こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断のツッコミなどをお届けしています。

 

本来なら今日は休みだったので、ビデオ鑑賞三昧の日にする予定だった…レギュラーで関わっているアニメーションの仕事が昨日一段落し、ここ数日例の最高裁のトンデモ判決過去記事参照)のせいで気分が落ち込んでいたので、今日はゆっくり休んで充電期間にするつもりだった…

また、折しも夫も今日は休みだったので、パンを焼く!と張り切っていたので、二人揃ってのんびりするつもりだった…

 

そこで休日体制を整え、さぁ見るぞ!…とコンピュータを開けると、いきなりメールが来た…それも滅多に連絡してこないエージェントから、VO(声)のオーディションだという…しかも締め切りは明日の朝まで?!最近のVOのオーディションは、ほぼ全てホームスタジオだが、NYの狭いアパートでは、その録音中は、騒音対策のために窓を締切り、夫にはベッドルームに軟禁していてもらわねばならない…しかし、奴は既にパン作りを始めているようで、キッチンからそれらしい音が聞こえてくる…

 

最初は、それなら彼のパン焼きが終わるまで待とうか…と思ったのだが、パンの一次発酵を待っている間に録音できないものか?…と思い、それで夫に交渉する…

するとラッキーなことに、おそらく一次発酵には大体30分くらいかかるという…30分あれば余裕でできる!と思ったので、ではその一次発酵が始める前に知らせてくれるように頼んで、セットアップの準備を始めた。

 

夫が、パン生地の一時発酵を始めるやいなや、ブースを組み立て、録音を始める…ラッキーな事に救急車も通らず、録音は意外にスムーズにできた…それを編集し、3テイク分送る

 

そして、それらを送り終えて、ブースを片付け、さぁ、今度こそビデオを見よう!…とその体制になった途端、今度は別のエージェントからメールが届いた

このエージェントも滅多に連絡してこない奴なのだが、これまたVOのオーディションだという?!…せめて1時間早くメールが届けば、ブースをそのまま使えたのに、せっかく片付けたのをまたセットアップしなければならない…

しかも、その締切が今日の3時まで?!…しかしもう3時は過ぎているではないか?!…と思ったら、それは西海岸の時間で、私のいる東海岸は3時間時差があるので、私の締め切りは午後6時だった…よしこれなら何とかなるかも!…ところが、夫がキッチンでパンを焼いている?!

 

そこでパン焼き状況を見に行くと、ちょうど二次発酵が終わったところで、これから焼くところだと言う?!すぐに焼かないと発酵が進み過ぎてしまう…という事は、焼き終わるまで録音は待たねばならない?!…しかし2回に分けて焼くので、焼き終わるまでに1時間はかかると言う…が、私にはそんなに待っている時間はない詰んだ

 

台本を見てみると、結構長い…おまけに英語…しかも2役…さらにその1役は2テイク送れと言う?!…さらに、その英語はNon-Regional Accent(訛りのない英語)」とわざわざ指定してある…この時点でなんだかやる気が無くなり、一瞬見送ろうか…と思いかけた…どうやっても、私の英語にはどうしても微かに日本語訛りがあるからだ…

 

しかし、せっかくエージェントが久しぶりに送ってくれた事でもあるし、しかも珍しいことにユニオンの仕事なので、ダメもとでも、とりあえず努力はしよう…という気になった…おそらく受かる事はないだろうが、「ラストミニッツでもちゃんと対応しまっせ!」とエージェントにアピールするチャンスにはなるからだ…

 

そこで夫にはパンを焼いている間、ずっとキッチンに居てもらう…ただでさえ暑い日に、オーブンの傍にいなければならないのは気の毒だったが、うろうろ歩き回られると、どうしても雑音が入ってしまうのだ…

 

ところが、この録音は思ったより難航した…どう言うわけか、オートバイがやけに通るし、おまけにその台詞がまた長い…コマーシャルだったのである程度早口で喋る事が必要だが、私の英語の滑舌はイマイチなので、あまり早口だと何言ってるかわからなくなる…中々納得のいくものが録れず、また上手くいった…と思ったらトラックが通る…という事を繰り返し、気がついたら5時近く?!…この後これを編集してアップロードしなければならないのだ…そこでもう一度だけやり直し、それで手を打つ事にした…

 

それを編集…というか、録音したものの中から送るテイクを選ぶのだが、これがまた帯に短し襷に長し…また何度も聞いているうちにどれがいいのかわからなくなり、最後に近い方を選ぶ…そしてアップロードし終えたのは、なんと締切の10分前だった…滑り込みセーフ!

 

そして、ちょうどその頃、パンが焼きあがり、焼きたてのパンでようやく休日らしい気分になれた



 

★過去記事★