不振の業界で増収増益を続ける企業!② | 続・ティール組織 研究会のブログ

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ティール組織が話題になっているが、具現化するにはどうしたらよいか?
その研究を続けるにあたり、さらに次の形態である、続・ティール組織なるものまで視野に入れ、具体的な施策・行動内容を研究・支援する会。

先に、メンズ・ウェアハウスの謎について

記載した。なぜ、メンズ紳士服という衰退

の業界にあって、それほどまでに増収増益

を続けていけるのであろう?まさに、謎で

あるのだが、この謎を解き明かして行きたい。

 

・哲学、世界観

 

創業者ジョージ・ジンマーの一途なまでの

哲学、世界観がこのような現状を可能にし

ていると言える。

”世界は愛と情熱にあふれている”。

この哲学、世界観が信念となって、徹底した

行動となっていくのであろう。マーケットが

悪いから、難しいんだなどと言い訳すること

など一切ない。

 

ジンマーは徹底して、教育研修に投資をし、

販売員を医者・弁護士かのごとく扱うだけ

でなく、コンサルタントという肩書を与えて、

社内では先生かのごとく接するのである。

また、縫製担当など含めあらゆるひとを

正社員で抱え込み、平均を上回る給与を

出していくのである。

以下、隠れた人材価値 チャールズ・オライリー

より部分抜粋

 

『普通のやり方とは違う方法を取ることでしか

業界平均を上回る利益を上げることはでき

ない。メンズ・ウェアハウスの場合には、

秀逸のサービス”がライバルからの差別

化戦略を担っている。価格による差別化で

はない。競争が激しく価格に敏感な業界に

ありながら、価格による差別化ではないのだ。

メンズ・ウェアハウスがサービスで差別化し

ながら業績好調を維持できていることから

考えて、価格の変動の大きい、いわゆる

「市況商品」市場に似た業界であっても価格

だけをベースに競争するのでは有効ではな

いのかもしれない。

 

どこの企業でも「顧客サービス」と言う。だが、

これを単に口先だけで論じることと、本当の

差別化を首尾よく達成することは、似て非

なるものだ。メンズ・ウェアハウスはこのこと

をよくわきまえている。高いマージンを確保

する理論的知識を単なる知識としてとどめる

のではなく、進んで実行に移す意欲と力量

の点で、メンズ・ウェアハウスには、他の

追随を許さないものがある。

 

この会社が取る行動のすべてが成功に貢献

している。特に、教育研修に充当する膨大

な投資、社員の大部分がフルタイムである

こと、皆の助け合いによる販売、互いに学び

あって向上しようとする社風などの貢献度は

高い。今や、メンズ・ウェアハウスが、どうし

てこのようなことをしたかはミステリーなんか

ではない。本当にミステリアスなのは、なぜ

かメンズ・ウェアハウスを手本にしようとする

企業がほとんどないことの方だ。

 

デパートやチェーン店を見ると、店舗や社員

に重心が据えられていない。マーチャンダイ

ジングやマーケティングばかりが強調されて

いる。ジョージ・ジンマーは、マーチャンダイズ

は売れて初めて金になるのであって、仕入れ

たときには一向に金を運んでこないものだ

と言っている。だから彼は、社員や店舗業務

を重視するのだ。

 

第二のミステリーも、今や神秘ではなくなった。

実に多くの企業で、スキルがあまりないと見な

され、現にそれほど質の高くない労働力に対

して、メンズ・ウェアハウスはこれをいささかも

蔑ろにするようなことはしなかった。

彼らを中心に据え、従業員のためにいろいろ

な手立てを尽くすことによって、成功した。

 

もし今のコンピュータ関連市場の技術者であ

れば、さしずめ豪華なもてなしを受け、あの手

この手でご機嫌をとってもらって、甘え放題が

許されることだろう。

だが、小売業に身を沈めていると、こっぴどい

待遇をうけることになるのは目に見えている。

 

本人たちが予想もしなかったチャンスを与え、

尊敬の念を込め、十二分に相手の面子を

立てて、やりがいのある仕事を与えることで、

メンズ・ウェアハウスは社員たちの間に信じ

られないほどのロイヤルティと熱意を培うこと

ができている。同社は思いがけないこと、

予想を超えることを行って、社員たちから

非凡な業績を勝ち取ることができている。

 

メンズ・ウェアハウスには、サウスウェスト

航空やシスコのような同じテーマがある。

「初めに価値観ありき」なのだ。

社員に力を貸し、協力し、バックアップして、

彼らをだれも考えてもみなかった人材に

仕立てることに純粋な関心がある企業、

それがメンズ・ウェアハウスである。

まこと、この会社は人材育成会社である。

人材育成の重視には、組織のコンピテンス、

組織のケイパビリティを育成する効果を

この企業にもたらしてきた。健全、有益な

効果である。こうして培われたコンピテンス

ないしケイパビリティによって、メンズ・ウェア

ハウスは、実現の非常に困難な、サービス

差別化戦略を上首尾に実践することが

できた。

 

だが、メンズ・ウェアハウスの価値観の実践

による業績効果は、サービス優位性だけで

はない。コスト削減を挙げることができるこ

とは言うまでもない。

格別の防犯対策に経費をかけなくても可能

な目減りの予防、低い離職率、高いモチ

ベーションとあふれるエネルギーなどによる

コスト削減効果である。しかも、この企業の

価値観は誠心誠意、真心から出てきたもの

であることは疑いない。目的のための手段

ではない。目的そのものなのだ。』

 

 

・業績評価

なお、これらのミステリーを可能にしている

部分に、業績評価も入ってくるので少し

記載をしたい。

 

『メンズ・ウェアハウスは、ファッション・コンサル

タントに対するフィードバックを重視している。

改めることのできる行為、行動に絞って、

具体的にどの振る舞いが問題になっている

のかを指摘できるフィードバックを求めている。

これは巧みなやり方である。

フィードバックをすることで、無責任に堕する

ことを戒めることができるからだ。ほかの

企業では、評価制度や業績管理システムが

あっても責任が伴わない場合が実に多い。

フィードバックの内容はもっぱら、良心的で

あるとか、知性的であるとか、愛想がよく人

好きがするといった、特性に関するもの

的が絞られている。

 

具体的な行動に注意が向けられてはいない

し、評価の眼目にもなっていない。

 

 

上記は、メンズ・ウェアハウスにおける

ファッション・コンサルタントと店長の業績

評価方法の一端である。

社員の具体的な行為を、これだけリスト

アップした見事さは、目を見張るものがあり、

しかもこれを実践しているだけではない。

絶えず業績管理のプロセスを具体的行動

のレベルで改善し、一層精密なものに

改定し続けているのだ。』

 

このような”具体的行動”を重視した評価

方法こそが、ティール組織への一歩と

なるのである。

なぜなら、以前から記載しているように、

人間が変わるには、顕在意識、つまりは

意志であり、愛の行動がポイントになる

のである。

この愛の行動を具体的に実行しているか、

していないかが波動レベルを高める

ポイントになるのであった。

 

だからこそ、評価方法は具体的行動で

行うのである。この愛の行動に関する

評価については、またゆっくり記載して

いきたい。

一言だけいうと、当研究会では、

”愛記”なる方法で評価をしていく方法

を推奨している。簿記と同様に、科目

に分けて、愛の行動を点数化していき、

それを評価としていくのである。