こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、まだ独断のツッコミなどをお届けしています。

 

このブログを読んでいた下さる方々には、私がよく「雨が降る時は土砂降り」…すなわち、重なる時には全てが同じ時期に来る…という状況に陥っているのをご存知だろう…

実は、今回のコネチカット公演中も、その例外ではなかった

 

しかもそういう時に限って、大物が?!…何で今くる?!と叫びたくなる事もあった…ただでさえ3つのプロジェクト同時進行過去記事参照)…なんて無謀な事をやっていたのだが、そこへさらに、サブミットもしていないのに、キャスティングからBGの仕事の依頼が来る?!普段サブミットしまくっても全然ブックしてくれんくせに、何で今やねん?!…と地団駄踏んだが、その時はこれ以上はどう考えてもスケージュール的に無理だったので、泣く泣く見送った…

 

それと同時に、エージェント達には公演期間は全てBook-outの通告を出す…これは、「この期間は仕事ができないので、オーディションにもサブミットしないで下さい。」という意味である…それは舞台の仕事の為で、別に遊びに行っているからではないとはいえ、その間他の仕事ができないのだから、中には嫌がるエージェントもいる…しかし、そのほとんどのエージェント達は、意外にもそれに好意的なサポートを示してくれた…中でも「Congratulations! I'm so happy for you!!(おめでとう!あなたのためにとても嬉しく思います!)」とまで言ってくれるエージェントもいて、それには思わずほろりとさせられた

 

ところが数日後、その同じエージェントからいきなりオーディションのリクエストが?!…しかもその撮影期間は、コネチカットの公演とモロ被りではないか?!お前、私の話聞いとったんかい?!…と思わずツッコミそうになったが、そのプロジェクトは、実は以前主役のオーディションを受けて落ちたTVシリーズである…今度は小さな役のオーディションだったが、そのキャスティング・ディレクターは、ブロードウェイのキャスティングもしているので、できれば存在を思い出してもらいたかった

前にも言ったが、オーディションは仕事をとるだけのものではなく、営業の目的もある過去記事参照)…どの道この仕事はスケジュール上問題がありすぎるし、多分受からないだろうが、ここでキャスティング・ディレクターにアピールして、別の機会の為に覚えておいてもらう…というのは悪くないかもしれない…そこで「スケジュールの事は、先方にちゃんと言っといてや。」とエージェントに釘を刺し、例によって違う解釈の2テイクを送った

 

ところがなんと、そのオーディションに「Avail」が来たのだ?!…これは「撮影期間のスケジュールの確認」で、実質的には「最終候補に残った」事を意味する…もちろん、「いつでもOKです!」と言っても落ちる事もあるのだが、この時点では大体候補は2~3人に絞られているので、確率はグンと上がる…つまり、ブッキングにも限りなく近い…これには本当に泣きたくなった…TVの撮影は、スケジュールがコロコロ変わるので、撮影予定の2~3週間ほどのスケジュールを聞かれるのだが、今回はその半分以上がコネチカット公演と重なっていたのだ…おまけに、運の悪いことに、この撮影は西海岸だった…小さな役なので、撮影自体は1日…場合によっては半日で済むだろう…そしてこれがNYの撮影で、公演もNYなら、たとえ公演当日でも「6時までならOKです。」という事も可能なのだが、西海岸では飛行機で片道6時間かかるので、日帰り…というわけにはいかないし、おまけに公演はさらにNYから車で2~3時間かかるコネチカットである…また、Guest-Starならともかく、セリフも少ないCo-Starのスケジュールに、わざわざ撮影のスケジュール合わせてくれるなんてありえないから、1日でも「この日はダメ」という場合はアウトだろう…またその仕事の為に公演の方をキャンセルする…というのは、私にとっては論外だった…

 

できれば、何としても出たい作品だったが、タイミングがあまりにも悪すぎた…そこで正直に「この期間はできないが、この期間はできます。」という事を告げた…が、当然のことながら、その仕事のオファーはこなかった…実はそのTVの仕事の1日のギャラが、その舞台の公演の3週間分のギャラにほぼ相当する…という事に気づいたのは、ずいぶん後になってからだった…

 

また同じ時期に、もう1匹大きな魚を逃している

実はその1ヶ月前に、「ちょっと大きなプロジェクトがある」と声の仕事について打診が来ていた…それは確かに大掛かりなもので、時間も相当かかりそうなので、Quoto(ギャラの予算)を聞かれた時に、思い切ってユニオンのレートに近いものを提示した…そこはいつもはNon-Unionの仕事がほとんどで、ギャラも安いので、その提示した額は、おそらく先方の期待しているものの倍以上だったかもしれない…まぁ多分ダメだろうな…と思っていたら、何とデモを送れという?!…そしてデモを送った数日後に、今度は「クライアントの予算が低いので、この額でやってもらえないか?」と値切ってきた?!…にしても、その額はそこの通常のレートの倍近くである…まさかそこまで向こうが譲歩してくるとは思わなかったので、その値切られた額でOKした

 

ところが、その後しばらくそこからの音信は途絶え、その内私は、例の3つのプロジェクト同時進行に忙殺され、その声のプロジェクトの事は、迂闊にもすっかり忘れていた…

それが、1ヶ月後に突然「ゴーサインが出た!」と言ってきた?!えっ?!あれ、まだ生きとったんかい?!…実はとっくに別の人がやっていたと思っていたのだが、何と私をキャストして、この1ヶ月その準備をしていたらしい?!…まぁ、その話を最初に聞いた1ヶ月前には、確かに私のスケジュールはスカスカでいつでもOK状態だったのだが、それから1ヶ月経った頃には状況が激変し、2つのプロジェクトの本番と3つ目のテク週間がこれまたモロ被りどう考えても、1日8時間以上のホームスタジオでの録音などできる状態ではなかった…仕方がないので、「実はその間別の仕事が入って…」と正直に話し、結果的にその話も断る事になる…申し訳ないな…とは思ったが、1ヶ月前なら問題なくできたのだ…そんなにグズグズしている先方にも非はあるだろう…こっちをそこまで暇だと思ってもらっては困る!…いや、いつもは暇なのだが、その時だけたまたま異様に忙しかっただけだったのだが…それにしても、何でこの期間やねん?!…と、これも地団駄踏みたい思いだった…

 

そして、今ようやくコネチカットの公演も終わり、NYに戻ってきて、スケジュールはワイドオープン、いつでもOK!という状態なのに、オーディションも一件もない?!…って何やねん?!…全く、人生中々思った通りにはいかないものである…

 

 

★過去記事★