ビジネス人間学 -2ページ目




金融にITや人工知能などを組み合わせた「FinTech」や、あらゆるモノがインターネットでつながる「IoT」などがそうであるように、ビジネスシーンはテクノロジーの進化によって大きく変化しつつあります。そんな時代に重要なのは、新しい技術やビジネスモデルをいかに使いこなすかということ。ところが現実的には(各テクノロジーの認知度も含め)、「どうすべきか」の答えにたどり着いている人はまだまだ少数派なのではないでしょうか?

そこで目を通しておきたいのが、『僕たちは「新しい技術」で生き残る テクノロジーで未来のビジネスをつくる戦略会議』(dots.株式会社インテリジェンス編)。テクノロジーに関する疑問を解消すべく企画・開催されたというカンファレンス「dots. Conference SPRING2016『テクノロジー×ビジネス』で未来をつくる7日間」の内容を1冊にまとめた書籍です。



本書は6章構成で、FinTech、IoT、オムニチャンネルやコンテンツマーケティングなど、最新のビジネスモデルを語るSection Iと、チーム開発やサービス開発に焦点を当てたSection IIの二部構成に分かれています。
Section Iでは、テクノロジーを活用したビジネスの最先端では何が起こっているのか、どんなことができるようになっているのかを。Section IIでは、その世界を実現しているエンジニアはどんなことを考え、どんな仕事をしているのかを、それぞれ各界の第一人者やプロフェッショナルが紹介しています。(「はじめに」より)



きょうはFinTech、IoT、オムニチャンネルなどのテクノロジーを支える基礎技術である人工知能(AI)について解説された序章「人工知能の進化でビジネスモデルが一変する」から、ビジネスへのAIの活用法を探ってみたいと思います。人工知能とはなにか


この項で語っているのは、LEAPMIND株式会社の松田総一氏。同社では、顔の画像データだけでオンタイムのストレスチェックができるミラー型デバイスMonolithや、SNS上に投稿された写真をディープラーニング(深層学習)技術で解析し、トレンド分析を行うマーケティング支援サービスDeep Insightなどを開発しているのだそうです。当然ながらこれらはみな、人工知能の技術をベースにしたもの。

人工知能について語られる場合、「人工知能」「ディープラーニング」「機械学習」が並列で紹介されがちですが、それぞれに微妙な差があると松田氏はいいます。とはいっても、明確な艇後があるわけではないので曖昧になりがちなのも事実。そもそも、人工知能とディープラーニングはなにが違うのでしょうか?

人工知能を語るとき、「強いAI」という表現が使われることがありますが、松田氏は"人工知能らしい人工知能"、すなわち人間の脳のすべてを再現しようとするテクノロジーのアプローチのことを「強いAI」だと考えているそうです。そのわかりやすい例は「ドラえもん」だとか。

「強いAI」は全能で、だからドラえもんは人間と同じことがなんでもできるわけです。しかし、そこには「強いAIは本当に実現可能か」という問題も。人工知能を完璧につくりあげるには、経験というデータや、魂、人格などの人間っぽさが必要。しかし人間の感情に共感するためには、人工知能自身がその経験を積まなければならないというわけです。

もし、「まるで人間のような人工知能」を開発できれば、当然ながらビジネスシーンは大きく変貌するはず。ビジネスシーンどころか、社会全体に多大な影響を与えるであろうことは想像に難くありません。でも、そんな人工知能を開発するためには、私たちが人間の脳や意識について、細部に至るまで完璧に把握することが必要。ところが現実的に考えると、理想的な人工知能がすぐに開発できるとはいい切れないというのが現状だというのです。(10ページより)


ディープラーニングは弱いAI?


では、ディープラーニングはどうでしょう? 位置づけとしては「弱いAI」だというディープラーニングは、人間の脳みそーニューロンの発火信号と、それを伝達するシナプスのネットワークを再現した、ニュートラルネットワークというモデルを多層化したもの。たとえば猫の絵を見せ続けると、猫の概念を自動的に学習したりできる人工知能だといいます。人工知能の一分野ではあるけれども、目的は「人間の機能の一部の代価アプローチ」。特定の処理を機械にやらせ、人間を上回る性能を出すシステムだということです。

ここ数年のディープラーニングの進歩はめざましく、ある領域では人間を凌駕しはじめているのだとか。いい例が、囲碁の対局でディープラーニングがプロの棋士に勝ったことです。囲碁はパターン認識量や計算量が多いため、リアルタイムで処理して人間と対局するのは、従来の人工知能には困難とされていたのだそうです。しかし、マシンの処理速度やパワーが向上し、囲碁の対局に最適化されたアルゴリズムが開発され、勝利が実現したということ。「囲碁に勝つ」という目的設計を明確にすることで、ディープラーニングの革新性が証明されたということです。

