今日も仕事してました…。私はとことん自分で時間を作る事が下手で、
ゆっくり休む時間もないです。全部自分が悪いんですね…。
しかし、これは今に始まった事ではないんですよね。
昔上司にもよく言われました。
「時間は作るもんや…。」
って。
でも若い頃はなかなか作れないんですよね。言われた事はやらなけれ
ば行けないし、自分の仕事もあるしで…。
今日の話はそんな風に自分で時間をコントロールできなかった頃の話
です。
その日も夜遅くまで会社で仕事をしてました。毎晩午前様は当たり前で
そろそろ帰ろうかと思っていた時に携帯が鳴りました。
その当時大阪で働いていたFからでした。
三宮で飲んでるから来いと言います。しかしその時間から飲みに行くと
確実に帰れません。
「悪い…明日も仕事やし…。今から行くと帰れんし、止めとくわー。」
「あーそれは大丈夫やで。Sが車で来てるからー。」
友人Sはまったく酒が飲めない、Fとの共通の友達だった。
「ちょっと会わせたい人がおるから、来てよ。」
Fがそう言うので、私は会社を出て三宮のあるバーに行きました。
何度かFたちと飲んだ店ですぐに場所はわかった。
店に入ると友人FとS、それに3人の女の子がいた。
「なになに。合コンか…。」
私はそう言って席についた。
女の子の名前は忘れてしまったけど、そのうちの一人だけはヨウコっ
ていう名前だった。
合コンの予定だったそうなのだが、一軒目の居酒屋で待ち合わせた
友人Sの会社の同僚が来なかったらしく、二軒目のバーに移動した時
に、私が呼ばれたみたいだ…。
「でな、その子の自宅の近くに、人が自殺したっていうコンテナが放置
されてるらしくてよ。そこに行ってみようって話になってるんやけど、
お前も一緒にどうかと思って…。」
その子とはそのヨウコという子で、西区の山奥に住んでいるようだった。
珍しいのだ。Fが心霊スポットに行こうと言うのは…。
私もその店で二杯ほど飲んで、S以外のみんなに追いつくつもりで頑張
った(笑)
スキッパラに飲んだので、完璧に先頭集団に追いついた感があった。
するとFがそろそろ行こうと言い出す。
本当に珍しい。Fがこんなに乗り気になるとは…。
Sが自分の車を店の近くまで回してきた。
Sのボックスカーに乗り込もうと言う時に、女の子が二人帰ると言い出す。
「えーなんでー。送るから一緒に行こうよー。」
Sが運転席から必死に女の子たちを止めるが、二人は帰ると言い聞かない。
先に乗り込んだFとヨウコちゃんは、別にそんな事も気に留めず、中で話を
している。
若い頃に経験があるかもしれないが、女の子が先に帰ってしまうと、
「やっぱ俺たちは女の子から見て、魅力ないんやろうなー。」
という気持ちになってしまうものだ(笑)
まあ、それと同時にFの張り切りが良くわかった。
Fはヨウコちゃんを狙っているらしい…(笑)
Sは仕方なく女の子を引きとめるのをあきらめて、私を助手席に乗せた。
三宮からそのヨウコちゃんの家まで、約30分。Sは酒を一滴も飲めないので
安心。私はスキッパラにロックで2杯ほど飲んだので、酔いはマックス(笑)
少し寝てしまってたようでした。
「着いたでー。」
Sにそう起こされた時は、周囲は山だらけ。しかしどこかで見たような景色で
した。
既にFとヨウコちゃんは車を降りて、自動販売機でジュースを買っていた。
私は鞄を車に置いたまま、車を降りた。
道路より少し高くなっている場所をヨウコちゃんは指さしています。Fはそれを
走って見に行ってました。
もうFなら何かを確実に感じているはずです。
すぐにFは戻ってきてヨウコちゃんに話しかけています。
「おい。車で行こうや。」
Fはそう言いながら、車の方へ戻って来ました。私とSはタバコを吸いながら、
二人が戻ってくるのを待ってました。
Fから缶コーヒーを受け取り、みんなで車に再び乗り込み、Fの言う坂を車で
登って行きました。
畑、竹藪を抜けて行くと、また少し広い道が出てきました。
そこから少し走ると、たくさんの廃棄物が積んである場所に出ました。
ヨウコちゃんが言うには昔は子どもたちが野球が出来るほどの空き地だった
と言います。正直今ではそんなスペースもありませんでした…。
その空き地の突き当たりに大きなコンテナがありました。思っていたより綺麗
で、ある運送会社のマークが書いてありました。
車の中からハイビームでそのコンテナを照らしているのを4人で無言で見てま
した。そのコンテナに何かを感じていると言うより、その場所自体が妙に気持ち
悪い場所でした…。
「どうなんや…。」
私はFにそう聞いて、Fの顔を見ました。
さっきの自動販売機のところで見たFの顔とは全く違ってました…。
「降りてみようか…。」
私はそう言ってドアを開けました。
本当に気持ち悪い場所でした。テレビや冷蔵庫なども放置されていて、人形な
ども…。
そんな場所で見る人形というものは気持ち良いモノではありません。
積まれているのは人が出したごみなのですが、何と言いますか、人が生活に利
用していたという臭いというか、そんな感覚が漂ってました。
