こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子などをお届けしています。

 

前回のお話:

 

 

予定されていた屋外のシーンには使われないまま、次のシーンの衣装に着替える…今日はこの為に小型のキャリーバッグを転がして来なければならなかったのだ…幸い、私の持参した衣装でOKが出、その労力は無駄にはならなかった…どういうわけか、私がスーツを持って行くと、必ずそれは不要になるのだ…(過去記事参照)

 

その日のシーンや撮影については、ここで詳しく書くわけには行かないのだが、その日の撮影のスピードは、映画にしては結構トントンと進んだ…「映画にしては」というのは、TVと比べると、どうしても映画のプロダクションは、よく言えば大らか…悪く言えば、あまりオーガナイズされていなかったり、どこか詰めが甘かったりしがちだからだ…もっとも、私は時間と効率に追われるTVよりも、そういう映画の緩さが実は好きだったりするのだが、現場がもたもたしていて、「一体これ、何に待たされてるんや?!」という時間が長いのは本当に辛い…なので現場での指示系統がしっかりしており、サクサクと進む方が、遥かに働きやすい…

 

ただその日の撮影ロケーションは、歴史的…といえば聞こえがいいが、はっきり言ってかなり古い建物だった…もちろん古いが故に、高い天井や広々とした間取り、さらにアールヌーボーのステンドグラスや装飾など美しくて見事だが、がほとんど鶯張り状態?!歩くたびにギシギシ音がするのだが、2階で歩く音が1階にモロ聞こえになってしまうのだ…ちなみにその日は1階で撮影し、2階がサテライト・ホールディング…しかし、上で我々が歩き回ると、下の撮影の邪魔になるので、撮影の開始を告げる「Rolling!」と言うコールがかかると、「ダルマさんが転んだ!」という様に、その場で皆ピタリと止まらねばならない?!…そして「Cut!」というコールがかかるまで、そこを動けないので、うっかり変なポーズで止まってしまうと、地獄を見る…また、天井が高く音響もいいのだが、その分話し声も他の階に筒抜け?!…この騒音対策には、ADやPA達は、実に神経質になっていた…

 

それでも撮影は順調に進み、あっという間にランチ!…私はこのランチを何よりも楽しみにしているので、大喜びでメイン・ホールディングに戻る…と思ったら、何と外は雨?!やられた!…メイン・ホールディングから撮影所までは徒歩5分ほどなのだが、来る時は雨など降っていなかったから、うっかり傘をホールディングに置いたまま来てしまったのだ…

それでも、まだ雨足はそんなに強くなかったので、衣装のスーツが濡れないように、しっかりコート着込み、あまり濡れない様に、ほとんど小走りで移動する…

 

クルー達の後に、待ちに待ったランチ…

 

 

これも場所が暗かったのと、盛り付けに失敗してあまり美味しそうに見えないが、今回のケータリングは当たりで、デザートのチーズケーキ…の半分は食べきれずに持ち帰ったが、十分堪能した…もうこれでいつ帰ってもええわ~(働けよ!)…そのランチは30分間一本勝負で、本当に30分後に現場に呼び戻された…今度はちゃんと傘をさして、雨の中をまたセットに戻る…が、雨足はさっきより強くなっていた

 

実は、今回の撮影は2日間押さえられていたのだが、翌日の分は撮影が終わってから最終的に知らせる…という事になっていた…つまり、全員が呼び返されるのか、それとも呼ばれない人もいるのか…は、前日までわからない…というのだ…

撮影が8時間を超えた時点で、「翌日のブッキング」のメールを受け取った…という人達の話が聞こえてきたが、私には一向にそのメールは届かない…これは私は要らんという事か?!…と、少しがっかりしたけれど、詳細を告げるウェブには「全員呼ばれている」とある?!…でもそんな連絡来てないで?!疑わしきは聞け…というわけで、キャスティングに聞いてみると、「ブッキングのメールをすでに送っている」と、その送ったメールを転送してくれた…それをみると、確かにかなり早い時間にちゃんと私にも送られていた様なのだが、私の方には届いていない?!SpamやJunkメールにも入っていないし、そのメールが一体どこへ行ってしまったのかは、未だに謎である…ただ、私のようにメールが届いていない人は結構な数いたので、多分向こうのシステムに問題があったのだろう

 

そうこうする内に、その日の撮影は終了…再びメインのホールディングに戻るのだが、外は土砂降りである…折り畳み傘では到底雨は防ぎきれず、コートもびしょびしょになったが、何より参ったのはだった…歩道も浸水しており、スーツ用の革靴がすぐびしょびしょになる…

 

やっとの思いでホールディングに戻り、ともかく衣装のスーツは脱いで、最初の服に着替える…明日も同じ衣装を着なければならないので、なるべく濡らしたくなかったからだ…

また衣装をキャリーケースに入れて持ってきてしまったが、これは本当に後悔した…考えてみたら、前夜は天気予報を見て、衣装を普通のカバンに入れて行くつもりだったのだが、やはりできる限りシワにならない様に運びたい…都にた、土壇場でわざわざキャリーケースに変えたのだ…

 

しかも帰る時、雨足はさらに強くなっていた…来た駅までは11分、反対側の別の駅なら、途中で乗り換えしなければならないが、8分程度…たかが3分、されど3分?!

土砂降りの中、キャリーバッグを転がして、結局その近い方の駅から帰る…一応スーツはプラスチックの衣装袋に入れて入るのだが、キャンバス地のキャリーケースはびしょ濡れ折り畳み傘などあまり役に立たない…ようやく駅に着き、地下鉄に乗った時には、本当にホッとした…が、安心するのはまだ早かった

 

ようやくうちの最寄駅に着き、そこからはバスに乗って帰ったが、そのバス停に降りた時には、雨はますます激しさを増し、まるでバケツをひっくり返したような土砂降り?!…バス停からうちのアパートまでほんの半ブロックなのだが、その半ブロックの間に、文字通り全身ずぶ濡れとなる…まさに水も滴るいい女?!

 

ちなみに、その日の仕事のバウチャーには、ちゃんと「Wet Pay(濡れ賃)」過去記事参照)が加算されていた…これがケチなプロダクションだと、撮影中に雨に降られた時にしか適応されず、今日の様に移動中の場合は無視される事が多いのだが、このプロダクションはその点良心的だったようだ…

 

ところがその後に、何と今度は別の意味の「土砂降り」が待っていた…

 

★過去記事★