松田氏は、ディープラーニングがインターネット時代のビジネスを根底から変えると考えているそうです。ディープラーニングは特定の目的では高いパフォーマンスを発揮するため、その特定の目的を人間が正しく設定すれば、既存のシステムを変えることになるからです。

では実際に、ディープラーニングでビジネスするにはどんな方法があるのでしょうか? すぐに思いつくのが、ディープラーニングシステムのオーダーメイド販売やデータ解析事業。たまったデータを解析し、ビッグデータから未来予測をするわけですが、プラットフォーム事業もディープラーニングを組み込むことで大きく変わると予測できるというのです。

そしていろんな方向性があるなか、松田氏のLEAPMIND株式会社では、特に食品、ファッション、家電にフォーカスして研究・開発しているそうです。家のなかで使うものにイノベーションを起こし、ディープラーニングを使ったインパクトのあるビジネスの変革を目指しているということ。(12ページより)


「機械の目」が既存のビジネスを変える


LEAPMIND株式会社が目指しているのは、「機械の目」をつくることだといいます。つまり、ディープラーニングが自分で必要な情報を検知することを目指しているということですが、それは現在の技術では困難でもあります。

たとえばiPhoneを認識するとき、人は「ここがカメラで、ここがリンゴマークで」と検出していき、それらを組み合わせて「iPhoneだろう」と認識します。これを、ディープラーニング2やらせたいということなのですから、たしかに難しそうではあります。

でも、その技術が進化したら、具体的にはレシピ提案などで効果を発揮するだろうと推測しているそうです。自然界に同じ形のものは2つ存在しないからこそ、ジャガイモなど、自然のものを機械に認知させるのは困難。しかしディープラーニングにジャガイモの画像を何千枚と覚えさせることで、現在、9割くらい認知できるようになったのだそうです。今後は「ジャガイモであれば、いまの時期はこんなレシピはどうですか?」と提案するシステムをつくれば、レシピ提案機能は実現できそうだといいます。

あるいは、トレンド・ターゲティングに役立てることも可能。ある地域を撮った写真に写っている建物、店舗などをディープラーニングが学習し、抽出・解析して「なにがトレンドなのか」を把握するわけです。そうすることで、「銀座周辺はお寿司屋さんが多い」「渋谷にはラーメン店が多い」「浅草のビール会社の社員はコンビニ飯を食べる人が多いが、恵比寿のビール会社の社員は定食屋が好きであるようだ」など、エリアごとに特色のあるデータを収集できるというわけです。

もちろん、そのデータを解析して企業に販売することも可能。また、世界中のインスタグラムのデータを解析しても、ビジネスに役立つトレンド把握ができそうだといいます。

つまりはこのように、ディープラーニング技術には現実世界の複雑な情報を判断できる力があるといいます。だからこそ、ディープラーニングを極めていけば、未来はあらゆるものが知性を持つだろうと松田氏は予測します。現代ではインターネットと現実世界の境界線が曖昧になりはじめているため、あらゆる物体が自分で認知できるシステムが必要不可欠になってきているそうです。そういう意味で、人工知能には大きな可能性があるというのです。(14ページより)





このように、いま注目しておくべき「テクノロジーのフロントライン」がわかりやすく解説されています。カンファレンスの内容を書籍化したものであるだけに、話し言葉で解説が進行していくところも魅力のひとつ。それもまた、読みやすさにつながっているわけです。時代を知るために、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか?







引用:http://news.biglobe.ne.jp/it/0805/lfh_160805_7999629490.html
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■8年ごとの五輪&新興国開催のリオ五輪は売り? 

 開催国ブラジルの政治経済の混乱、ジカ熱の流行、治安悪化に加え、ロシアの参加資格をめぐる協議などいろいろと騒がしくなっているなか、8月5日から21日までリオデジャネイロ五輪が開催されます。選手たちの頑張りを応援するのはもちろんですが、投資の観点では今回のオリンピックは要注意イベントです。

【写真・画像】リオ五輪開催後に株価急落はあるのか? 

 1992年バルセロナ五輪(ポンド危機、日本の不動産バブル崩壊)、2000年シドニー五輪(ITバブル崩壊)、2008年北京五輪(サブプライムバブル崩壊)と、このところ2回に1回、8年ごとのオリンピックと大型経済バブルの崩壊の年が一致しています。これは7年~10年程度の景気循環(ジュグラー循環)と8年(2回ごと)のオリンピックの周期が概ね重なっているためと推測されます。

 さらに、東京五輪(1964)、ソウル五輪(1988)、北京五輪(2008)のように急激な経済成長を遂げた国が国威発揚のためにオリンピックを開催すると、その国の経済はその後しばらく低迷すると言われています。これは新興国には大型競技場や高速道路、宿泊施設などのオリンピック開催のためのインフラが不足しているため、開催に向けて特需が発生し、それが公共投資需要を先食いしてしまうことが原因とされています。

