不振の業界で増収増益を続ける企業! | 続・ティール組織 研究会のブログ

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ティール組織が話題になっているが、具現化するにはどうしたらよいか?
その研究を続けるにあたり、さらに次の形態である、続・ティール組織なるものまで視野に入れ、具体的な施策・行動内容を研究・支援する会。

先に会社の声を聞くには、親会社や

カルテル、団体などの中核的な役割を

担うことで、会社が期待もされ、活き

活きと声を発するようになるが、そう

でないならば、覇気もなく、声も発す

ることをしなくなると記載した。

 

しかし、中核的な役割を担っていなく

ても、プロジェクトチームなどを立ち

上げて、動かしていくという方法もある

し、社長が独自の力で切り開いていく

方法もある。

そこで、不振の業界で増収増益を続け

る企業の具体例を示したい。

 

それは、メンズ紳士服という不振の業界

での、メンズ・ウェアハウスという企業に

ついてである。

 

メンズ紳士服という業界は、アパレル・

ファッション産業協会の中でも手の役割

であろうか、とても中核的な役割を担って

いるとは言い難い位置にいるという仮説

が立てられる。

このような、中核的な役割を担っていない

ような業界にいるメンズ・ウェアハウスが、

増収増益を続けているというのである。

その方法は、親団体であるアパレル・

ファッション産業協会が手厚い待遇をして

くれたわけでもなく、一心同体で活き活き

してきたわけでもない。むしろ、親団体の

アパレル・ファッション産業協会も生命体

として十分に機能していると言えない状態

なのである。

会社の独自の力で、切り開いていったと

いう訳であるから、そのストーリーをぜひ

しりたいと思うであろう。その謎に迫る。

 

 

・メンズ・ウェアハウスについて

以下、隠れた人材価値 チャールズ・オライリー

より部分抜粋

 

『メンズ・ウェアハウスは、紳士服の中でも、

紳士用テーラード市場に属しており、その

市場は整理統合が進行中である。

男性の注文衣料品に対する支出は現在も

減少傾向が続いている。市場の低迷で個人

経営者は経営難に陥り、百貨店は売り場

面積の縮小に追い込まれている。

 

まず最初のミステリーは、人的資源について

である。知的資本が決定的な意味を持ち、

社員の教育程度が高く、技術的スキルの高い

分野において、社内の人的資源を活性化して

高い業績の維持を図ることは確かに重要だ。

たとえば、多くのハイテク企業では、大切なの

は社員なのだという認識に立って、好調な

経営を持続するために必要な人材の確保、

定着に尽力している。

 

だが、メンズ・ウェアハウスは違う。大概の

経営者が「あんな人間はご免だ」と烙印を押

したくなるような人間を使って、競争優位を

確立している。同社の経営トップ4名に名を

連ねる人材管理総括担当のチャーリー・

ブレスラーによれば、「アメリカの小売業界の

従業員の多くは、家庭崩壊の出身者です。

私を含めて皆、学校の成績が悪く、教師に

対して異口同音に”くたばれ!”などと言って

いた人間なのです。」

 

あまり魅力のない職場だから、おおかたの

社員は生涯ずっと小売販売の仕事を続けよ

うなどという目標などないまま、とりあえず

就職してくる。この業界で働くのは若年者か

移民、そうでなければ、理由はさまざまに

しろ、これ以上いい職に就くのが難しい人

たちである。

 

創業者のジョージ・ジンマーを支えているの

は次のような強い信念である。企業の戦略や

企業運営の在り方は、基本的なものの考え

方、哲学、世界観に由来している、と。

彼はこう続ける。

「おおもとは、世界観に発していると思うの

です。両親やコミュニティや広い意味での

家族から、この世の中がどう動いていると

教えられたか。この世の中は、経済学で教

わるように、基本的に稀少資源の配分であ

ると考えるのか、あるいは世界は愛と情熱に

あふれていると考えるのか。このビジネスで

取り扱う商品は、衣服ではありません。

人なのです。」 と言う。

 

チャーリー・ブレスラーも同意する。

「当社の仕事は、皆が他人を理解すること、

他人の言葉によく耳を傾けること、自分も

チームメイトも真価を発揮して興奮の渦を

広げる事、そのことにお互いが協力し力を

出し合うことなのです。」

自らの真価、潜在能力を認識することは、

単に紳士服を売ることについてだけでは

なく、よりよい配偶者、よりよい親となること

であり、個人として一層の充実感を味わう

ことだ。

 

ジンマーは、すべての人にはもともと

未開発のポテンシャルがあるのだという

信念を持っている。彼には、また、稀少

資源の配分なんかではなく、豊かさを創造

することができるという強い確信がある。

顧客、ファッション・コンサルタント、会社

の三者が皆、利益を享受することができる

という、全方位のウィン・ウィン・ウィン哲学

である。』

 

 

長くなるので、ここでいったん割愛するが、

このあと、ジンマーはどうしたのか?と

いうと、実は、上記のような信念の基、

従業員を徹底教育し始めたのである。

しかも、給与は業界平均値を大きく上回る

金額をだして、一人一人をまるで医者・

弁護士であるかのごとく、先生!という

接し方を徹底したのである。

 

そうすると、人は、変わっていくのである。

驚きであるが、本当に立ち振る舞いから

接客から、すべてが立派な人のような

振る舞いに変わっていったのである。

まさに、自らの会社は、心臓のような重要

でハートフルな役割を担っているのだ!と

勝手に仮想し、それをあたかも現実かの

ごとく、徹底して社内でやり切ったのである。

 

そうすると、不思議なことに、従業員が本当

に変わりだしていったという仕組みであった。

いくつか、疑問があるだろう。

本当にそんな給与を払って会社が持つ?

人はそんな簡単に変われる?

そもそものマーケットが縮小しているのに?

などの質問であろう。

 

これらの質問に答えるのは次回にし、

メンズ・ウェアハウスがやってのけた仕掛け

は上記の通りであった。これは、ある意味

賭けなのかもしれないが、ジンマーには

そんな賭けという危ういものではなく、確固

たる信念の基に行動しているに過ぎない。

ここが注目すべきところであった。

 

いかがであろう、参考になるのではないか。