こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

前回のお話:

 

 

2つ目のシーン

公園での最初のシーンが終了し、我々BG達は一旦ホールディングにバスで戻る…

この時、半分以上のBGがWrapで帰された…

私を含めた通行人役10人程は、2着目の衣装に着替えるよう言われるが、時間的には後1時間ほどでランチのはずなので、2つ目のシーンはランチの後だな…と見当をつける…

 

私の2着目の衣装は夏用ワンピースで、その涼しさが嬉しい…しかしこの痛い靴はこのままである…2着目の衣装に着替えて、自分の席に戻ろうとすると、ヘア担当のお姉さんにまた呼ばれる…実はこのお姉さんは、その前の撮影の合間にも絶えず私の髪の毛を逆立てて、膨張頭をキープしようとしていたのだが、衣装を変えた時に、今度はサイド分けにして前髪をカールさせる…そして全体をもっこりと膨らませる…というヘアスタイルに変えた…勿論、その仕上げにはたっぷりヘアスプレーをかける

 

席に戻ると、同じテーブルに座っていた友人が、遅いコールタイムのグループが今現場に呼ばれて行った…と教えてくれた…という事は、2つ目のシーンを撮り始めているという事か?!

それでも私達の出番は多分ランチの後だろうな…という希望は捨てない…

 

すると、そこへSAGのレプの人が現れた…これは労働環境に問題がある、あるいはありそうな現場にきて、我々の代わりにプロダクションと交渉してくれるユニオンの担当者である…通常なら「Everything`s OK?(問題ありませんか?)」と聞かれても、よっぽど何かあった時以外は「大丈夫です」と答えるのだが、ふと思い出して、公園の中でのハーブタバコの煙害について聞いてみた…すると、そのレプの人は即交渉に行ってくれる…その結果、何と私のケースは「Smoke pay」の対象になるという?!…ちなみに、屋外の場合は、いつもそうなるとは限らないらしいのだが、たまたまプロダクションの方も、私の位置を把握していたので問題なかったらしい…本当言ってみるもんである…

 

後はランチを待つばかり…と思っていたら、何といきなり現場に行くように呼ばれる?!ランチちゃうんかい?!…いや、時間的には、そろそろランチにしないとペナルティが発生するのだが、どうやらこのプロダクションは、そんなペナルティなど気にしないようだ…

 

そこでまたバスに乗って、次の現場に…行く前に、そこで小道具を借りに行く…最初のシーンでは私はすでにハンドバッグを持っていたので何も小道具を渡されなかったが、今度は「じゃあ、さっきと違う雰囲気にしよう」とサングラスを渡される…そのサングラスが、いわゆるザーマスメガネ型…実は私は自分で言うのも何だが、時代物のザーマスメガネが結構似合ってしまう…その時も小道具さんが「すごく似合う!」と大喜びする程似合っていたようだ…カメラが封印されていなかったら、こっそりセルフィでも撮りたいところだったが、それは今回はできない…そこから現場に歩いていく時、すれ違ったPAさんに「You look amazing!(君、すごくカッコいいよ!)」と言われたりし、ますますその気になって、まるで映画スターかなんかのようにゆっくりと歩いていく…もっとも、足が痛くて速く歩けなかったせいもあるのだが…

 

次の現場は店の前の往来で、その店の窓から外の往来が見えるので、我々の出番…ということらしい…のだが、時間は正午のハイヌーン!太陽は真上から照りつけ、道によっては全く日影がない…その影のない通りに、私は配置された…サングラスのお陰で眩しさは軽減されたが、直射日光が首筋に痛い…実は新しい衣装に着替えた時に、ランチの後だとうっかり忘れるかも…と思って、その場で日焼け止めを塗り直しておいた自分を、この時は褒めてあげたいが、それでも正午の太陽はものすごく強力である…

 

私に与えられた指示は、最初その照りつける通りを歩き、角を曲がる…と、そこには、昔ながらのニューススタンドがセットで作られている…そこに影ができているので、そのニューススタンドに向かって歩き、その前を通る時、ゆっくりとそこに売っている雑誌をチェックするふりをして歩くスピードを緩め、少しでも日陰にいようと姑息な努力をする…また、私は普段なら歩くスピードが結構速いが、この時は靴のせいで足も痛かったので、いつもよりゆっくり歩く…その努力の甲斐(?)あってか、シーンが終わるまで日陰に留まっている事には成功したが、日向に出ると半端なく暑い…日焼け止めは塗っていたのに、この1時間程でかなり日焼けしてしまった…

 

結局予想より1時間遅れでランチ…その分我々にはミールペナルティ過去記事参照)がつく…ホンマにペナルティに無頓着やなぁ…と思ったが、考えてみたらその対象になるのは10人ほどのBGだけ…メガバジェットのプロダクションには、ダメージでも何でもないのだろう…

 

ランチはホールディングに設置されており、ランチの時間は30分間1本勝負…それでもこのケータリングは野菜も多く、サラダもデザートも充実しており、申し分ない…例によってお皿にてんこ盛りにし、デザートには大好物のマンゴームースがあったので即ゲット!…ローストポークが、これまた蕩けるよう…ということは、超高脂質…なのだが、この際コレステロールのことは忘れ、食事を大いに楽しんだ…これもハイセキュリティのせいでカメラが封印され、写真が撮れなくて残念である…

 

ランチが終わる頃には、すでに最初の8時間を超えていた…朝が早かったので気が付かなかったが、いつの間にかオーバータイム過去記事参照)に入っていたわけである…

朝カーサービスを使った過去記事参照)ので、1時間以上オーバータイムとなれば、私としてはもう損害回収できたわけで、ランチも食べたし、もういつ終わってもええわ!という気分だった…

 

しかしそれは甘かった…本当の苦労はそこからだったのだ…

 

その4へ続く)

 

 

★過去記事★