前回のブログ「痙縮について」の続きです。
痙縮に対するリハビリ治療について書いていきます。
本当にさまざまなリハビリ治療法がありますが、最近の私のオススメ治療をご紹介したいと思います
まずは、電気刺激治療です。
オススメの低周波治療器を先にご紹介します
iStim TENS EV-820
iStim EV-804
イトー ESPURGE(エスパージ)
トリオ300
などがオススメです。
下の写真では
iStim EV-804と電極グローブと電極パッドを併用して使っています。
電極グローブは以下の製品を使用しています👇
そして、低周波治療の実際についてですが…
例えば、手指の伸展を妨げる手指屈筋の痙縮をやわらげる場合について書いていきます。
TENSのコンスタントモード、100Hz、250〜300μs、30分で、電流(mA)の強さを痛みの極力出ない範囲で設定して、グローブをはめてもらい、パッドを貼って通電します(数値の設定は、患者さんの状態を見ながら調節しています)。
電極グローブを手指が屈曲してしまい、うまくはめることが出来ない場合は…
電極グローブではなくて電極パッドに変えて、以下の写真のように貼ってみるやり方が良いかと思います。
以下の写真では、手指の伸筋側(痙縮筋の拮抗筋)にパッドを貼っており、手指屈筋の痙縮に対する相反抑制をねらっています(相反抑制に関しては、あとで説明します)。この写真で使用している本体は、トリオ300です。
そしてそして…
EMS機器もオススメです
ルルドスタイルEMSシート
従来はシート形状で使用するものを丸めた状態にして、手のひらに入れて、中周波〜高周波設定で、強さは痛みの極力出ない範囲で通電します。
シックスパッド ハンドパルス
従来は手の内在筋をトレーニングする機器ですが、痙縮をやわらげる際にも使えます。強さの設定は痛みの極力出ない範囲で通電します。
EMS機器を使った痙縮に対するアプローチは、簡便に使えることもあって、自主トレとして使ってもらうことが多いです。
そして、また低周波治療の話に戻ります…
通電をただするだけでなく、通電しながら手指伸筋(痙縮筋の拮抗筋)の運動を促通して、手指屈筋の痙縮をやわらげていきます。
ということで、
ここからは、痙縮をやわらげていくためのリハビリ手技についても併せて記載していきます
まず、痙縮をやわらげていくために、痙縮筋の反対側の拮抗筋の収縮を促通していきます。
生理学的に言うと、相反抑制(Ⅰa抑制、拮抗筋抑制)を利用した運動になります。
すなわち、手指の屈筋が痙縮で緊張している場合、その拮抗筋である手指の伸筋に収縮を入れることで、屈筋の緊張が抑制されてゆるむという生理学的メカニズム(相反抑制)を利用するのです。
拮抗筋の運動は、同じ可動範囲で、同じ力加減で、同じリズムで行っていきます。屈筋の痙縮が出てこないようにしながら手指伸筋の筋活動を促していき、その神経回路を強化し、同時に相反抑制も利用して、痙縮筋(手指屈筋)に抑制をかけていきます。
出典:片麻痺回復のための運動療法
また、必要に応じて、手指の屈筋の緊張がゆるむポジション(手指の伸筋が働きやすいポジション)を探すということも行います。
例えば、PNF運動パターンでいう伸展-外転-内旋パターンや屈曲-外転-外旋パターンの終了肢位に持っていき、その終了肢位のところで手指の屈筋の緊張がゆるみやすいかをまず評価します。
そして、その肢位で屈筋がゆるめば、その肢位のところで手指の伸筋を使った伸展運動を促通するといった感じで行います。
今回のやり方は、PNFの上肢運動パターンの開始肢位から終了肢位までの全体を促通する流れの中で手指の伸展運動を行うというやり方ではありませんので、ご注意ください
伸展-外転-内旋パターンの終了肢位
屈曲-外転-外旋パターンの終了肢位
出典:PNFマニュアル
そして、電気刺激が終わった後の痙縮が落ち着いたところでも、手指伸展の反復運動を継続して行います。
その前に行っておく操作としては、電極グローブや電極パッドを外している状態なので、痙縮で緊張している手指屈筋の拮抗筋である伸筋に対して徒手的にやわらげる操作を積極的に行います。
この操作は、痙縮筋の拮抗筋に短縮や癒着や血流不全がある場合、その状態を改善させておかないと、拮抗筋が動かしにくくなり、結果的に痙縮筋に対する相反抑制が効きにくくなるので必要に応じて行った方が良い操作です。
そして、反復運動だけでなく、ペットボトルなどの物品を使った手指のつまみ動作や掴み動作などの作業療法を行い、手指の屈筋・伸筋両方の協調的、実用的な動きを促していきます。
作業療法に関しては、極力痙縮が出現しないような課題の設定と環境の設定を行いながら、ペットボトルならペットボトルの動作を細分化して、実施していきます。
大前提として、痙縮は麻痺を伴うことがほとんどです。
そのため、痙縮筋自体の麻痺の状態を整えることも痙縮の改善には必要ですし、拮抗筋の麻痺の改善も行い、手指屈筋・伸筋両方のトータルバランスを整えて、生理学的な抑制機構も利用してと、合わせ技でアプローチしていくという形で行います。
全般を通してですが、痙縮の感覚面、運動面のフィードバックをしていくこと、すなわち脳の中の身体イメージを変えていく作業は絶えず意識してもらい、それが自動化出来ることを目指して行っていきます…
少し長くなりそうですので、今回は、ここら辺までにしておきます
次回、痙縮についてPart3で、リハビリ治療の残りの部分を書いていきます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。適応となる方の参考になれば幸いです
マヒ回復リハビリ教室きゃっちぼーる
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