こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

少し前に声のコマーシャルの仕事をしたのだが(過去記事参照)、実はその使用期間は3ヶ月…そしてもし3ヶ月を過ぎてもまだそれを使いたい場合は、また声優にその使用料を払わねばならない…これがResidualで、ありがたい事にSAG-AFTRAのプリンシパルの仕事には必ずそれが付いてくる…これがNon-Unionだと、仕事した日のギャラは支払われるが、それが何年使われようと、声優には一銭も入って来ない事が多い…

 

実は私はそういうNon-Unionの仕事をしてきた期間が長かったので、正直のところ、エージェントから「Residual送ったよ。」というメールが届くまでそのResidualの事はすっかり忘れていた…「送った」という事はチェックが届くのを待てばいいのかな?…と思ったら、何とすでに銀行に直接振り込まれていた?!…これは日本では当たり前だが、実はアメリカではごく最近まであまり一般的ではなかった事である…

 

アメリカ人の中には、他人に直接銀行口座に(振込のために)アクセスされるのを嫌う人がまだまだいたりするのだが、そのくせ同じ原理のデビットカードは平気でガンガン使う…同じ様に口座に直接アクセスするのでも、振込入金は入ってくるだけなのでいいけれど、お金を直接口座から引き出されるデビットカードの方がよっぽど危ないやんか?!…と私は思うのだが…

 

私は実は直接振り込みを大歓迎している…というのも、アメリカではチェックが送られてくるその郵便が一番信用できないからだ…実際何度も「郵送されたチェックが届かない!」という目に遭っているし、また私のメールボックスに他人のチェックが入っていた事さえある?!…それはわざわざ部屋まで届けに行ったが、逆に私のチェックが他人のメールボックスに入っている事もあるわけで、それはメールボックスの外に放置されていた?!

 

しかも、そのチェックを今度は銀行に持って行って入金しなければならない…実はこれはアプリでもできるというが、この辺りはあまりにも多くのトラブル例を聞くし、実際私も銀行での機械への自動入金でもトラブルに見舞われたことがあったので、イマイチ信用できない…それならちゃんとセキュリティの保証されたアカウントからアカウントへ直接入金してもらった方がはるかにマシだし、何よりも早い

 

実はこのResidualは、最初の2回はエージェントにコミッションを払わねばならない…それ以降は俳優とエージェントとの契約次第なのだが、実は私は最初そのことを知らず、2回目以降もずっと払い続けていた…ところがある時、NYエージェントの1つが「最初の2回はちゃんとコミッションを払え!」所属する俳優全員に一斉メールを送ってきた…私はそれまでも律儀に払ってきたのだから、その私にも同じメールを送るというのは失礼な話なのだが、そのメールのおかげで「最初の2回は…という事は、2回目以降は払わんでよかったんかい?!」という事が判明…それ以来最初の2回以降は払わなくなった

 

そのResidualは、普通はユニオンから俳優に直接送られるのだが、ある時数年前にやった仕事のResidualが入金されていた…どうやらStreamingのプラットフォームに売れたらしいのだが、ここだけの話、実にショーモナイ番組だったので、正直のところそれにResidualが発生するような価値が生じる…つまり、他のところに売れたという事にまず驚いた…事実、そこからResidualが送られてきたのも初めてではないか?!…Streamimgの方も、ストでよっぽどコンテンツ無くなったんかい?!…といらぬツッコミをしてしまうが、それでも腐ってもユニオンの仕事…こちらにとってはありがたい話である

 

問題は、そのResidualも銀行に直接振り込みだったこと…つまり、以前なら支払いチェックに付いてくる明細のコピーを取り、それと共にチェックを郵送していたのだが、その明細がデジタル?!…そこで、その明細のスクショを撮り、その写真と共に「これのResidualが来たのだけど、チェックを送りますか?それともZelleがいいですか?」とエージェントにメールを送る…Zelleというのは、これも最近一般的になってきたデジタルの送金方法で、「送り主の銀行口座→受取人のZelleアカウント→受取人の銀行口座」という形で送金されるので、送り主は受取人の口座番号を知らなくても送金できる…そのZelleのアカウントはメールと電話番号で登録されているからだ…なので、「他人に銀行口座の情報を知られずに済む」というメリットがあるし、北米のほとんどの銀行に手数料無料で使え、何よりも早いのがありがたい…しかしもし間違ってうっかり他人のアカウントに送ってしまっても、そのお金は返金されない受取人に直接交渉するしかない)…というデメリットもある…が、要するに間違えなければいいだけの事なのだが…

 

エージェントからの指定は、何とそのZelle?!…記録の為にチェックにして…と言うかと思ったが、よく考えたら記録はZelleでも残るのだ…

そこで、指定されたアカウントにその10%分のコミッションを送金する…Zelleのセキュリティは少し厳しくなったようで、何度も「本当にここに送っていいんですね?」と確認してくるのがややウザイが、でもその分こちらも間違わずに済むわけだから、文句を言ってはいけない…

 

ちなみにこのZelleでのデジタルの送金は、実は給料の支払いのみならず、個人間の金の貸し借

りでもよく使われる

例えば、この前ミュージカルの本番の前にPhoを食べに行った時…(過去記事参照)

 

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本番前だし、皆同じ物をオーダーしたので、支払いは1つにしてもらい、誰かが一括で払って、その人に皆が払う事にしようと言っていたら、皆カードを取り出す?!…つまり誰もキャッシュを持っていない…そう言う私も、実は最近はスーパーでもクレジットカードで支払っているので、キャッシュは最低限しか持ち歩いていない

これが日本なら、一番年上の私が「じゃあ、ここは私の奢り!」とさっと全部支払うべきだったのかもしれないが、ここはアメリカ…もし私だけが名の知れたスターと言うのならともかく、そうでなければ年上だと言うだけで裕福とは限らないし、むしろ他の人達に対して「あんた達はあまり売れてないから、十分稼げいでないだろうけどね。」と見下している様にも取られかねないので、これは何としても割り勘出なければならない

 

するとその一人が「Zelleでもいいよ」と言う?!…Zelleなら私もアカウント持ってる…けど、そんな使い方ができるのか?!…が、考えてみたら、それが一般的な使い方で、給料の受け渡しにしか使っていない私の方が稀なのかも知れない

そこで、その一括して払った人に、私の分をZelleで支払うことにした…が、メールアドレスで彼女のアカウントを探そうとすると、「QRコードがあるよ」と言う?!…また新しいもの出てきたで?!…そこでオバチャンは素直に若者にやり方を聞き、QRコードで即座に相手のアカウントにアクセスできる事を知る…その後はいつも通り…かくして財布を一度も開ける事なく、送金終了!

 

便利な世の中になったが、ますますお金というものが、ただの数字になりつつあり、それに関してはまだ、ええんかな…と感じてしまう私は、昭和の人間である…

 

 

★過去記事★