こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

警告:今回のお話は食事中に読むのには、適さない可能性があります。Read it at your own risk. (自己責任でお読み下さい。)

 

色々な意味で土砂降りに散々翻弄された過去記事参照)その翌日も、同じプロダクションの撮影の2日目だった…ほとんど一晩中降り続いていた雨は、朝方もまだ少し降っていたが、私が家を出る頃には止んでいた…コールタイムは、昨日と同じ朝の6時半…衣装も昨日と同じなので、そのまま着ていき、靴だけ持参した…昨日散々濡れてしまった革靴を、必死で乾かし、何とか生乾き…くらいまで回復したが、もし雨に降られるとまた濡れてしまうからだ…

 

家を出た時はまだ暗かったが、今日はキャリーケースもないので楽なもの…駅に着くと、例によって、ホーム中程の車掌さんの車両近くで待つ…昨日と同様、ホームはそこそこ混んでいた…皆こんな朝早くから働いてるんやなぁ~と、自分も含めて、心の中で「お疲れさん!」と言い合いたくなる…やがて、電車がホームに到着したが、その電車に乗った瞬間、その車内に形容し難い違和感を感じた…

 

そこに危険な人がいる…というような「ニューヨーカーの警報」とは違う…が、「できればここにはいたくはないな」というような、違和感…というか、予感めいたもの…しかし、車内を見渡してもすぐには何なのかはわからない…最初、車両の端に座ろうとして、そういえば前日そこに怪しい喫煙オジサンが乗っていた過去記事参照)のを思い出し、ふと見るとやはりホームレスさんと思しき人が寝ている?!…そこで車内の中程に移動し、空いている席に座ろうとして、その違和感の正体に気がついた…何と、そこにも別のホームレスさんが座っているではないか?!ホームレスさん達は通常車両の隅の方にいる事が多く、人の乗り降りが多い中程は避けがちなのだが…と、反対側の車両の隅を見ると、何とそこにも別のホームレスさん?!…なる程、だからこの人は真ん中にいるのか…と納得…している場合ではない!1車両に3人?!しかも人の出入りが多い真ん中の車両に?!勘弁してくれ~!と叫びたくなった…が、おそらくその中程のホームレスさんも、それは感じていたようで、寝っ転がっているのではなくちゃんと座っていて、気まずそうな表情で時折周りをキョロキョロ見回している

 

実は私も、最初うっかりすぐ近くに座ってしまったのだが、やはり悪臭に耐えかねて、少し離れた席に移動した…おそらく雨に濡れたせいだろう…悪臭もパワーアップしている?!

そうか…いきなり地下鉄車両内のホームレスさんが増えているのは、おそらく前日からの土砂降りのせいなのだ…普段なら屋外の道の片隅か、軒の下に居るホームレスさん達も、あの土砂降りでは到底外にはいられなかったのだろう

 

それならいっそ皆一緒に一つの車両に集まってくれればいいのに!…と言いたくなるが、やはりホームレスさん同士も、他人の悪臭は嫌なのか?!…しかし、この真ん中の車両に3人も居るという事は、他の車両も似た様なものなのかもしれない

 

というのも、その日はやけに各駅の停車時間が長くドアが中々閉まらない?!…そしてその度に車掌さんが「ドアをホールドしないで下さい!」「車両の移動は速やかに行って下さい!」と叫んでいた…つまり、おそらく他の車両にもホームレスさん達が居るので、それを嫌がった乗客が別の車両に移動したが、そこでも別のホームレスさんが居るので、さらに別の車両に移動しようとし…てな事を繰り返すので、その度に発車が遅れてしまうのだろう…

普段なら、私もそういう車両に乗ってしまった時には、次の駅で即座に別の車両に移るのだが、今回は他の車両も似た様なものだろう…と、そのまま我慢してその車両にいる事にした…が、これがまた実に長かった

 

しかし、その車両の真ん中にいたホームレスさんも、乗り込んできた乗客が、彼に気づいて舌打ちして避けていく度に、居たたまれない様子でいたのが、本当に気の毒だった彼だって、そんな風にしていたくはないだろう…それに晴れた日でさえ、まだまだ寒い今の季節、外で寝るのは決して楽なことではないだろう…それが土砂降りで濡れた上、仕方なく地下鉄に雨を逃れてきたのだ…

 

幸い、その電車に乗っていた人は誰も怒って、そのホームレスさんを叩き出すような真似はしなかった…勿論、昨今そんな事をしたら逆に返り討ちに会ってしまう事もあるし、白人の人なら「黒人のホームレスさんを虐待するレイシスト?!」とSNSでバズってしまうかもしれない…そうでなくとも、ニューヨーカー達の心のどこかには、「明日は我が身」という様な思いも少なからずあるニューヨークで生きていくのは、そのくらい厳しいものだからだ…

以前から、特に早朝にはこうしたホームレスさんとの邂逅過去記事参照)があったが、以前に比べてその数は、特にコロナ禍以来、確実に増えているような気がする…それにしても、土砂降りにはこんなトバッチリもあったとは

 

ようやく目的地の駅に辿り着き、気分を切り替えて、ホールディングに…今日は、我々の朝ごはんはホールディングに設置されていたので、メニューは限られてはいたものの、外で待たずに済んだ…そこで王道の、スクランブルドエッグとソーセージにハッシュポテトをゲット…

 

 

場所が暗かったのであまり美味しそうな写真ではないが、食べた後は少し元気が出て、仕事する気になった…その時ふと、あのホームレスさん達は一体どこで食事ができるのだろう?そもそも、何か食べ物が手に入る場所があるのだろうか?!…と、ふと想いをはせる…

 

しかしこの後、そんな感傷など吹っ飛ぶような厳しい現実に直面させられる事になる…という事は、勿論私には知る由もなかった…

 

 

★過去記事★