こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

これまでのお話:

 

 

 

最初のシーンが終わった後、一旦サテライトホールディングに返された…そこには遅いコールタイムのBG達も到着しており、いきなり混雑している?!…そうだった、まだこの人達と一緒にもう1シーンあったのだった…

 

最初はランチ前に終わる…と思っていたが、意外に時間が掛かったようで、ランチが終わる頃に8時間に達する?!…ということは、まさかのオーバータイムか?!

勿論、私には異存はない次のシーンはもっと短いし、それに少しオーバータイムになってくれた方が、朝の車代が回収できるからありがたい!…開始時間が5:40amと早かったので、8時間後でも2:10pm(ランチの30分は引かれる)…まぁ、1~2時間オーバータイムでも4時半前にはマンハッタンに帰れるだろうから、帰りに買い物でもして行こうか…とその後の計画など立てていた…

 

やがて、待ちに待ったランチ!…しかもこのランチには、コロナ禍前のフルスケールのケータリングが戻っていたのだ!思わず理性が吹っ飛び、あれこれテンコ盛りにしてしまう…

 

 

しかしこれはちょっと取り過ぎだったようだ…不覚にも制限時間30分以内に食べきれなかったのだ…これにはちょっと驚いた…以前はこのくらい楽に食べ切り、デザートのお代わりだってもらっていただろうに?!…なのに今回は途中でお腹が一杯になってしまい、ついついペースが落ちてしまったのだ…このランチを楽しみに、クラフティで余計なおやつも食べず、ちゃんとお腹を減らしていたというのに…ストでしばらく仕事していなかったから、胃が縮んだか?!

 

その後またバスに乗って、セットに移動…もうランチ食べたし、いつ帰ってもええわ…なんて思っていたのだが、そんな予想に反して、実はここからがまた長かった

 

シーンは同じ廊下だったが、今度は廊下全体を映すので、医者や看護師、患者達などの大勢のBG達が一同に集まる…人数が増えればそれだけ撮影も複雑になるし、またこれはドリーと呼ばれる移動カメラ…短いシーンでも確かに撮影が長引く要素はあったのだが、それにしても「一体私等、何を待ってるの?!」というような、テクニカルな「待ち」がかなりあった…これはどうやら、予想以上に撮影が長引いた為に、明かりの状態が変わってしまい、その調整にまた時間がかかり、それでまた明るさが変わってしまう…という悪循環だったようだ…しかも広範囲を映すので、スタンドで灯りを立てると映り込んでしまう…という問題もあったらしいから、そのクルー達の苦労も想像に難くない…

 

その時、ふとそのシーンを見ている内に、不思議なデジャブ感を感じた…私はこのシーンを知っている?!…その時、随分前にこの番組のオーディションを受けた事があり、それがこのシーンだったのだ…という事を思い出した…もっとも、台詞などはかなり変わっていたので、今朝台本に目を通した時には気が付かなかったのだが、そのキーになるキャラクターで、プリンシパルの相手役のセルフテープを撮ったのではなかったか?!…そしてよりによって、その同じシーンのBGをやる事になるとは…これにはちょっと苦い思いを抱いた全くオッサンとギャグを飛ばし合っている場合ではない

 

それにしても、短いシーンのはずなのに、撮影は予想以上に長引いた…私は前と同じナースステーションの受付だったので、ずっと座っていられて本当にラッキーだったが、それでもかなり疲れてきて、早く帰りたくてたまらない…特に、その現場にはいたものの、明らかにカメラのフレーム外にいる…とわかっている時はなおさらである…撮影中は携帯を手元に置けないので、全く時間はわからなかったが、やがてようやくサテライトホールディングに戻った時に時間をみると、何と既に12時間突破?!4時間以上のオーバータイムである!…道理で疲れてるはずや

 

その時、ごく数人を残し、早い時間のコールタイムの我々はWrapやったぁ!これで帰れる!!…と、いそいそと小道具を返し、ホールディングに向かうバスに乗り込む…ところが、このバスがこれまた中々発車しない?!

実は、残された人達も、もうすぐ出番が終わる事がわかっているので、どうやらその人達がWrapするのを待っているようなのだ…しかもその待っている間に、さらにバスから2人程現場に呼び返される?!…どうやら最初はいらないと思っていたのが、やっぱり必要…という事になったらしいが、この人達も待たねばならないのか?!

 

それから半時間後、ようやくその残りの人達もバスに乗りこみ、やっと元のホールディングへ…そこで着替えて衣装を返し、ようやく帰り支度をする…が、我々はここからさらにマンハッタンまで送迎バスで戻らなければならない…ともかくそのバスに乗り込んだが、またもやここでしばらく待たされる事となる?!

実はまだ現場では撮影続行中で、まだ働いているBGもほんの数人いるという…その人達が終わるのを待たねばならないというのだ…何のことはない、結局遅いコールタイムの人達と終了時間は同じである…また、今回のように、マンハッタンから一定の距離を離れている現場では、マンハッタンまでの送迎区間も勤務時間と見做されるので、バスを降りた時間が正式なWrapの時間となる

 

結局バスが発車したのはそれから1時間後…さすがに疲労困憊して道中はそのまま爆睡…ふと目が覚めたら、マンハッタンに着く直前だった…そして到着後の正式なWrap時間を聞くと、まさかの14時間越え?!6時間以上のオーバータイムである…後1時間半でゴールデンタイムやんか?!…こんなに長丁場になるとは思っても見なかった…

私はそこから自宅までさらに1時間かかる…もっとも、朝があれだけ早かったおかげで、14時間後でも無茶苦茶遅い時間でなかったのはありがたかったが、新年早々ガチで働いた

 

そういえば、その朝カーサービスを使った時に「少しくらいオーバータイムしてくれるといいな…この車代の元が取れるから…」なんて呑気に願っていたが、それが図らずしも叶った事になる?!「Be careful what you wish for.(願う時にはその内容に気をつけろ。)」という言い回しがあるが、本当に今後は願う時には十分気をつけよう…