こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

前回のお話:

 

 

喉元過ぎれば何とやら…前回の間抜けなオープンコールへの挑戦から数日後、実はまた別のオープンコールの情報を目にする…それはSNSの私のフィードに偶然流れてきたのだが、インディ映画のオープンコールの情報だった…その時、キャスティング・ディレクターの名前に見覚えがある事に気づく…そうだ、つい最近プリントのセルフテープを送っていたのだ…そのプリントには落ちたが、どうせなら一度そのキャスティング・ディレクターに私の芝居も見てほしい

そこで、ブレイクダウンを見ると、何と私のタイプの「アジア人のオバチャン」のキャラクターがいるではないか?!…ただ厳密にはそのキャラクターは中国人で、多分広東語を話せた方がいいのだろうが、少なくともオーディションのSidesは全て英語である…課題のシーンは3つあったが、私はその役も脚本も結構気に入り、ぜひこの役をやりたい!…と思うようになった…

 

そこで、夫の次の休みの日に2時間ほど時間をくれるよう頼み、それまでに3つのシーン全てのセリフも覚えた…まぁ、オーディションでは必ずしもセリフを暗記する必要はないのだが、私は覚えている方が自由に演技できるので、できる限りは覚える事にしている…今回は6ページほどだったし、夫の休みの日まで2日あったので、十分準備する事ができた

 

そして撮影日…考えてみたら、前回芝居のセルフテープをやったのは、随分前ではないか?!ストの後、てっきり忙しくなると思ったら、そんな事は全くなく、しかも通常なら今頃はパイロットシーズンのはずなのに、それもない?!…それならせめてオープンコールのセルフテープでも、芝居させてくれ!…また実際、そのセルフテープは楽しかったし、後で見返して、自分で言うのも何だが、これなら結構いけるんちゃう?!…と思えるような出来だったと思う…

 

ところがそのビデオを指定のサイトにアップロードする時に問題発生?!…そのサイトは、キャスティングでよく使われるものだが、実はそこはエージェントが主に使うので、私は個人でアカウントを作った事がない…そこで、そのオープンコールに提出するためには、新しくアカウントを作れ…とあるのだが、何とそこにはすでに私のアカウントが存在するので、新たに作ることができない?!…しかし、私が作ったものではなく、エージェントが作ったアカウントなので、パスワードもわからないし、それを勝手に変える事はできないのだ…詰んだ

まぁ、考えてみれば、普通エージェントを持つ俳優は、そもそもオープンコールには来ないエージェントからサブミットして貰えばいいからだ…そして、エージェントを持たない人なら、別に何の問題もなく新アカウントを作れる…

 

そこでエージェントに「この作品の〇〇という役に、サブミットして!」とメールを送ると、すぐに「Submitted」と返事が来た…これは「私に言われる前にもうすでにサブミットしている」という意味なのか?!…それとも「私に言われてからサブミットした」という意味なのか?!…そうなると、オープンコールではなく、いつもの様にキャスティング・ディレクターからInvitationとSidesが送られてくるのを待たねばならないのか?!…でも多分同じシーンで、ビデオはすでにできているのだ!…それに、キャスティング・ディレクターが、私は中国人ではないから見なくてもいい…と判断してしまったら?!…まぁ、オープンコールでもその危険性はあるのだが、少なくともセルフテープを見て貰えば、その辺りは考え直してもらえるかもというくらいの自信が実はあった…しかしそれにはまずビデオを見てもらわねば話にならない

 

そこで、先にエージェントにビデオを送りつけた…といっても、ファイルが大きいのでメールでは無理で、リンクからダウンロードしてもらう…というサービスを使う…そして、「キャスティング・ディレクターから要請が来たら、そこからビデオをダウンロードして、速攻でサブミットして!」と頼んだ…のだが、いつまで待っても、エージェントからそのビデオを送ったという連絡はなく、そのビデオがリンクからダウンロードされた形跡も全くなかった

 

その内、そのオープンコールの締切が迫ってくるので、気が気ではなく、数日後、もう一度「ここへアップロードして!」とエージェントに頼むつもりで、そのオープンコールのページを開けたところ、何と私の応募しようと思っていたキャラクターが、ブレイクダウンからなくなっているではないか?!…これはこの役はすでにキャストされてしまった…という事か?!…ぐずぐずしていたのが悔やまれた…おそらく、結局私にはオーディションの要請が来なかったのも、そのせいだったのかもしれない…

 

実はその作品は、比較的低予算のインディ映画で、しかもNY州外での撮影だった…私にしてみれば、役が気に入ったから、それ以外の事はどうでも良かったのだが、エージェントにしてみれば、あまりお金にならない仕事の為に、NYを数週間離れさせるのはあまり歓迎できなかったのかもしれない…実際、過去にもそういう時に限ってピンポイントに他の仕事とバッティングしてしまった事もあったのだ…(過去記事参照)だからエージェントの方にはさほどの熱意は感じられず、そうなるとそれ以上プッシュしてほしい…とは頼めなかった

 

かくして、折角時間をかけて撮ったセルフテープが、またもや無駄になった…でもまぁ、久々に演技ができたから良かった…と思うことにする

 

 

★過去記事★