自己組織化とは?⑪ | 続・ティール組織 研究会のブログ

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ティール組織が話題になっているが、具現化するにはどうしたらよいか?
その研究を続けるにあたり、さらに次の形態である、続・ティール組織なるものまで視野に入れ、具体的な施策・行動内容を研究・支援する会。

先から、自己組織化の根幹をなすのが、

フィードバックループの仕組みであると記載

してきた。そして、上位層と下位層の間には

相関関係があり、互いにフィードバックしあい

ながらシステムが動いているとも記載した。

ここをもう少し掘り下げてみたい。

 

 

創発と次元

以下、こちらより抜粋

創発という言葉は, 「それ以前には見られなかった

特性の出現」という意味で、これまで哲学や人工

生命研究の分野でしば しば用いられてきた。

特にシステム科学や複雑系の科学と結びつき、

システムの階層性とともに用いられることが多い

ように見受けられる。創発という語を使うときは、

「性質」「機能」 もしくは「構造」に階層性があること

を前提とする場合が多い。 すなわち、下位層の

もつ性質がなんらかの形で統合されると上位層

の性質が現れる、というものである。

また、下位層の性質を記述するだけでは上位層

の性質を説明できない、あるいは予測できない、

という場合にも創発という言葉が使われることが

ある。例えば, 個々の原子・分子の性質がすべて

記述できたとしても、その原子・分子から構成され

ている生物の性質を予測できない、といったこと

である。

 

遺伝暗号の成立を例にとって考えてみよう。

DNA上のアデニン、グアニン、チミン、シトシンの

配列からどのようにタンパク質が合成されるか、

ということは厳密には物理化学法則にしたがって

動作している。しかし、その生物がどのような塩基

配列を保持するかということは、物理化学的法則

からの説明では十分ではない。なぜならば、どの

ような塩基配列になるかということは、進化の過程

で決定すると考えられるからである。すなわち、

生物中のDNAの塩基配列について言えば、遺伝

暗号が上位層の法則であり、その出現過程を創発

と呼ぶことができる。

 

他に、「ひらめき」を例にとって考えてみよう。

「ひらめき」とは、何かの対象について熟考し続け

「悶々」とした結果、突然湧き出るものであり、過去

に体験した物事の記憶の中から抽出されるものと

なる。この時、脳内では 記憶情報の再構成がなさ

れていると考えられている。すなわち「ひらめき」と

は、自己の内面に存在する記憶コンテンツ同士の

新結合を作り、対象となるフレームにうまく合致する

ような新しい情報を創出する過程により生まれると

いうことである。よって「ひらめき」は、何か全く新し

い情報が天から降ってくるのではなく、自身が体験

した記憶情報の中から創発されるものといえる。

 

 

また、「文章」を例に考えてみたい。

文章というのは、「言葉」をつなぎ合わせて意味を

成すとされる。その「言葉」というものは、名詞、

助詞、目的語、装飾語、などの各機能をもつ。

それらが合わさって、文章となる。

・私、が、扉、を、開けた。

これらの5つの「言葉」が組み合わさって文章が

成り立っている。ここで言葉の順番を入れ替えて

みるとどうなるか?

・扉、が、私、を、あけた。

今度は文章の意味が違ってくる。扉が私の何か

を開けたのだろうか?私の人生を開けたのか?

などの意味にもとれる。

こうやって、組み合わせが変わるだけで新たな

意味が出現する。これが上位層の新機能という

ことになるのであろう。この文章がさらに組みあわ

さって、命令になったり、愛情表現になったりする。

これを創発性と呼ぶのだ。

 

「言葉」の場合、並び替えによって、新たな意味が

出現したとあるが、それだけで意味が誕生する

訳ではない。やはり大元のルールなるものがあり、

そのルールに各要素が則って変化することで、

意味をなすのだ。その大元のルールとは、”文法”

であった。文法に従って、開ける→開けた、に変化

しているのであり、が、を、などの言葉は私、扉、

という名詞の後に引っ付くという行動を取っている

のである。これが大元のルールということだ。

 

これは、生命体でも同じだ。大元のルールがある。

それがDNAだ。DNAのルールは情報量でいうと、

わずか1ギガバイト程度の情報量に過ぎないが、

そのルールを元に、各原子、各細胞が変化して

いくのであり、その結果、器官や系などが誕生し、

やがて、生命体が誕生するというわけだ。

要するに、DNAとは単に文法に過ぎないのである!