●開催前後の株価の動き

 そこで気になるリオ五輪ですが、バブル崩壊が起きる可能性の高い8年周期に当たることに加えて、新興国での開催と悪い要素が重なっています。図1は1992年バルセロナ五輪から、1回おき(8年ごと)のオリンピック開催国の開催日の70営業日前(約3か月前)から90営業日後(約4か月後)までの各国の主要株価指数の値動きを見たものです。北京五輪で株価指数を2つ採り上げているのは、上海総合指数には外国人が自由に取引できない制約があるため、香港上場の中国本土株の指数であるハンセンH株指数との値動きの違いを見る必要があると考えたからです(結果は大差ありませんでした)。

 全体として開催日の3か月前頃からすでに株価は下落気味となり、開催日(図中赤縦線)以降はそれが加速する傾向があるようです。また、新興国開催であった北京五輪は上海総合指数・ハンセンH株指数ともに、バルセロナやシドニー五輪よりも大きく下げています。なお、バルセロナと北京五輪は、オリンピック終了後の2か月程後が大底となっていました。

 ここで興味深いのは、ブラジルの直近の株価の値動き(図中緑線)です。オリンピック開催70日前から下げていたところはバルセロナ、シドニー、北京と同じだったのですが、50日前を切った頃から反転上昇しました。もしこのまま上昇を続ければ「8年ごとのオリンピックはバブル崩壊を呼ぶ」「新興国のオリンピック開催は売り」という2つのジンクスを跳ね返すことなります。しかし、7月末時点では株価は足踏みとなっていて、ここから下げればジンクスどおりの嫌な展開です。

■デフォルト、デノミを繰り返した時期ほど悪くはないが…

 図2は、1981年からのブラジルのインフレ率の推移と主要イベントを見たものです。1983年にブラジルは対外債務不履行を宣言し(外貨建て債務デフォルト)、1986年~87年には自国通貨建て債務もデフォルトしました。この結果、1988年には年率629%、1990年には年率2948%ものハイパーインフレとなりました。これに前後して1990年3月には預金封鎖が行われ、1986年から1994年までの4回のデノミで通貨単位は2兆7500万分の1になっています(これが現在のブラジルレアルです)。

 1994年にドルペッグ制としたことでハイパーインフレは収まりました。しかし、経常赤字と財政赤字拡大への懸念に加えて、1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア危機のあおりを受けて急激な外貨流出に見舞われ、1999年には破綻一歩手前となりました(ブラジル経済危機)。この時、ブラジルはIMFと米国の支援を得て乗り切りました(隣国アルゼンチンは2002年に破綻)。しかしこの債務をIMFに返済し終わったのが2007年で、まだ10年も経過していません。ここでまず気になるのが、今回のリオ五輪後に予想される景気後退で、ブラジルがデフォルトするかどうかです。

 図3は1997年からのインフレ率と実質経済成長率の推移です。1980年代から90年代初めのハイパーインフレ時の数字と比べる小さく思えるのですが、インフレ率は2015年で9.0%と依然として高水準で、2016年も8.7%程度と予想されています。一方、実質GDPは2015年、2016年ともにマイナス3.8%で、高インフレと不景気が並存するスタグフレーションの状況です。

 1980年代から90年代初めのようなハイパーインフレではないので問題ないかというと、そうでもなさそうです。実際、1999年のブラジル経済危機時は緩やかなインフレとゼロ成長でしたし、世界金融危機(リーマンショック)直後の2009年もゼロ成長だったので、高インフレで大幅なマイナス成長の現時点はブラジル経済にとってかなり厳しい状況と言えます。

■株価と為替は既に警戒域? 

 図4はブラジルの代表的な株価指数であるボペスバ指数と、ブラジルレアル/米ドルレートの推移を見たものです。中国、ロシア、インドとともに「BRICs」ともてはやされた2000年代の株価上昇は著しく、2008年の世界金融危機(リーマンショック)時の株価の落ち込みもすぐに押し返しました(図中紫破線で囲った箇所)。しかし、2011年にコモディティの中国特需がかげりを見せ、銅価格の下落が始まった頃からブラジル株はずっと下げ基調です(図中緑線)。

 ブラジルの現在の通貨レアルも似たような値動きです。レアル高がブラジル国内で問題視されたのは2011年半ば頃までで、そこから米ドルへの資金還流もあって2016年初めまでレアルは急落しました。直近は株価・通貨ともに戻して小康状態です。しかし、2016年の実質経済成長率は2015年に続きマイナス3.8%と予想されていて、株価の調整はまだ続きそうです。

■ファットテールイベントに備えておくなら

 仮にリオ五輪後にブラジル発の大波乱があったとしても、ブラジル経済の不調は市場参加者に認識されているのでブラックスワン(発生することが想像できないイベント)ではありません。では何かと言うと、発生の可能性が高いとは言えないけれども、実際に起こった場合に相場に大きな影響を与えるファットテールイベントとなります。ブラックスワンならともかく、ファットテールイベントで大きな損失を蒙っても、それは過小評価か準備不足の結果に過ぎません。

