こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

ニューヨーカーは多少のことでは驚かない…と言われるが、確かに時には常識と非常識の境界線がかなり曖昧になる事もままある…それは「自由」だから…というよりも、あまりにも色んなことが起こり過ぎるので、自分の中で境界線を引いてある程度シャットアウトしておかないと、心身ともに持たないから…というのもある…

とはいえ、時々、そういう「異常慣れ」した自分の判断に疑問を覚える事もある…

 

ある時、少し離れた店まで歩いて買い物に出かけた…それまでずっとアパートに引きこもって仕事をしていたので、たまには日光に当たらないとビタミンDが不足してしまう!…というのもあったが、例のアパートの工事過去記事参照)の騒音に耐えられなくなった事もあって、出かける事にしたのだが、久々に外に出るといつの間にか季節は夏になっている?!…まぁ、徒歩20分くらいの距離だし、その日は初夏のような快晴でもあったので、なるべく木陰を探しつつ住宅街を歩いて行った…

 

折しも薔薇の季節で、住宅街の小さな庭に咲いている薔薇が美しい…

 

 

他人の庭の写真を撮りつつ歩いていくと、歩道の木陰の下にオッサンが横たわっているのに気がついたこれが車道や歩道のど真ん中、あるいは直射日光が直撃するような所に寝ていたのなら、私もおかしいと思ったかもしれないが、そのオッサンは歩道の隅の木陰で気持ちよく寝ているようである…その服装からホームレスさんという感じでもなかったし、何よりそこは住宅街のど真ん中…その靴ががっしりしたワーキングブーツだったので、おそらく工事現場のような所で働く人が、ランチブレイクで一杯飲んで、酔っ払って道で寝てしまった…というのだろうな…と思い、私もそのオッサンを起こさない様に、そのまま通り過ぎ、予定通り買い物を済ませて、同じ道を帰って来た…

 

すると、その場所に何人かのオバチャン達が集まっている…その人達も買い物カートが側にあったので、買い物の帰りに通り過ぎたのだろうが、その寝ているオッサンに口々に話しかけ、中の一人が「あなたは何故病院に行ってたの?どこか感染症でもあったの?」と質問している?!…病院?と思ってみると、そのオッサンの手首には、病院でつけられるプラスチックのリストバンドが巻かれているではないか?!…これは病院に行くと、診察や治療の時に患者の手首に巻かれ、そこのバーコードから患者の情報にアクセスできる様になっている…つまり、これが手首に巻かれているという事は、この人はつい最近病院に行った…という事ではないか?!…という事は、実はこの人は酔っ払って寝ていたのではなく、具合が悪くなって倒れていた可能性もある?!

 

迂闊にも、私は最初そのリストバンドの存在には、全く気が付かなかった…というか、この人が病人である可能性さえ思い浮かばなかった…さっきも言った様に、これがもし道のど真ん中などの「不自然な場所」に倒れていたら、私もおかしいと思っただろうが、私にはその歩道の木陰が横たわるのに「不自然な場所」だとは思ってもみなかったのだ?!…不自然に決まっとるやろ?!普通人は道で寝たりせんだろうが?!…と後から自分に突っ込みまくったが、タイムズスクエアなどの繁華街では道端のあちこちや地下鉄の中ではホームレスさん達が寝ており過去記事参照)、若者達は平気で道に座り込む…かく言う私も、屋外BGで疲れ切った時は、衣装を汚さない様にだけは気をつけるものの、道に平気でしゃがみ込むし、中には寝っ転がる奴もいたりする…こう言う状況に慣れきってしまうと、誰かが住宅街の歩道で寝っ転がっていても、「まぁ、いい天気だし木陰は涼しいだろうな…」くらいにしか思わなくなってしまうのだ…が、これって、やっぱりおかしくないか?!

 

間も無く、誰かが呼んだらしい救急車の音が聞こえ、そのオッサンの元に来てくれたので、もし彼が病気だったらプロの救急隊が対処してくれるだろう…という事にホッと安心しつつも、「あの救急車の代金、あのオッサンに払えるのだろうか?!」という事をついつい心配してしまう…アメリカでは救急車は有料で、しかもかなり高額なのだ

 

ニューヨークの感覚は、やはりちょっとおかしいのかもしれない…

 

 

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