何かを統率するマシンでもなく、命令の主体でも

ない!単なる文法であり、その文法を忠実に

各要素が守っていくのであり、また、その文法自体

も危機に瀕せば、文法を書き換える、つまりは、

DNAを書き換えて後世に残すということをやるのだ。

 

 

会社組織における創発性と次元

であるならば、会社組織でも同様に考えていけば

よいのではないかと思う。

 

まず、上図のように会社組織は、3次元構造で

あると考える。各個人は、各組織(部署)での

役割を持っており、各部署は会社での役割を

もっている。それぞれがそれぞれの役割をこな

していくことで、会社という生命体が維持される

ことになる!

 

・1次元

この次元は各個人という視点になる。この次元

で各個人が自分(自我)というDNAという文法を

読み解きながら、”自己”か”非自己”かの選択

をあらゆる情報に対して行い続ける。これを

来る日も来る日も続けていくのだ。

各個人が”自己”と判断した情報に対して、周囲

の人々はそれに賛同するのか、しないのかの

選択を迫られる。賛同すれば、それと同じような

行動をとることになる。このようにして、各個人が

周囲の人々を見ながら、同じような行動をとるの

か、取らないのか、を日々選択し続けている。

 

・2次元

この次元は組織という視点になる。この次元で

各個人は組織を運営維持するために、役割が

与えられる。心臓、腎臓、膵臓、両手、両足、

口、脊髄、顔、脳、などの役割を各人が担って

いくのである。その役割から判断して、先から

行っている行動が、”自己”か”非自己”かを

それぞれの役割上で判断していく。

この時の文法は、会社の行動規範、就業規則

などになるのであろう。

 

例えば、”一秒でも遅れれば許さない”という

行動が、各個人という視点からは”自己”と判断

して、周囲の人と同じように1秒の遅れも無い

ように、神経を集中させて行動していたとする。

ただ、組織から与えられた役割が”右足”の

役割だったとしよう。そうすると、営業の役割

を担っているとして、先の行動を考えてみる。

”一秒でも遅れれば許さない”という行動だが、

自分以外の要因、例えば、顧客の都合で、

どうしても遅れてしまうということもある。

これが許されない!とするのか、許される!

とするのかが微妙になってくる。

それぞれの役割から判断すれば良いのだ。

”右足”の担当者は許される!としたとして、

”顔”の担当者は許されない!となるかも

しれない。こうやって、組織の次元にまで来る

と、各行動は、組織という生命体の視点で見て、

”許される!”のか、”許されない!”のかを

判断することになる。

その際に、ルールを書き換えるかもしれない。

”一秒遅れても許されるが、理由を述べよ!”

というルールに変更するのだ。

こうやって、情報が組織という生命体の視点

にまでくると、変化して新たな意味になること

もありえるのだ。

 

・3次元

この次元は、会社の視点ということになる。

会社の視点になると、文法は何になるのか?

今度は、行動規範?就業規則?

いや違う。これは社長が従業員を統率する

ために記載したルールにすぎない。社長自身

がこのルールに則って行動するかというと、

そうではないのだ。

よって、文法は?という問いに対しては、

社長自身の価値観というのが文法になるの

であろうし、文章化されていないのであろう。

 

・4次元

この次元は、協会・カルテルの視点ということ

になる。カルテルの視点になると、文法は何に

なるのだろうか?