 まず、従来のジンクスどおりになると予想するなら、8年おきの2016年で、新興国開催の今年のリオ五輪は開催後に株価が弱含みとなる可能性が高いことになります。さらにブラジルは過去に何度もデフォルトしていること、現在も1999年のブラジル危機時よりも実質経済成長でみて経済状況が悪いことも懸念材料です。この前提に立ってリオ五輪後のブラジル発のクラッシュに備えるなら、8月初めに日経平均マイナス3倍トラッカー、日経平均プットやNYダウプットを購入して株価暴落に備えておくことが有効と思われます。

 一方、かつてのブラジルの経済危機時とは異なり、現在のブラジルはハイパーインフレではなく、外貨準備も十分にあるという点を考慮すれば、国家としてのブラジルのデフォルトではなく、ブラジル企業の大型倒産、ブラジル発の金融危機が欧州金融機関に波及といった展開もありそうです。この前提であれば、日経平均マイナス3倍トラッカー、NYダウプットに加え、ドル安円高に備えて米ドルプットの買い、ユーロ安円高に備えてユーロプットの買い、金価格上昇を見込んで金プラス5倍トラッカーや金ETFの買い、ブラジル関連の日本株(新日鉄住金や三井物産など)のプットの買いなどが考えられます。FXを使うなら欧州金融機関への影響を考えて、米ドルロング・ユーロショートも有効と考えられます。

 なお、「ブラジル株はここ5年下げっぱなしで、政治も経済もこれ以上の混乱はない」「資源関連以外の農業や消費はしっかりしている」「8年おきの五輪も新興国主催も、あくまでここ数回の現象で本来は株価とは無関係なはず」と考えるなら、リオ五輪開催中に株価調整するようであれば国内外の個別株やアメリカ上場のブラジル株ADR(預託証書)を粛々と買い集めることで、強気の相場観を生かした逆張り投資が実践できるでしょう。

念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。(eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹)



引用:リオ五輪開催後に株価急落はあるのか? 


株価暴落 [ 池井戸潤 ]
価格: 637円 レビュー評価:4.47 レビュー数:36
文春文庫 池井戸潤 文藝春秋織田裕二 発行年月:2007年03月 ページ数:302p サイズ:文庫 ISBN:9784167728014 池井戸潤(イケイドジュン) 1963年岐阜県生まれ。慶応義塾大学卒。98年『果つる底なき』(講談社)で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』(講談社)で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』(小学館)で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 巨大スーパー・一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価は暴落、一風堂の巨額支援要請をめぐって、白水銀行審査部の板東は企画部の二戸と対立する。一方、警視庁の野猿刑
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 米大リーグ(MLB)マイアミ・マーリンズのイチローが米国でプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせていたら、どのような記録を打ち立てていたかを想像してほしい。

 2001年に27歳でシアトル・マリナーズに移籍するまで、日本の9シーズンで1278安打を記録したことを考えると、可能性は果てしない。比較してみよう。大リーグ通算安打記録を持つピート・ローズが27歳までに記録した安打数は903本だ。現役の好打者であるアレックス・ロドリゲスは27歳までに1257安打を放った。

 21日時点でメジャーでの安打数が3000本まで残り「4」となっている42歳のイチローだが、もし日本で10年近くプレーしていなければ、メジャーで4000本安打に近づいていたのはほぼ確実だろう。4256本というローズの記録にも迫っていたかもしれない。

 仮定の話に興味を持っていない人物はイチロー本人だ。

 イチローはインタビューで、自分が自分の経験の産物でしかないと述べた。また、日本での経験がなければ今の自分はなかっただろうとし、米国にもっと早く来ていたら安打数が増えていたと考えるのは的外れだと指摘した。

 イチロー自身と、日本で彼を観察したり一緒にプレーしたりした人々にとって、これはゆがめられた仮定であるだけではない。彼らによると、日本での9年間は、才能はあるが小柄な有望選手をスーパースターに開花させるカギとなった。イチローは野球には自慢げな米国人に非凡な流儀で挑む自信があった。

 高卒ドラフトでプロ入りした後、イチローは有望選手の一人として春季キャンプに参加した。打席でのイチローは他の大半の選手よりも大きく投手寄りに体重を移動させ、時にはバッターボックスからはみ出てしまうこともあった。当事の打撃コーチだった新井宏昌氏は、イチローの一風変わった打撃スタイルをもっと理解してやりたかった。

 練習メニューの一つだったトスバッティングをしていた時、新井氏はこの若者が何かを持っていると確信するようになった。

 新井氏は当事のイチローの特異性を指摘し、その本質を理解しようとしたと話した。同氏はトスのテンポと位置を調整するという実験に打って出た。大半の選手は素早い調整を求めるためこうしたトスを見逃しがちだが、イチローはあらゆる球をスイングし、ほぼ全てのトスを芯で打ち返したのだ。

