#044 秋の日の怪談 「天井の顔」 | 后前弐時のブランチ

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少し特異な体験を中心に書いています。
背中がゾクッとするのが苦手な方は片目で
読む様にして下さい(笑)

いつも読んで頂きありがとうございます。


秋の深まってきて、この秋の怪談シリーズをいつ冬シリーズに切り替え


るかを迷っています。


秋と冬の境っていつなんでしょうね…。



今日はやっぱり秋の怪談です。


この話は私も驚き、本気でヤバいと思いました…。



この話は働き始めた頃の話です。




ある日三宮を歩いていると、私を呼ぶ声がしました。


振り返るとある友人がスーツを着て立ってました。彼は就職活動をしてい


ると言っていました。


ちょうどバブル崩壊の直後の話です。年が変わる頃まで就職活動をして


いる友人が何人もいました。


その友人も例外ではなく、足を棒にしながら就職活動をしていました。



喫茶店に入り、コーヒーを飲みながら話を…。


本気で疲れてましたね。その日の彼は。



「まぁ、頑張れよ~。」


そんな言葉しかかけてやる事は出来ませんでした。


「そんな落ち込んでないから。」


なんて友人も強がってましたね。



夕方まで喫茶店で話し、そろそろ会社に帰ろうと思った時でした。



「あのよー。」


今までニコニコしていた友人が急に真剣な顔で言ってきます。



「お前、霊感あったよな…。ちょっと見て欲しい部屋があるんやけど…。」



話を聞くと友人は最近彼女と同棲を始めたらしく、その部屋で妙な体験を


するらしいのだ。



私はその日はとりあえず友人と別れ、次の休みの日にその友人と彼女の


住む部屋に行く事にした。



その日は別の友人の学園祭に呼ばれていて、朝から学園祭に顔を出して


午後からその部屋に行く事にした。



確か阪神御影で下りて、南に歩いた気がする。良く覚えてないが…。


少し古いアパートだったが、部屋の中は綺麗だった。



友人と国道沿いで待ち合わせ、その部屋まで。



彼女は年下の大学生でその日はやはり学園祭だと言う事で、少し遅くなる


と言っていた。



二人でテーブルでビールと乾き物で長い事話をしていた。


核心に触れないように…。



その友人の核心に触れないように話を持って行く行き方が不自然だった。


間違いなく、今二人でいるその部屋が問題の部屋なのだから…。



飲めないビールを何本か飲んだら、私はかなり酔ってしまった。


TVを見ながら、私は少し横になった。


そして眠ってしまった。






どれくらい眠ったのかわからなかったが、とてつもなく怖い夢で目を覚ました。


全部は覚えていないのだが、老婆が私の首に手を回し、首を絞めてくるのだ。


それだけは覚えていた。




私が目を覚ますと友人も寝ていた。


私は変な夢で喉が渇いていたので、テーブルの上にあったジュースを飲んで


タバコを吸った。



その時、友人がうなされているのに気がついた。



「やめんかー。ババア…。」


はっきりそう言った。



ババア?



