索すれば、それらの出来事の概要を知ることは出来ます。知りたかったのはその時の空気とか、当事者や一般の人達が何を考えていたのか?といったことです。
あとがきにもありましたが、2010年代半ば、若い世代を中心に、競争社会の中で頑張っても報われないというような息苦しさがあり、加えてセウォル号遺族による抗議行動に嫌悪を示す風潮があり世論が割れていたようです。
小説の中にも重苦しい雰囲気は感じられました。
また、韓国の革命の歴史、国民の闘いの歴史が背景にあり、それが2017年の大統領弾劾裁判でひとつの達成を見たという面があったのかと思いました。ただし闘いは終わりではないという。
2つの小説は弾劾要求のためのキャンドル集会の場面て繋がっています。
革命とか戦争とか、日本よりも近いところにあるような感覚があるのかもしれません。芸能人でもすごく内省的というか哲学的というか、すごく深く物事を考えているという印象を受けることが時々あります。そこに違いがあるのかなと感じました。
読んでいてすごく気になったのは性別に関する記述です。「d」では主人公の性別はわからなくなっていて、「何も言う必要がない」ではおそらく彼女であるところを彼と表現している。そういったところもすごく意識が高いと感じました。
それと、エヴァンゲリオン、スカイクロラなど日本のアニメに関する記述もあり、すごく日本は近い存在なんだとも思いました。
もう少し他の本なども読んで隣国について深掘りしてみようかと思います。