 新井氏はトスのスピード、位置、タイミングは問題ではなかったと語る。同氏によると、大半の選手はボールを見ようとするが、イチローはそれを打とうとするのだ。

 その後、新井氏は監督に対し、このひょろりとした若者にはもっと華やかな名前の方がふさわしいと進言した。ユニホームには「SUZUKI」の刺しゅうが入っていたが、これは米国では「スミス」と同じ位ありふれた名前だ。イチロー本人からの提案はほとんどないまま、チームは登録名を「イチロー」に変更した。

 オリックス・ブルーウェーブ(現バファローズ)の1軍登録選手として初めてフルシーズンを過ごした1994年、イチローは当事の日本プロ野球記録となる210安打(130試合)をマーク。また、打率も3割8分5厘と、当事のパリーグ記録を打ち立てた。

 福岡ダイエー(現ソフトバンク)ホークスの監督を務めていた王貞治氏は、イチローのオリックスと1シーズンに20試合以上対戦する機会があった。王氏によると、投手はイチロー対策としてさまざまな戦略を試したが、イチローは独自の対抗策を展開したという。

 王氏はイチローがシーズン200本安打で選手としてのキャリアをスタートさせた点に言及。イチローが20歳の時にはすでにあらゆる対戦相手が彼をマークしていたと話した。ただ、現実的には高い技術を持つ打者に単純な戦略は通用しないとも、王氏は指摘した。

 オリックスでイチローのチームメートだった田口壮氏は、イチローがアプローチと準備の面で揺らぐことはなかったと語る。

 MLBでもセントルイス・カージナルスなどでプレーした田口氏は、イチローの最も印象的な資質として自分の信念に確信を持っていることを挙げた。田口氏は、イチロー自身がどんな状況でも自分を変えることを許さないため、誰も彼を変えることはできないと話した。

 田口氏は、日本で10年近くスター選手として活躍してなければ、イチローが米国で変化を求める圧力に抵抗などできなかった可能性を示唆。同氏によると、日本での経験が試合に臨む際の並外れたアプローチに対する信念を固めたのだという。

 イチローは正しいのかもしれない。間近に迫った3000本という記録に、あと何本のヒットを上積みできていたかと考えるのではなく、単純に彼の生み出してきた3000本を楽しむのがベストなのだろう。

 (筆者のブラッド・レフトン氏はセントルイスを拠点に活動するジャーナリスト。日米野球をカバーし、この記事では日本語でのインタビューも行った)

By BRAD LEFTON


 最近、ある人物の発言を耳にして人生観が変わった。彼が筆者に向かってよく言うのは次の三つの言葉だ。

「きみ、最高だよ!」

「難しい状況にもかかわらずよくやった」

「自分にもっと誇りを持っていい」

 これらは筆者がスキューバ・ダイビングを教わっている指導官からの評価やアドバイスだ。

 優れたスポーツの指導者やコーチは指導される側を鍛えるだけでなく、アスリートが精神的に強くなれるヒントを時に与えてくれる。どうすれば自信や忍耐力が育ち、恐怖や不安に押しつぶされることなく、決して諦めない強い心の持ち主になれるのか。それらの点を考慮したアドバイスは、やがてスポーツだけでなく日常生活においても長く本人に影響を与え続けることがある。

 スポーツ心理学の専門家らによると、これには理由がある。ひとつの目的に向かって計画を練り、競争し、勝敗をつけ、改善点を考えるスポーツのプロセスは、いわば日常生活の縮図でもあるからだ。また多くの人はスポーツに自発的に関わっているため、そこから何かを学ぶ姿勢が強い傾向にある。これがスポーツ指導者と指導を受ける側が特別な信頼関係で繋がる理由でもある。

 そして恐らく最も重要なのが、スポーツにおけるアドバイスはシンプルなものが多く、それでありながら即効性がある点だ。

 米オハイオ州クリーブランドにあるスポーツ心理学センターのジャック・J・レシク氏は、ゴルフを例にとって説明する。「例えばゴルフクラブを手にした状態で、少し左側にひねりを加えてスイングの軌道を調整するよう指導されたとする。それを次の打球で実践して、問題が改善される。この即効性こそが、強烈な印象を残す授業となる」

 筆者が高校時代に指導を受けた乗馬のコーチは、第二次世界大戦や朝鮮戦争などを経験した米軍の元騎兵隊員だった。生徒らに「軍曹」というあだ名で呼ばれていたコーチは、「地面を見ているとそのまま落馬することが多い。だから自分が行きたい方向に常に視線を向けるように」と指導してくれた。その金言はゴルフやスキーやサーフィンといったスポーツにも当てはまるだけでなく、筆者にとっては人生のモットーにもなっている。頭を上げ、自分のゴールに向かって目線を合わせて前進するのが大切だ、と。

