こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

前回のお話:

 

 

衣装に着替え、ヘアメイクのチェックも済み、準備万端調ったところで、いよいよ撮影現場へと移動する…のだが、そこは少し離れたところにあるので全員バンで移動…

 

そして、待ちに待った朝ごはん!…そこはコロナ禍前のビュッフェスタイルが戻っていた…つまり、自分の好きなものを自分で好きなだけよそえるのだ…時間もなかったのでスクランブルエッグ、ポテト、ソーセージにコーヒー、それにヨーグルトを貰っていく…本当はフルーツも欲しかったのだが、カバー付きのカップが見つからなかったので諦めた…

 

サテライトホールディングにはテーブルはなく、椅子だけ…お皿に持った時は暖かく湯気を出していた朝ごはんも、ホールディングまで移動している内にすっかり冷めてしまったが、それでも少しお腹が減ってきたし、ここで食べておかなければ6時間は食事なしなので、ありがたく頂く…

 

 

白の衣装を食事で汚さないように細心の注意を払わねばならなかったが、朝ごはんを食べ、少し人心地ついた…ここからの待ち時間が長い…いや、待ち時間だけで終わる事さえあるのだ…(過去記事参照)

 

待っている間に、今日のコールシートと台本を閲覧させてもらえたので、それにざっと目を通す…どうやら今日我々が使われるシーンは2つだけ1つ目のシーンは2ページほどで、2つ目は1ページちょい…これならすごく早く終わるのではないか?!…場合によってはランチ前に終わるかもしれない…しかも、私達の後に、8時のコールタイムの人達が大勢来ることになっている…そういう時、早いコールタイムの人達は、先に終わって帰される場合がある…今回もそのパターンかも…まぁ、またマンハッタンまでクルーに送ってもらう必要があるので、我々はおそらくランチ後にWrap…ということになるだろう…というのが、その場にいたベテランBG達の予測で、実は私も同じような予測を立てていた…まぁ、ランチ前に終わるかどうかはともかく、この短いシーン2つではそんなに長丁場にはならないだろう…また、台本を読む限り、そんなに芝居が難しいシーンでもない

 

幸いそこには携帯のシグナルも十分だし、バッテリーも持って来たので、これは待ち時間にブログの更新でもするか…と思っていたら、こういう時に限って、早くも現場に呼ばれた…まぁ、この為に来ているのだから、ちゃんと働こう…

 

それは病院の廊下のシーンで、今回私は看護師…そのナースステーションの受付カウンターに座るように言われる…やった、座っていられる!…実はこれは結構大きい…大抵病院のシーンでは廊下を歩かされる事が多いのだが、この行ったり来たりが実は結構重労働なのだ…

その時、プリンシパルのドクターが入ってきたら、立って呼び止める様に言われる…まぁ、きっかけは明確だし、そんなに難しい事ではない…その一連のやり取りは、後にカウンター越しの会話に変更となったが、まぁ、短いやり取りだったし、私の台詞はアドリブ扱いである…

 

そのドクター役のオッサンの顔に、どこか見覚えがある様な気がしたのだが、如何せん、私には白人のオッサンは皆同じに見える…しかしそのオッサンは実にフレンドリーな人で、我々BGにも気さくに声をかけ、一人一人の名前を聞いて自己紹介してくれたりする…中々そこまでしてくれる人はいない…その後も撮影の合間には、気さくに我々にも話しかけてくる…どうも彼は日本に行った事があるらしく、私が京都の近くの出身だと言うと、「京都は最も好きな街の1つだ!」と京都の話で大いに盛り上がる

またある時は、誕生日を聞かれたが、オッサン、それ個人情報やがな!…でもまぁ、隠すほどの事でもないのでそれに答えると、「君は双子座だね。」…こういう時、日本ならおそらく血液型を聞くだろうが、アメリカでは星座で、好い歳こいたオッチャンが「俺は乙女座。」なんて言ってたりするのだが、なぜか双子座の印象はあまり良くない?!日本での血液型の「B型」と同じ扱いを受けるのだ…悪かったな、双子座B型で!

そのオッサンはすかさず「君には双子の兄弟はいるの?」と聞くので、「No」と答えると、「じゃぁ、その双子の片割れは、君の中にいるのかもね。」…つまりこれがこのオッサンの親父ギャグの「落ち」である…しかし、親父ギャグだろうが、ギャグにはギャグで返すのが関西人の礼儀である…そこで私は「そうなんです。実はこの『Good まみきむ』の中には、『Bad まみきむ』がいるんですよ~」と、「Baaaad」声色を変え、「悪女」的なニュアンスを強調して言うと、オッサンはそれに大ウケして爆笑実に好い人である…その後も、そのオッサンは暇があると軽口を叩きにくるのだが、シーンの直前にええんかい?!…と、こちらがちょっと心配になった…さすが大ベテランの余裕である…

 

そこへ突然、彼の息子さんがやって来た?!…どうも単に現場に遊びに来たようだったが、オッサンはその息子さんの登場を殊の外喜び、また私にも「うちの息子です。」とその息子さんを嬉しそうに紹介してくれる?!…「Nice meeting you.」と礼儀正しく言いながら、息子さんも「いや、紹介されても困るんやけど…」と思っていただろうが、きっとオッサンにとっては自慢の息子さんなんやろうな…と微笑ましく思う…ちなみにその息子さんはお父さんそっくりだった…

 

それでちょっとそのオッサンのファンになって、家に帰ってからネットで検索…すると、何とその人はエミー賞受賞俳優のW氏ではないか?!…見覚えがあるのも当然…オッサン呼ばわりして軽口など叩きまくっていたが、実は私もその彼がエミー賞を受賞したシリーズも見ており、彼の芝居にも感銘していたのだ!…勿論夫も彼のことはよく知っており、超ベテランのスターさんやんか?!

 

本当に、知らないという事は怖い事である…そもそも本来ならプリンシパルの俳優さんに、我々は話しかけてはいけないのだが、今回は向こうからしょっちゅう話しかけて来たので、私もそれに気軽に応じていたものの、他のBG達はおそらくその人が誰か知っていただろうから、きっとヒヤヒヤしていたのではないか?!ホンマに失礼しました~!

 

ともかく、そのオッサン、もといW氏のシーンが終わった頃、早くもランチの時間が近づいていた…

 

その3へ続く)

 

 

★過去記事★