暑いですね…。
また今年も、これが挨拶になる時期がやってきましたね…(笑)
しかし、春の怪談シリーズにもう少しお付き合い下さい。
さて、今日の話はかなり幼い頃の話です。
小学生の頃、私の住んでた町は本当に田舎で、1~2年生は分校が
あり、3年生から本校と呼ばれる校舎まで通う事になってました。
学校までの道のりは約4キロあり、そこまで毎日山道を歩いて通って
ました。
5年生になった春ですかね…。
新しいクラスのメンバーと仲良くなり、その日学校の帰りその友人の
家へ遊びに行く事になりました。
田舎の家ですから、家族が誰か家にいると言うのが普通の光景なの
ですが、その友人の家は珍しく、両親ともに仕事で昼間は家には誰も
いない。
そんな家だったように記憶しています。
やけに暗い家の中。
その友人の家特有の匂い、そして冷えた空気。
それがすごく印象的でした。
そして田舎の家です。異常に広いのです。
「部屋行こうぜ。」
と言われて、その友人の部屋に入りました。
ちょうど学校は昼までで、その友人が、
「俺んちでメシ食えよ。」
と言ってくれて、友人の家に来たのですが…。
「お好み焼きとか食うか…。」
と言って、部屋を出て行きました。
友人が、妙に大人に見えましたね…。
私と、もう一人の友人は、その友人の部屋で待っていました。
無造作に置かれた漫画を読んだりしていた気がします。
そこで、ふと、少し開いている押し入れが見えました。
その押し入れの中に青いビニール袋、いわゆるゴミ袋が見える
のです。
友人が、コーラの瓶をもって部屋に入ってきました。
「テーブル出すね。」
と言って押し入れを開けました。
するとそのビニール袋の全貌が見えたのです。
ゴミ袋にパンパンに入った1円玉でした。
「すごいなー。この1円玉。」
大人になって冷静に考えると、普通に集めてもそんな1円玉は
集める事は出来ないでしょう…。
しかもゴミ袋1つじゃなくて、幾つもパンパンに入ってました。
「あー。親のやつ。」
って言って、友人はそのゴミ袋を引っ張り出しました。
5~6袋あった気がします。
いくらくらいあったんでしょうね…。
一緒に来た友人はその1円玉に興味深々でした。
しかし、私はその1円玉の奥にあった袋に気を引かれました。
妙にその袋が気になるのです。
「あれ、なに…。」
私は押入れの奥の袋を指さしました。
「ん…。これか…。」
友人はその袋を引っ張り出しました。
青いビニール袋とは違い、幾つもの紙袋でした。
「これ気持ち悪いけど…。」
と友人はその袋を開きました。
そこには大量の位牌が入っていたのです。
しかも無造作に袋に詰め込まれるように…。
「何これ…。」
私は思わずそう言った気がします。
「わからんけど…。これ気持ち悪いやろ…。」
その友人はそう言って、袋を閉じて、押し入れの奥に戻しました。
袋に大量に位牌を入れる事なんて、今考えるとまずないのです。
一緒に1円玉の袋も押し入れに戻しました。
「もう少し待っといてなー。」
そう言うと友人はまた部屋を出て行きました。
「なんやろうね。ちょっと怖いなー。」
もう一人の友人も気持ち悪がってました。
私もそう思いました。
その後、友人が焼いてくれた決して美味しくないお好み焼きを食べた
記憶があります。
その後、夕方までその友人の部屋で遊んでいました。
夕方帰ろうと言う事になり、部屋から出ました。
もう友人の母が帰ってきており、声がしてました。
私ともう一人の友人は、友人の部屋から玄関まで歩いて行きました。
「もう帰るんか…。気を付けて帰りよ。」
と友人の祖父でしょうか、声を掛けられて、挨拶をしました。
「さよならー。」
そう言って靴をはいて外に出ました。
靴をはいて外で待っていると、友人は自転車を押して、家の裏から
出てきました。
途中まで送ってくれるt言うのです。
3人で途中の大きな道まで歩いて行きました。
「そういや、お前のじいさん、挨拶したよ。」
私はその友人に言いました。
「は…。うち、じいさんおらんよ。」
「え…。」
私はもう一人の友人と顔を見合わせました。
「おったよな…。」
「うん。」
「いや…じいさんなんて俺が小さい時に死んだし…。オヤジも今日は
まだ帰ってないし…。」
背筋がぞっとしました。
あれは一体なんだったのでしょうか…。
3人で絶対幽霊だと言う話しになり、その日はいつもより早足で帰った
気がします…。
その翌週、その友人は学校を休んでいました。
数日後に学校に来たその友人に聞きました。
「あの日の夜から熱出てなー。今朝まで熱引かんかってよー。」
とけろっと友人は言うのですが、目の下のクマは普通じゃなかった様
な記憶がありますね…。
「風邪か。」
「いや…違うみたいで。」
そう言うと友人が私の肩を抱いて、教室の窓際に連れて行きました。
「あの気持ち悪い位牌見たやろ…。あれを昨日オヤジがどこかに持っ
て行ったんよ…。そしたら熱が引いてな…。」
友人の部屋の押し入れにあった大量の位牌。
それを見た後に友人が出した高熱。
その位牌を処分した後、その高熱が引いた。
無関係ではないのかな…。
今でこそ、そう思いますが、その時はただただゾッとするだけでした。
私はその1年後に父の仕事の都合で転校する事になり、その後その
友人とも会っていませんが…。
いまだに、あの大量の1円玉と位牌…。
不思議です…。
TODAY'S BGM 「秋桜」 平原綾香