 同じような貴重なアドバイスを指導者から受けたスポーツ経験者は他にもいるはずだ。色々な人に聞いてまわった結果、以下の格言集を集めることができた。

自分の役割を忘れるな

 米イリノイ州オーク・パークで福祉関係の仕事をするエイミー・ステアリン氏(53)は、数年前に乳がんを克服した後に団体ボート競技を始めた。今ではシカゴのボート協会に所属し、大会に出場するほど真剣に練習を続けているという。彼女のコーチはチームワークとチームのために個々が支えあうやり方を重視。「ボートのシートひとつひとつにはぞれぞれの役割があって、他のシートに座る人にはそれを埋めることはできない。自分のシートを忘れるな」とメンバーらにアドバイスをする。

 ステアリン氏はこの助言を受け、チームにおける個人の役割を日ごろから意識するようになったと話す。それはボート上のことだけではなく、家族との関係や職場での会議でも同じ。自分に振り当てられた役割を全力でこなし、周りの人のパフォーマンスどうこうではなくチームの一部としての自分の役目をしっかり果たすこと。「もしチームとしてうまくいっていないのなら、自分の立場から何かを改善してチームに貢献することを探す。そう考えるようになった」

勝つためにフェンシングをするな

 ジェニー・ドーシー氏(25)は十代の頃からフェンシングの選手として活躍し、国内大会や北米大会、ジュニア五輪などに出場した経験を持つ。ある重要な試合を15対14の僅差で落とした時、怒りに任せて防具を脱ぎ捨て会場の隅で泣いていたという。その時に「父親のような存在」だったコーチが近づいてきて、こう言葉をかけてくれた。

「勝つためだけにフェンシングをしていたのか、それとも純粋にフェンシングをするために競技をしていたのか。もし勝つことだけを考えていたら、絶対に勝てない」

 現在ニューヨークでシェフ兼料理コンサルタントとして働くドーシー氏は、情熱を持って何かをすること、その過程で成長すること、そしてその結果として何かを達成することの全てに意義があると悟ったという。それがなければ、例え何かを成し遂げても意味はないとさえ語る。

「フェンシングでも人生でも同じ。行程を考えずにプロセスを楽しむことなく、ゴールだけに向かっていくだけでは結果的に勝利は手にできない」と彼女は話す。

「仮にそれで結果をつかめたとしても、その勝利は空っぽなもの。物理的なトロフィーを得るためにその過程で得られる経験を無駄にしたようなものだ」

疲労などを敗因にするな

 ブラント・ジョンソン氏(50)はマサチューセッツ州ウィリアムズタウンにあるウィリアムズ・カレッジでバスケットボール選手として活躍し、その後はエキシビションチームに所属したほか、プロとして欧州で活動した経歴を持つ。ウィリアムズ・カレッジ時代の練習では休憩なしで何時間にも渡ってダッシュをさせられていたという。その時にコーチが常々口にしていたのが、「疲労などによってパフォーマンスが影響されてはいけない」という言葉だ。

「コーチはそういった練習を通して選手たちの体と心を鍛え、スタミナをつけてくれた」と話すジョンソンさん。「アスリートや個人としてやれることには限界があるけど、入念に準備すればパフォーマンスが疲れに影響されるようなことはない」と学んだという。

 現在はニューヨークで夫人と共にコミュニケーション能力のトレーニングを行う会社を経営するが、今でもその助言は忠実に守っている。投資銀行で働いた若いころも、時間をかけて常に万全の資料を上司に提出するようにしていた。金融業界から再びバスケットボールの仕事へ転職した時や現在の会社の顧客と会う時にも、事前に出来る準備は全て行っておくようにするという。

 先日、3時間のセミナーを行うためにフロリダ州に出張した際には、参加する20人の企業重役の名前とプロフィールを機内で全て暗記した。

「目の前の課題を完了させるために、今やらなければならないことは全てやる。その考えは今もまだ大切にしている」

自分に誇りを持て

 米アイオワ州シーダーラピッズに住むマイク・ザイファー氏は、地元紙に先日掲載された訃報欄を見て高校時代のバスケットボール部の恩師が亡くなったことを知った。悲しみながらもその時に思い出したのは、1964年2月のある寒いの夜の出来事。高校1年生だったザイファーさんのチームはその年は15勝1敗の成績を収めていたが、その日はイリノイ州モリーンで行われた試合を落としてしまったという。

 シーダーラピッズまでの120キロの帰途につく生徒たちが落ち込んだ顔でバスに乗り込だ時、コーチが大きな声で叫んだ。

「顔をあげろ!今日はいい試合をしていたし、最後の最後までよく頑張った。私はこれ以上ないぐらい君らのことを誇りに思う」

 現在68歳のザイファー氏はシーダーラピッズとフロリダ州のウェズレーチャペルを行き来する生活。投資アドバイザーやブローカーとして働いて定年した後、今はシャッフルボード(棒状の器具を使って円盤型の玉をコントロールするカーリングのようなスポーツ)の大会に出場するなどしている。

