【背景】
ドイツには世界的によく知られている川がいくつかありますが、そのうちライン川はスイスに源を発し、ドイツ国境のボーデン湖を経てドイツをおおまかに南から北へ流れ、オランダへ入った後、北海に注ぎます。また、ドイツ中部を蛇行しながら東から西へ流れ、マインツでライン川と合流するマイン川は最長のライン川支流です。
ライン川とマイン川
ドイツのローカル局第4弾はそんな地域の放送局です。
【西ドイツ放送(Westdeutscher Rundfunk,WDR)】
旧西ドイツの首都、ボンの近くにあるケルンはライン川を挟んで存在し、これまでもドイツの波(Deutsche Welle,DW)、ドイツ放送(Deutschlandfunk,DLF)の拠点としても紹介してきました。
DWはそもそも国際放送ですし、DLFも第二の国際放送と言ってもよい放送局ですが、同じケルンにある西ドイツ放送(WDR)はあくまでも国内局で、ドイツ公共放送連盟(Arbeitesgemeinschaft der öffentlich-rechtlichen Rundfunkanstallen der Bundesrepubulik Deutschland,ARD)の傘下にあります。
WDRはライン川の左岸(西側)から少し離れた位置にあります。
ケルンはドイツ有数の大都市で、ノルトライン=ヴェストファーレン州にありますが、ハンブルクやブレーメン同様独立市です。日本で言えば政令指定都市というところでしょうか。
歴史的な建物としてはケルン大聖堂(Kölner Dom)がよく知られています。
ケルン大聖堂
余談ですが、オーデコロンはフランス語で eau de Cologne と綴ります。Cologne はケルンの英、仏訳で、フランス語では「コローニュ」と発音しますし、英語では「コロウン」です。いずれにせよ、eau de Cologne(ケルンの水)から推測されるように、ケルンはオーデコロンゆかりの地と言えます。
夜、ランゲンベルクの送信所から発せられる中波放送は600KW の出力を有し、国内に限らず広範囲にその波は届きます。
受信報告に対しては受信証が送られてきます。封書で送られてきたのですが、プログラム等が同封されていたかどうかは今となっては不明です。封筒も残っていません。
WDRの受信証(受信確認証,QSLカード)
【ヘッセン放送(Hessischer Rundfunk,HR)】
ヘッセン州にある独立市フランクフルトはマイン川に面し(am Main)、ヨーロッパ有数というより、世界有数のハブ空港があることで知られ、私もドイツ出張の際には利用しました。
ドイツ出張時のフランクフルト行きJAL搭乗券とパスポート(ドイツ政府は片道10 時間を超えるフライトに対しては旅行者の地位や年齢にかかわらずExecutive Class~ビジネスクラス~を用意してくれます。合理的です。)
フランクフルトには21世紀になって設立された「ラインマインTV」というケーブルテレビがあるのですが、私がBCLをやっていた頃にはそんなものはもちろんなく、あくまでも空中波による放送を聴きました。
私が聴いたのはヘッセン州の放送ということで「ヘッセン放送」とでもいうのでしょうか、「Hessischer Rundfunk(HR)」という名の放送局です。
NHKの国際放送が出力100KWの時代に国内放送で400KWですから相当に強力ですが、上のWDRと比べればやや聞こえにくかったことは確かです。
放送内容は他のARD傘下の他局と大差はありません。
この放送局も受信報告に対しては封書で受信証を送ってくれました。
HRの受信証(受信確認証,QSLカード)
【国内から世界へ】
これら2つの放送局は基本的にドイツの地方局ですが、周辺の国々でも良好に聴くことができるようです。ARDが作成した可聴地域早見盤を見ると、出力600KWでケルンというフランス国境に近い都市にあるWDRはアイルランド、英国といった文字通りの「海外」でも普通に聴くことができます。
一方、もう少しドイツ内部にあり、出力もWDRと比べるとやや小さいHRを聴くことのできる「外国」はイタリア、スイス、オーストリアといったすぐ隣の国だけのようです。
より離れた地域でも実際には両局とも受信可能ですが、国内放送並みとはいかないでしょう。
それにしても、国外からの受信報告も想定してか両局とも受信証はドイツ語、英語の2言語で書かれていました。思いおこせば、日本のニッポン放送や毎日放送、大阪放送、RKB毎日放送といった出力の大きな商業放送局でも受信証に英語を使っていました。
ドイツ国内局はまだ続きます。
これまでのBCL史はここにありますのでご利用ください。
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