カルテル内の価格設定、カルテル内の関係性

など、社長は気を遣う部分も多い。その全体の

関係性こそがルールということだろう。

これも文章化はされていないのであろう。

 

 

ここから分かることは、人間という生命体の

場合は、DNAという文法で統一されていた。

それゆえ、原子だろうが、細胞だろうが、器官

だろうが、神経系だろうが、免疫系だろうが、

すべての人間に関わるものはDNAという文法

を拠り所にして、行動をしていたので、全体で

きちんと生命体を維持できていたのである。

 

一方、会社組織の場合、上記の通り、文法が

統一されていない。それゆえ、何を拠り所に

して良いのかがわからず、社会は混乱して

いるのである。

”法律”というものが社会全体には”文法”と

して存在しているのだが、この”法律”なるもの

がDNAに比べてあまりにも曖昧であり、しかも

各個人に周知徹底されていない。働き方関連

法案1つとってみても、関連法案、局長通知、

ガイドライン、Q&Aまでを法律と考えれば、

膨大過ぎて必死で勉強したとしても覚えきれ

無いほどの量である。これが、あらゆる分野

の全法体系となると、とんでもない量になる。

それゆえ、”法律を知らない人”が大半である。

知らないからこそ、法を犯すような行動をとって

しまうのである。

 

もし、各個人が原子や細胞や器官や系と同じ

ように、”文法”を熟知し、”文法”に沿って行動

する、つまりは、法律を熟知し、法律を遵守する

ように行動するならば、人間という生命体と同じ

ように、会社という生命体、社会という生命体、

が運営維持されるのであろう!

昨今、複雑になりすぎた社会であるがゆえに、

頭で法律の全体系を覚えるのは不可能である。

しかし、朗報がある。法律の全体系を”AI"が

検索し、最適解を出してくれる世の中にもうすぐ

なってくれる。こうなれば、各個人の1つ1つの

行動に対して、その場で”AI"を検索し、法に

抵触しないような行動かを判断していく、これが

”自己”か”非自己”かの判断基準になっていく、

というわけだ。

もちろん、法を破る人が現れたり、法を悪用して

来る人もいる。そこを”自己”、”非自己”という

それぞれの判断基準で判断し、周囲がそれに

同調してくれるか、してくれないか、によって

創発性が生まれるか、生まれないかになる。

警察や労働局などに裁かれなければいいや!

という発想はどこにもない。あくまで、各個人

が”自己”か”非自己”かを”文法”に則って判断

しているにすぎないのだから!

犯罪や悪、正義、という概念は、行動が蓄積し、

積もり積もった結果、犯罪や悪になるのだ。

そんなに積もり積もるまで判断をしなかったの

が原因であり、そうではなく、1つ1つの行動の

判断時に、”自己”か”非自己”かを判断する

だけでいいのだ。仮に変な行動を”自己”と判断

してしまったとしても、周りが同調しなければ、

それは増幅されることはないのだから!

 

この法に準拠する判断基準であれば、組織で

あろうが、会社であろうが、協会・カルテルで

あろうが、産業であろうが、すべて同じ”文法”

で判断できるのだ!

こうすれば、意識がズレずにすむ。よって、

当方が考えるのは、ティール組織に向かうには

就業規則、行動規範などはいっさい不要である!

ということだ。そんなものを作ってしまうと、判断

基準が2つできてしまい、余計に混乱することに

なるのだから!

判断基準は1つでいいのだ!日本国で1つ!

各国で1つ!これでいいのだ。

ゆくゆくは、世界中で1つのグローバルルール

なる法律を作って、それが世界中の人々の

”文法”になれば、戦争もなくなるのではと思う。

ルールがいくつもあることが問題なのだから!

そして、1/fゆらぎによって、法の解釈がおかしい

行動に対しては、排除されていくであろうし、

万人に受け入れられる行動であれば、同調が

加速して、創発性が生まれるまでになるのだ!

 

 

いかがであろうか。

DNAという”文法”が代々継承されていく不変の

仕組みであるのだから、社会も”法律”という

代々継承されていく不変の仕組みをもっと有効

に活用すべきなのである!

それには、今のままでは難しい。頭では覚えられ

ないし、1つ1つの行動に対して瞬時に判断したい

のだから、いちいち弁護士に聞くなどの時間が

かかっては意味がない。その場で瞬時に検索で

きる”AI"なる仕組みが誕生すれば、ティール組織

が世界中に広まるきっかけになると考える!