その場にあるゴミの中で、そのコンテナは一番大きな車です。
私が車を降りた後、Fが降りてきました。
「ここはヤバいな…。」
Fは私に小声でそう言います。
「あのコンテナか…。」
私がそう言うと、
「いや…ヤバいのはコンテナじゃなさそうやな…。」
Fはそう言うと缶コーヒーを飲みほし、空き缶をゴミの山に投げ込んでました。
Sが車の後部座席を覗きこみ、ヨウコちゃんに降りようと言ってました。
ヨウコちゃんは嫌がって車を降りようとしません。
私はそれを見て、
「思ったよりここはヤバいわ…。車に乗ってて良いよ。」
私はヨウコちゃんに言いました。
「お前も車に乗ってたら…。ヨウコちゃんも一人じゃ心細いやろうし…。」
Sにもそう言って私はFのところへ行きました。
その場所は音もなく、車のライトを消すと真っ暗で何も見えないほどの場所でし
た。
Fは一人でコンテナのそばに立ってました。
「このコンテナもアカンのちゃうか…。」
私はコンテナを気持ち悪く感じ、Fにそう聞きました。
「確かにこのコンテナで人は死んでるみたいやな…。けどこの場所がヤバい原
因は他にあるで…。」
Fはそう言ってコンテナの裏へ回りました…。
私も一緒に行くと裏側は真っ暗でした。その場所は歩くスペースもないほどで、
明りが無いと裏に入る事は出来ません。
私は車に戻り、Sに懐中電灯が無いか聞きました。
Sはガソリンスタンドでもらったと言うライトを出してきました。
そのライトがつく事を確認し、私はFのところへ行きました。
そしてそのコンテナの後ろを照らしました…。
私とFはその瞬間、息をのみました…。
そこには大きな仏壇が捨ててあったのです。
「これやな…。」
Fはライトを私から受け取り足元を照らしながら、その仏壇のところまで行き
ました。
「これはアカンわ…。」
Fは私にその場所まで来いと誘い、私の足元を照らしました。
私もFの横へ行き、その捨てられた仏壇を見ました。
その仏壇の中には位牌も残っており、家にあったそのままの状態で捨てて
ある事がわかりました。
位牌も1つではなく数個が入ってました。
「戻ろか…。」
Fがそう言い、足元を照らしてくれました。
コンテナのところまで戻った時、Sの車のライトが消えました。
私とFは手に持ったライトでSの車を照らしました。
車の中でSが慌てているのが見えました。
Sは車を降りてきて、
「急にライトが消えた。」
と騒いでいます。ヨウコちゃんも降りてきて、騒いでいます。
Fが車に走っていき、
「早く乗って。」
そうみんなに言います。
Sも運転席に乗り込む。私も…。
「車出して。」
Sは車を切り返しその場を出ようとしましたが、ライトが無いので、ゆっくり
と切り返してました。
その瞬間、車の後部でバンという音がしました。
しかしSはそんな事はお構いなく、切り返しを続けてその場を出ました。
そしてその袋小路になっている空き地を出た瞬間に車のライトがついたの
です…。
4人で胸をなでおろしました…。
しかし、ライトが消えたのはやはりあの場所の霊の仕業なのでしょう。
そのまま一気にさっきの自動販売機の場所まで戻りました。
今度は私がジュースを買ってみんなに渡しました。
私はタバコを吸いながら、Sの車の後部を見ました。
かなりの音がしたので、傷が残っているはずだと思い…。
私はSの車の後部を見て、驚きました。
Sの車の後部には二つの手形がくっきりと残っていました。
白い粉の様なものがついた手形。
私がその手形を見ていると、Sがやってきました。
「何…これ…。」
Sはその手形を見ていました。
ヨウコちゃんは少し気分が悪いといい、道端に座り込んでましたが、
そのSの声を聞き、Fと一緒にやってきました。
「あーこれ線香の粉っぽいな…。」
Fはその手形を見てそう言います。
線香の粉でくっきり手形がついている…。
少し夜露で濡れた車に線香の粉の手形…。
「とりあえず帰ろうか…。」
Fがヨウコちゃんの肩を抱きながらそう言いました。
ヨウコちゃんを送る事になり、車に乗りこみ車を走らせました。
ヨウコちゃんの家はすぐそばでした。
そこでヨウコちゃんを降ろし、彼女が家に入るまでみんなで見送ってま
した。ヨウコちゃんも車を降りると走って家に入って行きました。
それを見届け、私たちも帰る事にしました。
その帰り道も3人で無言でした。
Fはあの場所で見た仏壇の事もSには話しませんでした…。
私も黙ってました。
Fの家の前でFを降ろそうとした時に、FはSに
「あ、車だけ洗っとけよ…。」
それだけ言って帰って行きました。
その後Sに私は自宅まで送ってもらいました。
「何で線香の粉なんかついてるんやろうな…。」
Sは言ってました。
「なんでやろうな…。」
あの場所に仏壇が無造作に捨ててあった事は私も言いませんでした。
自宅前まで送ってもらい、Sに例を言いました。
「気をつけて帰れよ…。」
そう言って別れました…。
この話は後日談があります。
今日はこれまで…。
TODAY'S BGM 「街路樹」 尾崎豊