私は友人の体をゆすり起こした。



友人も息を荒くして、起き上った。



「お前…。どんな夢見てた?」


私は友人に聞いた。



老婆が出てきて、出て行けと言われたと言う。声も出せず動けないでいると、その


老婆は首を絞めてきた…。



私が見た夢と同じなのだ…。



そして友人が言う。


「この部屋に越してきて、こんな怖い夢を見るんやけど、いつも同じばあさんが出て


くるんよ…。そしていつもかなり怒ってる。」



私は背筋がぞっとした…。



「これってこの部屋に何かあるんやろうな…。」



部屋に何かある…。それは私にはわからなかった。自殺とか殺人とか…そんな類で


は無いのだろうが…。



しかし一つだけ気になっていたモノがあった…。



横になった時に気がついたのだが、その部屋の天井に変な染みがあるのだ。





それが人の顔に見える…。




しかし、そんな事を友人に言うと嫌がると思い、とりあえず黙っていた…。



もう外は暗くなってました。



電話が鳴りました。



「彼女からやわ…。30分くらいで駅に付くから迎えに来いって言われたわ。」


友人はそう言う。


「それなら、一緒に迎えに行って外で飯食おうや…。」


私も一緒に行く事にした。



何よりもその部屋が気持ち悪くて仕方ないのだ。そしてその天井の染みが気になって


仕方ない。一旦気になり出すと…。



少しして部屋を出た。私はタバコの火を消して、念のために灰皿にグラスに残ったジュ


ースの雫を垂らした。



二人で部屋を出て、駅まで歩いた。


駅までは5分もかからないほどの距離。



駅前で待っているとすぐに友人の彼女が出てきた。時間の計算も完璧ってところだろう。


かわいい感じの彼女。よくしゃべると言うのが印象に残っている。



そのまま近くの中華料理屋に入る事にしたが、その店はいっぱいで、入れなかった。


しかし持ち帰りが出来るというので、色々と頼んで持ち帰り、友人の家で食う事になった。



料理が出来るまで20分程待っただろうか、その間に友人と彼女はビールやジュースを買


いに行っていた。ちょうど二人が戻ってきたころ料理が出来あがり両手に提げて友人の


部屋に帰った。



ドアのカギを彼女が開けて、友人と私は部屋に入った。



そしてさっきまでいたテーブルへ…。




その時だった。


灰皿のタバコの吸い殻がテーブルの周囲に飛び散っているのだ。


襖の白い部分に私がジュースで消した吸い殻が当たって黒く汚れている…。



私と友人は吸い殻を拾った。



「こんな事よくあるんか…。」


私が友人に聞くと、友人は小さくうなずく。



私はその瞬間に天井を見た。


気のせいか、さっきより染みが大きくなっているように見える…。





そのテーブルを片付けて料理を並べ、3人で食べた。


友人の彼女の学園祭の話だけが部屋に響く。


正直私は中華の味もわからないほどだった…。




夜もまだ早い時間だったが、友人と彼女は泊まっていけと言う。私は帰るつもりだったが、


まだ肝心の話も終わっていない事もあり、終電までいる事にした。



友人と彼女はようやく話しを始めた。



その部屋に越したのはもう半年も前らしい。しかしへんな夢やおかしな現象が起こり始め


たのはこの2カ月ほどだと言う。



その彼女の兄も霊感があると言うので、何度か見てもらったがわからないままだったそう


だ。同じ老婆の出てくる夢や灰皿がひっくり返ってたり、置いているグラスが突然割れたり


もするらしい。



そして…。



「アレが気になるんよな…。」


友人はそう言うと天井の顔の様な染みを指さす。



3人で天井の染みを見た。



「顔みたいに見えるやろ…。」


「そやな…。」



友人は、



「アレ、越してきた時はなかったんよ…。」



……。



私は唾を呑んだ…。




彼女は友人にべったりとくっついて離れない。




「ここって何かあった部屋じゃないよな。」


私は友人に聞いた。



「うん。そんな事は言ってなかったな。」


「うん…。」


友人も彼女も天井を見たままそう言った。




そんな話をしていると終電の時間が過ぎてしまった…。


仕方なくその日は友人の部屋に泊まる事になった。



夜中までそんな話をしていた。


そして、次の日に契約した不動産屋に行ってみようという事になった。



気がつくと3人とも寝ていて、朝になっていた。



彼女がシャワーを浴びて学園祭へ行くと言うので、私と友人はその間喫茶店でモーニング


を食べていた。



そして、彼女も合流しモーニングを食べて学校へ行ってしまった。


彼女が昼に帰ってくると言うので、私と友人はパチンコ屋でパチンコをしていた。



午後になって彼女がパチンコ屋にやってきたので、パチンコをやめて3人で不動産屋へ向か


った…。



やけに良くしゃべる営業マンが担当だった。



その営業マンに事情を話し、一緒に部屋に向かう。


その染みの原因だけでもわかれば…。そう思っていた。



営業マンは染みを見て、風呂場にある天井に入る事の出来る場所から入って行った。



営業マンの声だけが聞こえる。


天井が軋み、営業マンの位置もわかるのだが、しゃべり続けていた営業マンの声が消えた。



「何でしょうね…これ…。」


そんな声がする。


「何かあるんですか…。」


友人は営業マンに声をかける。



「はい…。でもなんでこんなもん置いてるんですかね…。」



私たちは無言だった。どんなものがあるのか…。



「とりあえず持って下りますね…。」


そう言うと天井の軋みはまた風呂場の方へ移動していく。




その営業マンは足から出てきて、あるモノを持って出てきた…。





皿と仏像。




営業マンが持っていたのは古びた皿と仏像だったのだ…。



皿も仏像もかなり古いモノのようだった。


そして皿は黒く汚れ、何か液体が入っていたのはだれが見てもわかった。


しかしその黒い汚れは完全に乾ききっていた。



「何でしょうね…。雨漏りでもしてたんかな…。」


営業マンはそんな事を言いながらテーブルの上に皿と仏像を置いた。



その時彼女が気がついた。




その営業マンのワイシャツの両腕には大量の髪の毛がついていたのだ。




営業マンは外に出てその髪の毛を払って戻ってきた。




「何かおかしくないか。」


友人が少し声を荒げて営業マンに言った。



営業マンもおかしいと思ったのだろう、友人の家の電話を借りて会社に電話していた。



とりあえず、その皿と仏像を持って帰り、返事をしますと言う事だった。




私もその日はそれで友人と別れた。




なんとも後味の悪い経験だった。




その日自宅に帰り寝ていると、その友人から連絡があった。



その皿と仏像を不動産屋はどこかで見てもらったそうだ。


その結果、引っ越ししてもらっても良いし、お祓いをしてもらっても良いと言ってきたらしい。


費用はすべて不動産屋と大家で持つと言う事だった。



「どうしたらえーやろ。」


友人はそう聞いてくる。


しかし答えは決まってる…。引っ越すべきだ…。



私は友人にそうアドバイスした。




友人はすぐ近くだが、新しい部屋に引っ越した。



それでその夢もへんな現象もなくなったと言う。





しかし、その皿と仏像の持つ意味…。これは謎のままである…。






その後、何年かして私は仕事でそのあたりを歩いていた。しかし既にその場所にあの不動


産屋はなく、友人が住んでいたアパートも無くなっていて、更地になっていた。


今はどうなっているのかはわからない…。





危害を加える霊は少ない。しかし危害を与えてくる霊は私たち一般人の手には負えないの


だろう…。霊媒師や除霊が出来る人に頼るしかない…。



しかし、何だったのだろうか…。あの皿と仏像…。そして老婆、髪の毛…。


今思い出しても…。









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