「LADYPEAK」#4
二人は、少女の後ろについて歩く。少女は女としての大先輩を敬って、歩くペースを落とした。
前を歩く背中には、ぬいぐるみのようなウサギリュックが背負われている。黒いウサギは、ピンクのツインテールと同じように、長い耳や手足をブラブラさせていた。サファイアのような瞳が、二人を見て輝いている。
少女はスレンダーな体つきだが、弱々しさは感じられない。黒いフリルのミニスカートから伸びた赤と白のストライプ。黒革の厚底ブーツは、綺麗な歩き方に少し不釣り合いかもしれない。
三人は、駅を出た。広い道路を渡るために、信号が変わるのを待った。
「東京は、初めてですか?」
桃葉が、二人に話しかけた。ピンクのツインテールが、都会の日射しに可愛く揺れる。少女の問いかけには、不自然さが全くなかった。
春江は桃葉を見ていると、なんとなく自分の孫娘を思い出す。
「いいえ。わたしは、三回目かしらねぇ。何年か前に、息子夫婦と孫と一緒に来たのが最後だわ。ディズニーランドに行って、東京タワーにも連れてってもらったのよ。とても、楽しかったわ」
「春江ちゃん、それ、もう十年も前の話よ。わたしも、息子たちにその話をして、次の年に連れて行ってもらったの。あいにくの雨で、東京タワーの上からは、何も見えなかったわ」
「ああ、そうだったわねぇ。今度は二人で行きましょう、って言ってたわねぇ」
「やっと、来ることができたわね。しかも、すっごくいいお天気。なんだか、嬉しくなっちゃうわ」
横断歩道を渡り終えて、通りを歩き続ける二人のレディと一人の少女。ガールズブティックの前を通りかかったところで、桃葉が立ち止まった。
「あっ、ごめんなさい。お二人に、お願いがあるんですけど・・・」
「お願いって・・・、なに?」
「会って間もないのに、突然で申し訳ありません。お二人の写真を撮らせてもらっていいですか?」
真っ赤なスマートフォンを片手に、桃葉は二人にお願いした。
「ああ、そんなことなら、お安いご用よ。ねえ、春江ちゃん」
「ええ、いいわよ。美人に撮ってくださいねぇ」
ブティックの前に並んだ二人。
「ありがとうございます」
写真を撮り終えて、画面を確認する桃葉。
(なるほど・・・。こんな感じなんだ・・・)
「ちょっと、ここで待っていてください」
桃葉はそう言い残して、ブティックの入口ドアを開け店内に入っていった。
五分ほどで出てきた。
「お待たせしました。行きましょう。あそこの駐車場に停めてあるんです」
みんな、頑張れ。
みんなで、頑張れ。
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