こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

少し前に、オスカーことアカデミー賞の候補者が発表された…

 

* 写真はネットからお借りしました。

 

その途端、その候補となった人達よりも、候補にならなかった人達…厳密に言えば、当然候補になっていなければならないはずだったのに、何故か候補になっていない?!…という人達の事がSNSでバズりまくる…

この「当然候補に入っているはずなのに候補に入っていない」事は「Snub」と呼ばれるのだが、確かに今年も「えっ?!」というようなSnubがいくつかあった…

 

ちなみに、この「候補に入っているべき」というのは、オスカーの前哨戦とも言われる、ゴールデングローブや、SAG Awardsなどで候補に入っていたり、あるいはカンヌやベルリンなど権威ある映画祭で高い評価を受けていた作品や人達を指す…そういう意味では、これらの候補者はだいたい被っているのが普通なのだ…

 

ちなみに「何故こいつ(もしくはこの作品)が入っているのだ?!」という事については、この際突っ込まないようにしたい…「アジア系の作品を入れとかなあかんし…」という忖度や気遣い、あるいは大人の事情もあるだろうからだ…

しかし、他のアワードでは候補者入りしているのに、なんでここだけ無視?!…というびっくりSnubは、確かに毎年一定数あるとはいえ、今年も結構あった…

 

ちなみに、ここで問題になっているのは、あくまで「Nomination(候補入り)」で、その後誰が受賞するかは、実はこの際あまり問題ではない…まぁ、受賞できたら嬉しいだろうけれど、受賞しなかったから「敗者」というわけでは決してないのだ…というのも、実際に受賞するかどうかは、実はこれこそ大人の事情満載で、その当事者の責任ではなかったりするからだ…その辺りが、オリンピックのメダルとは大きな違いがある…

 

しかし、「Nominated(候補者入り)」というだけで、これは大きい…どのくらい大きいかと言えば、俳優の場合、この「Nomination」が経歴に加わると、ギャラの額が1桁変わると言っても過言ではないそうである…勿論、私は自分が体験した事はないので、その辺りは伝聞形でしか書けない…万が一自分で体験することができる事があったら、緻密なレポートをお届けしたい…(多分そんなことは2万パーないと踏んでいるからだが…)

 

まず一番のびっくりSnubは、監督賞「Barbie」過去記事参照)のGreta Gerwigが入っていない?!…しかも、「Barbie」は作品賞助演男優賞助演女優賞…と何部門も候補に入っているのに、肝心の監督と主演女優だけ入っていない?!…もっとも、主演女優のMargot Robbieが入っていないのは、これは彼女がまずかったというより、このBarbie役は、これまで彼女何やってきた役に比べると、彼女にはチャレンジ度は低いものだったからだと思う…むしろ彼女は今回はプロデューサーとしての手腕の方が評価されて、作品賞にこの映画はちゃんとノミネートされているから、まぁ、よかろう…また、私が予想したように、Ken役のRyan Goslingが候補者になっているのも、なんとなくわかる…しかし、この作品がこれだけ人気になったのは、これは何と言ってもGreta Gerwig監督のフェミニズム的アプローチが、大人の女性達の心を掴んだからである…そうでなければ、誰が人形の話なんか見たがるものか?!…まぁ、オスカーが無視しても、他では認められているのだから、彼女はきっとまたチャンスがある事だろう…その事に期待したい…

 

「Killers of the Flower Moon」過去記事参照)は、確かに私は結構好きな映画だったし、予想通り作品賞の候補入り…しかし、私はこれはひとえに俳優達のおかげだと思う…

そういう点で、Lili Gladstoneが予想通り主演女優賞候補になったのは嬉しい限りだった…これは先住民族系の俳優では初めてのノミネート…というか、そもそも先住民族系の俳優が主演をやる事自体が少ないのだから、初めてに決まっているのだが、彼女が受賞したら(多分すると思う)また「歴史的瞬間」という事になるだろう…またRobert DeNiro助演男優賞候補も、これも予想通り…しかし、Leonard DiCaprioの主演男優賞へのSnubは驚きだった…正直言って、私はこれは今までの彼の仕事の中でもかなり上位に入る出来だと思ったからだ…とはいえ、主演男優賞はいつも激戦区…また白人の彼は、この先いくらでもチャンスがあるだろうから、まぁ、また今度ね…という事なのだろう…

 

しかし何より私が驚いたのは、「Saltburn」過去記事参照)の徹底的なSnub?!作品賞にも、監督賞(Emerald Fennell)にも、主演男優賞にも入ってない?!…まぁ、この映画は多分好き嫌いが分かれる作品だろうとは思うのだが、それでもBarry Keoghanの主演男優賞候補は、まず間違い無いと思ったのだが…もしこれが男性監督によるものなら、多分作品賞とおそらく監督賞の候補は確実だったのではないか?!…と思わずにはいられない…そういえば、SAG Awardsにも、この作品はスルーされていた…結構評価されているのに、プロモーションの仕方が下手だったのかもしれない

 

今回は、実写の方の映画ではアジア人の活躍は、注目されるレベルではなかった…まぁ、1作ノミネートされているが、これは明らかに忖度の御祝儀ノミネートだと思う…

しかし、アニメ部門では、ジブリの「The Boy and the Heron(君たちはどう生きるか)」が有力候補…さらに「Elemental」も、実はこれアジア系のクリエーターで、「ああ、これはアジア系コミュニティの話だ…」とアジア人にはすぐわかる…このアニメについては、また今度お話ししたい…

 

実は、このノミネーションが発表された直後は、オスカーを見る気が半分くらいなくなったのだが、それでもこれは映画業界の祭典初ノミネートの人達も大勢いるし、その人達には大きな拍手を送りたい…

もっとも、案外当事者達は、次の仕事の事で頭が一杯で、実はもうそれどころでは無いのかもしれないが…

 

 

★過去記事★