最高の芸術の瞬間 | いつも木端微塵

いつも木端微塵

ギタリスト:テリー木端の日記。この日記は、フィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
音楽的影響:King Crimson,XTC,Japan,Joy Division,The Blue Nile,
The Smiths,Morrissey ギターは、Tokai SEBレスポール木端モデル。

真冬だった。雪も降った。

体はびしょびしょで、凍えた。

 

古めかしーボディチェックだって潜り抜ける達人だった。

昔のドラマとかであるでしょ、やたら体を触るやつ。

今だと、ただのセクハラだ。

 

そんなところに、録音用のMDを隠していたのか!

スマホなんて存在しないからね!

 

人には言えないが。

 

それは、別として、ある夜、

偉大な芸術が生み出されようとしていた。

一番偉大だったのは、はっきり言うと俺だ。

 

あの状況下でぐっとこらえた。耐えた。

周りは、歌っているのにぐっと我慢して歌わなかった。

やった!ついに最高の芸術作品の完成だ!

 

すべてが終わってからホテルに戻って聞きなおすと

音は割れて、MDは、途中で止まっていた。

と言うように物事は上手く行かない。

 

当時、若くてお金もなかったよ。

 

石油ストーブの上のヤカンでお湯を沸かして

カップラーメンを食べて、貯金して、海外に行った。

 

海外では、観光なんてしなかった。

一途だった。

いまだに、観光に行く連中には、I wish you lonelyと言うことにしている。

 

そして、あんなことをしていた。

 

なぜ、あの時、あんなに幸せだったんだろう。

当時は、何も考えず打ち込んでいた。

この瞬間にすべてが終わって、

すべてが犠牲になっても良いぐらいの勢いがあった。

全身全霊をかけてやっていた。

 

今ダメなのは、観客もそうじゃないし、本人もそうじゃないし、

リア充な人が増えすぎたことによる堕落だな。