「おっちゃん王国」NTG(大人になりきれないおっちゃん)のブログ -310ページ目

「LADYPEAK」#3

「和代ちゃん、そろそろ、約束の時間じゃない?」
「あら、ホントだわ。ドクター黒葉さんに、メールしてみるわ」
紫色のバッグから取り出された、革製メガネケース。和代はケースと同じ赤いセルフレームのメガネをかけて、ピンクのスマートフォンを手にした。
リズムを刻むような、軽やかなタッチパネル操作。メール送信を終えて、スマートフォンをテーブルの上に置いた。
一分ほど経つと、ディスプレイにメール着信を知らせるアニメーションが映し出された。メールを確認して、和代はスマートフォンとメガネをバッグにしまった。
「もう、近くまで来てるらしいわ。お店の前で待っていましょう」
会計を済ませて、二人はさっきまでいた店の前から少し離れた場所で、ドクター黒葉を待つことにした。店の入り口付近には、十人ほどの順番待ちの列ができている。
卒業旅行だろうか。大きなキャリーバッグを転がして移動する若い男女の集団が、二人の前を通りすぎた。
「ドクター黒葉さんって、どんな人なんだろうねぇ?」
「さあ・・・?サイトを見ていると、若いイケメンのお兄ちゃんっていう気がするけど・・・。案外、いい年したおじいちゃんかもしれないわよ」
「やだねぇ、和代ちゃんったら。おじいちゃんが、あんなハイカラなブログを書けるわけないわよ」
二人は、立ち話に盛り上がっていた。



「こんにちは。和代さんですか?」
「えっ!?あっ、は・・・はい。そうです」
二人の前に、一人の若者が立っている。
鮮やかなピンク色の長い髪をツインテールにした少女。眩しい笑顔に、二人の視線と意識は瞬時に奪われた。
健康的な白い肌の小顔に、はっきりとしたまつ毛。カラーコンタクトなのだろう。深緑色の瞳が、吸い込まれそうに美しい。
細く、やはり白い首に、真っ赤なメタルボディのヘッドフォンがかかっている。白いダメージシャツは、首元が大きく開いていて、黒いキャミソールが、眩しすぎる白肌とのコントラストだ。
「はじめまして、ドクター黒葉さん」
「こんにちは」
和代と春江は、丁寧なお辞儀で挨拶した。
少女は、コロコロと明るく笑う。口元の白く細い指には、大きなシルバーアクセサリーが絡んでいる。見た目の派手さに反して、人当たりが良さそうな雰囲気。ロゼカラーの唇が、唄うように動いた。
「ごめんなさい。わたしは、ドクター黒葉じゃないんです。黒葉は急な仕事で、今は東京にいません。わたしは、助手をしている桃葉(ももは)です。よろしくお願いします」
桃葉は、二人のレディに負けない丁寧なお辞儀を返した。
「ちょっと、ここから移動しましょう。あっちに車を停めてあるんです」
久々に訪れた人生の転機への案内。和代と春江は、まだそれに気付いていない。





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