雨というモノも季節によってその姿を変えます。
春の雨、夏の雨、秋の雨、冬の雨。
違いますよね…。
私は傘を差すのがあまり好きではなく、雨の日は外にあまり出たくない
人です。
しかし出ないといけない事もありますよね…。
そんな自由人ではありませんし(笑)
今日の話は、春の雨…春雨って言うんですかね。
そんな日の話です。
あまり通りたくない道ってないですか…。
なにも無いのでしょうが、なぜか気持ち悪いとか、寂しいとか…。
その日もその道をどうしても通らなければいけなくて…。
深夜にその道を通ってました。
ホントに春雨というか細かい霧の様な雨が一日中降り続いた日でした。
「この道って気持ち悪いよな…。」
横に乗っていた友人が、突然そう言いました。
私も言おうとしていたのですが、怖がらせてはいけないと、その言葉を
飲み込んだところでした。
「そうやなー。俺もあんまりこの道は好きじゃないな…。」
なんて言いながら走ってました。
すると少し先に見える林の様になっているところに女性が立ってました。
私より先に友人が気がついたのです。
「おいおい…。びっくりするやん…。」
その女性を見て友人は身を縮めてそう言ってました。
私はその友人を見て、笑いながらその女性の事を通り過ぎました。
友人は車の中で振りかえり、小さくなるその女性をずっと見てました。
「おー大丈夫や…幽霊じゃなさそうやな…。」
などと言って笑ってました。
「幽霊やったら俺には見えんやろうしな~。」
などと…。
そのまま何事も無く、私と友人は用を済ませて、またその道を帰りまし
た。
まだ春雨は降り続けてました。
時間は深夜0時を少し回ったくらいだったと思います。
来る時に女性を見た場所を再び通る事に…。
「あれ…。あんなんあったか…。」
友人はそう言います。
「なに…。」
来る時に女性が立っていた場所に祠の様なモノがありました。
私はその横をゆっくりとスピードを落として車を走らせました。
そこには新しい祠に地蔵が祭られていました。
そして真新しい花が供えてありました。
「誰かここで死んだんやな…。」
それは明らかでした。
身代わり地蔵というのでしょうか…。事故の現場によくまつられる地蔵。
そのまま私はその場を通り過ぎました。
「さっきの女ってもしかして…。」
などと冗談のように二人で話しながらその日は帰りました。
そのまま忘れてしまってたのですが…。
数年たったある日。
別の友人が彼女が出来たんで紹介すると言われ、出かける事になり
ました。
少し離れたファミリーレストランへ。
その友人らしからぬ彼女で、ものすごく真面目な明るい子でした。
そこは今回の本編に関係ないので…(笑)
「数年前に彼女のお姉さん事故で亡くなってなー。」
とその友人が言います。
「そうなんや…。」
「すごい仲良かったんで、私もつらくて…。」
と友人の彼女も言います。
「どこで亡くなったの。」
私はなにかこれを聞かなければいけない感じがして…。
その友人の彼女が場所を説明すると、まさにあの私と友人が女性
を見た場所…。
あの祠のある場所でした…。
「ひょっとしてお地蔵さんのあるところ…。」
「そうです…。父がお地蔵さん建てたんです…。」
あの祠は友人の彼女のお姉さんのために建てられたものだったの
です。
「写真ありますよ…。」
って友人の彼女は手帳を出して、何枚か写真を出してきました。
スラッと背の高い、細身の女性でした。
白いワンピースがよく似合う感じの…。
あの日見た女性もそんな感じの服装だったのです。
「お姉さんいつもこんな感じの格好で…。」
「そうですね~。背あるし似合うから…。」
私は無意識に眉間にしわを寄せて写真を見ていたようでした。
「お前…またなんか怖い事言うんやろ…。」
友人がそれに気がついた様子で、そう言って来ました。
身内の幽霊を見たというのは気が引け、その日は黙って帰りました。
その少し後でした。
あの日一緒に車に乗っていた友人から電話がありました。
「おい、○○の彼女会ったんやろ…。」
と彼は言いました。
彼も紹介されたようでした。
「ああ…この間なー。」
「見たんやろ…。写真。」
「写真…。」
「彼女の姉貴の写真よ…。」
友人も覚えていたようです。
「あれって間違いないよな…。たしかあんな感じやったやん。」
友人は私よりも詳しく話を聞いていたようです。
原付で走っているところをダンプにひっかけられて、あの場所で
彼女のお姉さんは亡くなったそうです…。
そして、私たちがあの道を通ったのはちょうど、事故から1年程
経った頃だったようです。
友人はそのお姉さんの命日に間違いないというのですが、私は
記憶があいまいで…。
その友人はその話を友人とその彼女にもした様で、一緒にその
場所に行って欲しいと言われて私に電話をして来たようでした。
その次の休みに、4人でお姉さんの亡くなった場所へ花を持って
行きました。
1時間近く、友人の彼女は手を合わせては昔話を繰り返してました。
お姉さんは春雨の中、バイト先から原付で夜遅くに自宅へ帰ってい
る途中で事故に遭ったそうです。
もしかしたら、春雨の中だと会えるのかもしれませんね…。
TODAY'S BGM 「心拍数」 山崎まさよし