アルビレックス新潟以外に連続して同じジャンル(テーマ)の記事を書くのは本意ではないのですが、BCL史の進行が少々遅れ気味なので、今回アップしました。
ドイツ西部、フランス国境にある放送局です。
【背景】
日本では小学校の国語の教科書に取り入れられてるアフロンス・ドデの小説「最後の授業(La Dernière Classe)」でよく知られているフランスのアルザス・ロレーヌ地方に接してドイツのザールラント(Saarland)州があります。ここは第2次世界大戦後しばらくの間フランス領だったこともあり、フランス文化が残っています。ロレーヌ地方に端を発した世界3大陶磁器メーカーのひとつヴィレロイ & ボッホ(Villeroy & Boch)の本社は現在ザールラントのメトラッハにありますが、この地方ではフランス語発音の「ヴィルロヮ・エ・ボシュ(ボック)」でも通用するようです。
ドイツ製ヴィレロイ & ボッホの陶器
さしづめドイツ国内のフランスといったところでしょう。州都はザールブリュッケンです。
この地域には2つの大きな放送局がありました。ザールラント放送とヨーロッパ 1です。
ザールラントの2放送局
【ザールラント放送(Saarländischer Rundfunk,SR1)】
ザールブリュッケンにあるこの放送局はドイツ公共放送連盟(ARD)に所属していて、「ヨーロッパの波(Europawelle)」というニックネームも持っています。
FMもありますが、中波の最大出力1200KW が強力です。
番組内容は一部の地方ニュース等を除けば他のARD傘下の放送局と大差ありません。
他のARD傘下局との大きな違いは受信報告に対する受信証がドイツ語、英語だけでなく、フランス語でも書かれていることです。多分、フランスからの受信レポートが多いのでしょう。
SR1の受信証
ARDが作成した聴取可能地域早見盤によると、ヨーロッパではドイツ以外でも広い地域で、とりわけ日没後には良好に聴取できることがわかります。中国や韓国の中波放送が、特に夜間は良好に受信できるようなものでしょう。
可聴地域早見盤
【ヨーロッパ 1(Europe 1)】
この放送局は1955年に創設され、1974年までは「ヨーロッパNo.1(Europe n°1)」と言っていました。まさにヨーロッパ一番という放送局です。ドイツ国内とはいえ、場所はフランス国境のザールルイ(Saarlouis)(「ルイ」はルイ14世のルイです。)にあり、ターゲットはフランス国内の聴取者です。
ARD傘下にはない民間放送局で、フランスの放送局がドイツから送信しているという感じでした。本来ならフランス国内に局を置きたかったのでしょうが、第二次世界大戦後、フランスでは商業放送が禁止されていたため、この地からフランスに向けて送信していたのです。
パンフレット等は最初から最後までフランス語で書かれています。
ヨーロッパ 1のプログラム
長波による放送ですが、出力 2,000KW は強力でした。
この放送を聴くには長波が受信できるラジオが必要で、私は以前にも書いたサンヨーのラジカセ、M-W2Lを使っていました。
SANYO M-W2L
この放送局から送られてきた手紙を見ると、「Société Anonyme(直訳:匿名協会)」とあり、何のことかと思って調べてみたら、有限会社の一種のようです。
ヨーロッパ1からの手紙
受信報告に対してはカードを送ってくれました。受信証というには不完全ですが、フランス語、ドイツ語に混じり、中味は基本的に英語で書かれています。
ヨーロッパ1の受信証(社名がヨーロッパN°1になっているのに留意)
こんなシールも送ってくれました。キャスターの写真入りで、いかにもフランスです。
ヨーロッパ1のシール
この放送局は商業放送が認められるようになったフランスに1980年代に移転し、フランスの放送局として放送を継続していて、インターネットのサイトも充実しています。
ということで、次回はアフリカの予定です。
これまでのBCL史はこちらをご覧ください。
地域別インデックスもあります。
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