リオ五輪開催後に株価急落はあるのか?  | ビジネス人間学
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■8年ごとの五輪&新興国開催のリオ五輪は売り? 

 開催国ブラジルの政治経済の混乱、ジカ熱の流行、治安悪化に加え、ロシアの参加資格をめぐる協議などいろいろと騒がしくなっているなか、8月5日から21日までリオデジャネイロ五輪が開催されます。選手たちの頑張りを応援するのはもちろんですが、投資の観点では今回のオリンピックは要注意イベントです。

【写真・画像】リオ五輪開催後に株価急落はあるのか? 

 1992年バルセロナ五輪(ポンド危機、日本の不動産バブル崩壊)、2000年シドニー五輪(ITバブル崩壊)、2008年北京五輪(サブプライムバブル崩壊)と、このところ2回に1回、8年ごとのオリンピックと大型経済バブルの崩壊の年が一致しています。これは7年~10年程度の景気循環(ジュグラー循環)と8年(2回ごと)のオリンピックの周期が概ね重なっているためと推測されます。

 さらに、東京五輪(1964)、ソウル五輪(1988)、北京五輪(2008)のように急激な経済成長を遂げた国が国威発揚のためにオリンピックを開催すると、その国の経済はその後しばらく低迷すると言われています。これは新興国には大型競技場や高速道路、宿泊施設などのオリンピック開催のためのインフラが不足しているため、開催に向けて特需が発生し、それが公共投資需要を先食いしてしまうことが原因とされています。

●開催前後の株価の動き

 そこで気になるリオ五輪ですが、バブル崩壊が起きる可能性の高い8年周期に当たることに加えて、新興国での開催と悪い要素が重なっています。図1は1992年バルセロナ五輪から、1回おき(8年ごと)のオリンピック開催国の開催日の70営業日前(約3か月前)から90営業日後(約4か月後)までの各国の主要株価指数の値動きを見たものです。北京五輪で株価指数を2つ採り上げているのは、上海総合指数には外国人が自由に取引できない制約があるため、香港上場の中国本土株の指数であるハンセンH株指数との値動きの違いを見る必要があると考えたからです(結果は大差ありませんでした)。

 全体として開催日の3か月前頃からすでに株価は下落気味となり、開催日(図中赤縦線)以降はそれが加速する傾向があるようです。また、新興国開催であった北京五輪は上海総合指数・ハンセンH株指数ともに、バルセロナやシドニー五輪よりも大きく下げています。なお、バルセロナと北京五輪は、オリンピック終了後の2か月程後が大底となっていました。

 ここで興味深いのは、ブラジルの直近の株価の値動き(図中緑線)です。オリンピック開催70日前から下げていたところはバルセロナ、シドニー、北京と同じだったのですが、50日前を切った頃から反転上昇しました。もしこのまま上昇を続ければ「8年ごとのオリンピックはバブル崩壊を呼ぶ」「新興国のオリンピック開催は売り」という2つのジンクスを跳ね返すことなります。しかし、7月末時点では株価は足踏みとなっていて、ここから下げればジンクスどおりの嫌な展開です。

■デフォルト、デノミを繰り返した時期ほど悪くはないが…

 図2は、1981年からのブラジルのインフレ率の推移と主要イベントを見たものです。1983年にブラジルは対外債務不履行を宣言し(外貨建て債務デフォルト)、1986年~87年には自国通貨建て債務もデフォルトしました。この結果、1988年には年率629%、1990年には年率2948%ものハイパーインフレとなりました。これに前後して1990年3月には預金封鎖が行われ、1986年から1994年までの4回のデノミで通貨単位は2兆7500万分の1になっています(これが現在のブラジルレアルです)。

 1994年にドルペッグ制としたことでハイパーインフレは収まりました。しかし、経常赤字と財政赤字拡大への懸念に加えて、1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア危機のあおりを受けて急激な外貨流出に見舞われ、1999年には破綻一歩手前となりました(ブラジル経済危機)。この時、ブラジルはIMFと米国の支援を得て乗り切りました(隣国アルゼンチンは2002年に破綻)。しかしこの債務をIMFに返済し終わったのが2007年で、まだ10年も経過していません。ここでまず気になるのが、今回のリオ五輪後に予想される景気後退で、ブラジルがデフォルトするかどうかです。

 図3は1997年からのインフレ率と実質経済成長率の推移です。1980年代から90年代初めのハイパーインフレ時の数字と比べる小さく思えるのですが、インフレ率は2015年で9.0%と依然として高水準で、2016年も8.7%程度と予想されています。一方、実質GDPは2015年、2016年ともにマイナス3.8%で、高インフレと不景気が並存するスタグフレーションの状況です。

 1980年代から90年代初めのようなハイパーインフレではないので問題ないかというと、そうでもなさそうです。実際、1999年のブラジル経済危機時は緩やかなインフレとゼロ成長でしたし、世界金融危機(リーマンショック)直後の2009年もゼロ成長だったので、高インフレで大幅なマイナス成長の現時点はブラジル経済にとってかなり厳しい状況と言えます。

■株価と為替は既に警戒域? 

