現在、表具に照準を当てた展覧会が開催されています。
場所は愛知県長久手市にある名都美術館です。
<本企画のリーフレットとチケット>
表具はどちらかといえば日本画の脇役のように扱われますが、西洋画等における額装と同じように、表具あっての日本画と言えるものも少なくありません。伝統工芸そのものです。
今回の展覧会は、京都で70年もの間表具師としてこの分野をリードしてこられた山本之夫氏が企画に関わったものです。
10月8日に開会したこの展覧会は前期、後期に分かれ、11月9日からは後期でした。私は11月23日(火祝)に行きました。
会場に入ってすぐのホールに展示されているのは、フランスの画家ブルーノ・マトンによる「遠雷の朝」という抽象画で、この絵の所有者が床の間の掛け軸にしたいということで、山本氏に依頼したのだそうです。どうしてどうして、立派な掛け軸です。
<ブルーノ・マトン「雷鳴の朝」,2006>(リーフレット)
こんな鮮やかな絵もあります。
<岩田壮平「朱頂蘭」,2018>(リーフレット)
私が行った日は山本氏によるギャラリートークがあり、1時間にわたり表具の基本から実際まで、修復過程の話も入れて熱く語ってくださいました。
圧巻だったのは名都美術館が2018年に入手した鏑木清方の「露の干ぬ間」という六曲一双の屏風で、入手当時はシミや破損があり、1年かけて山本氏が修復したものです。
名都美術館の鬼頭美奈子学芸課長が「とても高額だった」と言うと、山元氏は「お金で解決できれば安いものでしょう。」と答えていました。
近代作品だけでなく、狩野山楽、与謝蕪村といった江戸時代の作品もありました。
<与謝蕪村「山家図」,1782>(リーフレット)
ギャラリートークには京都の表具師さんや、日本画壇で学ぶ若手の画家など"玄人"も参加し、私(達)のような素人も含め100名近くが"集合"し、結果的に蜜な状態を作っていました。全員マスクをし、おしゃべりはなかったのですが・・・
「ここまでのところで質問はありませんか?」と言われても、ちゃんと勉強しておらず、表具のなんたるかもこの日初めて知った私としては何を質問していいかすらわかりませんでした。
さらっと眺めてから14時のギャラリートークに参加しようということで13時頃に入館したのですが、全部で約70点の展示の半分も見ないうちに14時になってしまい、残りはギャラリートークの後で見て、結局、美術館を出たのは16時半頃でした。
基礎知識くらいは持っていかないと、その場で解説を聞いたりキャプションを読んだりしても間に合わないことに気づきました。また、絵と表具の両方を観賞するので、相当時間がかかることもわかりました。
こういった反省点は次に生かそうと思います。
この展覧会は12月5日までで、他館への巡廻はないそうです。
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