明日が初めてだったら | いつも木端微塵

いつも木端微塵

ギタリスト:テリー木端の日記。この日記は、フィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
音楽的影響:King Crimson,XTC,Japan,Joy Division,The Blue Nile,
The Smiths,Morrissey ギターは、Tokai SEBレスポール木端モデル。

ここに初めて来た頃、

まわりにいる人は、皆自分よりすごい人に思えて

毎日、余裕が無くて必死だった。


使えない奴、実力がない奴と思われたくなかった。


何を言われても、「はい、がんばります」

と言っていた。


難しい実技試験にも合格した。

試用期間中だった。歴史的に試用期間中に

合格した人間はその後一人もいない。


とても、とても良い経験がいろいろできた。

何かを学ぶというのとは違った。

自分で努力して覚えているという感じが強かった。

感覚的にはそうだった。


しかし、経験と言う意味では学ぶことは多かった。


すばらしい人たちに出会えた。ひどい人たちにも出会えた。

感動すること、感心することもたくさんあった。

憂鬱になること、怒りでいっぱいになることもたくさんあった。

冗談を言って笑ったり、助け合ったり、

大ゲンカしたり、問題を起こしたりした。


そして長い年月が過ぎた。


みんなが腐っていくようなものに憤りを覚える。

怒りがこみ上げてくる。


でも、明日がここに来る初めての日だったら

そんなこと感じない。そんなことわからない。

自分のことが精一杯で、お金をもらうことがまず大事で

他のことなんでどうでもいい。


仕事を覚えることや経験を積むことが大事で

今感じていることなど感じない。


これはこれで健康的なのかもしれない。


明日が初めての日だったら、

実はこれが、私の人生で抱えてきた、起してきた問題のほとんど

に起因するのだ。そして、それをまざまざと実感する。

愛着が増せば増すほど、怒りも大きくなる。


明日一揆を起こして追放されるとしても、

ここに来たことは、人生の選択で正解だった。


とても醜悪で嫌なこともたくさんあった。


それでも、良い経験があった。

私にとってはすばらしかった。

だから十分満足だ。


でも、明日初めてここに来た人が、

何年後かに、同じようにそう思うのかはわからない。

思わないような気がする。


そして、今日ここで書いていることは、

どうでもいいことである。