「ゲーム、仕事、会議、何かのプロジェクトでも常に100%の努力をすること。勝ち負けは関係なく、自分がやれることを全てやったことに誇りを持て」との恩師の言葉を今も思い出すという。

 こういった考え方は成功を手にするためにも、そして自分に自信を持つためにもとても重要だと語るザイファーさん。「過去のことを後悔し続けるのは自分の成長にとって有害な行為だ」と語る。

ネガティブな思考をコントロールしろ

 筆者はスキューバダイビングの練習を始めて3年ほどが経ち、今では上級者向けの認定試験を受けるクラスに通っている。しかしダイビング初挑戦の時はパニックに陥る経験をした。ボートから飛び込んだところでちょうど大きな波がきて、水面下に潜ったら今度はボートが筆者に圧し掛かってくるような感覚を覚えたのだ。その時、頭の中は「溺れ死んでしまう」「自分はなんて馬鹿なんだ」といった考えに一瞬で埋め尽くされた。

 幸運にもその時にインストラクターを務めていたのが、ジェームス・パッドン氏だった。常に落ち着いていてポジティブな思考を持つ彼は、筆者の目を見て「大丈夫だ」と何度も繰り返して落ち着かせてくれ、その日のダイビングを終えると改善点やミスについて話し合う場を作ってくれた。

 実はその日、ボートから飛び降りようとした瞬間に「すごく大きな波」と誰かが口にするのを筆者は耳にしていた。そしてその瞬間から頭の中がネガティブな思考に切り替わり、不安に埋もれてしまっていたと感じていた。

 その日にパッドン氏が筆者にくれた助言は、原稿の締め切り追われている時や多くの人の前で話さなくてはならない時などにも思い出すようにしている。

 ネガティブな思考が頭を横切ったら、直ちにをそれをコントロールすることが大切だ。たとえ悪い考えが急に沸いたとしても、自分は大丈夫だと自信を持つ。何をすればいいのか状況をコントロールできていると自分に言い聞かせる。そして呼吸を落ち着かせれば大丈夫だ。

By ELIZABETH BERNSTEIN



引用:人生に効くスポーツ指導者たちの格言


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大隅和雄 歴史春秋出版発行年月:2005年08月 ページ数:251, サイズ:事・辞典 ISBN:9784642079440 大隅和雄(オオスミカズオ) 1932年生まれ。東京女子大学名誉教授 神田千里(カンダチサト) 1949年生まれ。東洋大学文学部教授 季武嘉也(スエタケヨシヤ) 1954年生まれ。創価大学文学部教授 山本博文(ヤマモトヒロフミ) 1957年生まれ。東京大学史料編纂所教授 義江彰夫(ヨシエアキオ) 1943年生まれ。東京大学教養学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 古代(聖徳太子(五七四ー六二二)/藤原鎌足(六一四ー六九) ほか)/中世(法
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一流の人は○○しない。 うまくいく人がしない70の習慣/中谷彰宏【2500円以上送料無料】
価格: 1,404円 レビュー評価:0.0 レビュー数:0
著者中谷彰宏(著)出版社秀和システム発行年月2016年06月ISBN9784798046945ページ数239P9784798046945
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※この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。

●一流のすることをするよりも、一流のしないことをしない

 一流になるためには、一流がしていることをして、一流がしていないことをしなければいいのです。

 それだけです。

 「自分がしていなくて、一流がしていること」というのは、まだ気づきやすいのです。むずかしいのは、何をしていないかに気づくことです。

●一流は 記念写真を撮らない。

 一流は、写真を撮ることを忘れるくらい感動するディズニーランドで、パレードの写真を撮っている人がいます。写真を撮るのは、それだけ冷静だということです。本当に感動している時は、パレードに見入って、写真を撮るのを忘れます。

 レストランで、おいしい料理を食べる時も同じです。本当に感動している時は、「しまった。写真を撮らなくちゃ」と思った時は、すでに食べかけです。

 最初から写真を撮っている人は、料理に感動していないのです。

 情報化社会になると一流が減るのは、記念写真が増えるからです。ディズニーランドのパレードで、ミッキーを見ないでスマホの画面ばかり見ているのです。

 これではナマの感動を味わえません。

 一流は本当に楽しんでいて、写真を撮ることなど忘れているのです。

 ニューヨークに行った時にカメラを買いました。ニューヨークで買うほうが、いいカメラが安く買えるのです。そのカメラで怖い地域の写真を撮ろうと思っていました。

 よくよく考えると、怖い地域でそんなカメラを持っていたら、盗られます。結局、写真は観光地でしか撮れませんでした。本当に撮りたいところでは、写真は撮れないのです。記念写真が、いかに感動を薄めているかということです。結局、絵はがきの確認にしかならないのです。