 図4はブラジルの代表的な株価指数であるボペスバ指数と、ブラジルレアル/米ドルレートの推移を見たものです。中国、ロシア、インドとともに「BRICs」ともてはやされた2000年代の株価上昇は著しく、2008年の世界金融危機(リーマンショック)時の株価の落ち込みもすぐに押し返しました(図中紫破線で囲った箇所)。しかし、2011年にコモディティの中国特需がかげりを見せ、銅価格の下落が始まった頃からブラジル株はずっと下げ基調です(図中緑線)。

 ブラジルの現在の通貨レアルも似たような値動きです。レアル高がブラジル国内で問題視されたのは2011年半ば頃までで、そこから米ドルへの資金還流もあって2016年初めまでレアルは急落しました。直近は株価・通貨ともに戻して小康状態です。しかし、2016年の実質経済成長率は2015年に続きマイナス3.8%と予想されていて、株価の調整はまだ続きそうです。

■ファットテールイベントに備えておくなら

 仮にリオ五輪後にブラジル発の大波乱があったとしても、ブラジル経済の不調は市場参加者に認識されているのでブラックスワン(発生することが想像できないイベント)ではありません。では何かと言うと、発生の可能性が高いとは言えないけれども、実際に起こった場合に相場に大きな影響を与えるファットテールイベントとなります。ブラックスワンならともかく、ファットテールイベントで大きな損失を蒙っても、それは過小評価か準備不足の結果に過ぎません。

 まず、従来のジンクスどおりになると予想するなら、8年おきの2016年で、新興国開催の今年のリオ五輪は開催後に株価が弱含みとなる可能性が高いことになります。さらにブラジルは過去に何度もデフォルトしていること、現在も1999年のブラジル危機時よりも実質経済成長でみて経済状況が悪いことも懸念材料です。この前提に立ってリオ五輪後のブラジル発のクラッシュに備えるなら、8月初めに日経平均マイナス3倍トラッカー、日経平均プットやNYダウプットを購入して株価暴落に備えておくことが有効と思われます。

 一方、かつてのブラジルの経済危機時とは異なり、現在のブラジルはハイパーインフレではなく、外貨準備も十分にあるという点を考慮すれば、国家としてのブラジルのデフォルトではなく、ブラジル企業の大型倒産、ブラジル発の金融危機が欧州金融機関に波及といった展開もありそうです。この前提であれば、日経平均マイナス3倍トラッカー、NYダウプットに加え、ドル安円高に備えて米ドルプットの買い、ユーロ安円高に備えてユーロプットの買い、金価格上昇を見込んで金プラス5倍トラッカーや金ETFの買い、ブラジル関連の日本株(新日鉄住金や三井物産など)のプットの買いなどが考えられます。FXを使うなら欧州金融機関への影響を考えて、米ドルロング・ユーロショートも有効と考えられます。

 なお、「ブラジル株はここ5年下げっぱなしで、政治も経済もこれ以上の混乱はない」「資源関連以外の農業や消費はしっかりしている」「8年おきの五輪も新興国主催も、あくまでここ数回の現象で本来は株価とは無関係なはず」と考えるなら、リオ五輪開催中に株価調整するようであれば国内外の個別株やアメリカ上場のブラジル株ADR(預託証書)を粛々と買い集めることで、強気の相場観を生かした逆張り投資が実践できるでしょう。

念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。(eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹)



引用:リオ五輪開催後に株価急落はあるのか? 


株価暴落 [ 池井戸潤 ]
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文春文庫 池井戸潤 文藝春秋織田裕二 発行年月:2007年03月 ページ数:302p サイズ:文庫 ISBN:9784167728014 池井戸潤(イケイドジュン) 1963年岐阜県生まれ。慶応義塾大学卒。98年『果つる底なき』(講談社)で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』(講談社)で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』(小学館)で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 巨大スーパー・一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価は暴落、一風堂の巨額支援要請をめぐって、白水銀行審査部の板東は企画部の二戸と対立する。一方、警視庁の野猿刑
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