 しかも、それはブログに載せるための写真です。

 例えば、本当に仲のいい友達とは写真を撮りません。一緒に楽しむことがメインです。

 写真を撮っている人は、あまり仲のよくない人です。仲よくないから、「写真でも撮っておかないと」ということになるのです。ブログに載せる写真は、仲よくない人との写真です。自分の撮った写真を振り返ると、仲よしとの写真はありません。

 わざわざ仲よしと写真を撮ったりしないのです。

●一流は、どこでも座らない。

 一流は、立っていても、疲れない。

 二流は、パーティーで「椅子がない」と文句を言います。とにかく席を確保して、どこででも座ろうとします。それは、しんどいからです。

 一流は姿勢がいいので、立っていても疲れません。いろいろな人に会うために、常に動きまわっています。その人のところに、いろいろな人が会いに来ます。座っているヒマはないのです。

 二流は、会いに来る人もいないし、自分から会いに行こうともしません。ただモグモグと飲み食いしているだけです。座っているにもかかわらず、どんよりした空気がたまって、疲れてきます。

 これが一流と二流との違いなのです。

●一流は、正論を言わない

 一流は、違う見方ができる。

 一流は、当たり前のことは、あえて言いません。そんなことは、言わなくても分かっているのです。

 二流は、声を大にして当たり前のことを言います。今はインターネットのおかげで、みんながブログを書くようになりました。本になって買いたくなるブログは、当たり前のことを書いていないブログです。当たり前のことを書いている本は、誰も読まないのです。

 情報化社会になればなるほど、当たり前の意見が増えていきます。情報化社会は、みんながいろんなことを言うかというと、逆です。ネット上に流れる意見は、当たり前の正論が多いのです。正論がつまらないのは、「自分は正しい。あなたは間違っている」ということで終わるからです。

 「私は間違っている。これは偏った意見です」と言えるのが、一流です。議論に勝とうとするのが二流です。

 一流は、二流とはレベルが違うので、そもそも議論にならないことが分かっているのです。

 私の講演会でも、質疑応答の時に「私は先生が間違っていると思います」と言う人がいます。その人に対して、私は「間違っています」と言います。その人は、何か議論をしたいのです。

 私は偏った1つの見方を話しているだけです。「これが正しい」とは一度も言っていません。世の中には、ありきたりな正しい意見が多いのです。

 そんな中で楽しいのは、偏った意見です。一流は人と違う見方を優先するので、正論は言わないのです。正論が本にならないのは、みんなと同じことを言ってもつまらないからです。

 マツコ・デラックスさんが面白いのは、辛口だからではありません。みんなと違う意見を言うから、面白いのです。

●一流は、「暑い」「寒い」を言わない。

 一流は、暑苦しさ、寒さを感じさせない。

 私は子どもの時に、「暑い・寒い・痛い・しんどいは言わないこと」と母親に言われていました。「暑い」「寒い」を言うと、母親に叱られます。

 そのおかげで、私は「暑い」「寒い」を言わなくなりました。

 夏場に「よくネクタイしてスーツを着ていますね。暑くないですか」と言われますが、私はまったく暑くありません。「暑い」「寒い」を言わないでいると、「暑い」「寒い」の感覚がなくなるのです。

 クラスのお金持の親友の男の子は、寒い日も半ズボンを履いていました。お金持の家の子どもは半ズボンを履いていたのです。ポケットは、手を入れないように縫いつけられていました。

 私は彼を見て、「僕も半ズボンで過ごそう」と思いました。半ズボンを履いて寒がっていたのでは、お金持や紳士に見えないので、「寒い」も言わなくなりました。

 歯医者さんに行った時は、「痛くなかったですか」と言われて、「思ったほど痛くなかったです」と答えました。起き上がると、私の背中は汗でびっしょりになっていました。それを見た歯医者さんに「ちょっとびっくりしましたね」と言われましたが、自分の中では痛さを感じていませんでした。

 これは、「暑い・寒い・痛い・しんどいを言わない。暑い、暑いと言うから暑いんやで」と母親に言われたことが、私の体の中にしみついていたからです。

「暑い」と言ったからといって、別に温度が上がるわけではありません。一方で、温度が下がるわけでもありません。ただし、雰囲気的に暑苦しさが広がります。

 誰かが扇子をバタバタとあおぎ始めた瞬間に、その場に「暑いんだな」という空気が漂うのです。一流の人は、まず扇子を半開きにします。あおぎ方はレガートで、バサバサという音を立てません。

 二流の人は、扇子を破れるぐらい目いっぱい開いて、速い回転数でバタバタとあおぎます。もともとそれほど暑くない場でも、それによって暑さを感じるようになってしまいます。

 暑苦しさ・寒さ・痛さ・しんどさを感じさせないのが、一流なのです。暑い季節、寒い季節は、チャンスですね。

(中谷彰宏)

(ITmedia エグゼクティブ)



引用:うまくいく人がしないこと


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