赤い鳥の巣〜前編〜 | その日ばかりの野鳥観察

その日ばかりの野鳥観察

山あり海あり川ありの自然に恵まれた新潟県中越地方で、野鳥を観察しています。
出会った野鳥を、気ままに紹介したいと思います。

今回は、普段とは異なります。

画像のアップを控える事にしました。

紹介する野鳥が営巣中であったからです。

今回の目的を改めて考えました。

伝えたかったのは画像ではありません。

 

『アカショウビンが営巣を放棄した』

 

その出来事です。

そのため、ブログを編集し直しました。

私の認識が拙い事をお詫びします。

 

 

 

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日時を少し遡ります。

令和6年6月1日の事でした。

今年こそはアカショウビンを観たい。

そう意気込んでいた頃の話です。

早朝から、繁殖地で姿を探しますが…

遠くに聴こえる鳴き声のみでした。

 

 

 

気分転換を兼ねて、ブッポウソウの場所へ。

そこは、毎年のように飛来する場所でした。

野鳥保護のため、ルールが定められています。

安心して観察出来る場所でした。

 

 

 

現地に到着して直ぐに違和感が。。。

普段に比べて、撮影者が少ないのです。

雑談の中、赤い鳥が居ると聞きました。

多くの方が、そちらに向かったそうです。

 

「全然現れないから、私は諦めてね…」

 

教えてくれた方は苦笑いをしました。

もともと当てはありません。

駄目で元々、です。

その場に行ってみる事にしました。

 

 

 

十数人の撮影者が集まっていました。

挨拶をして、その後方に加わります。

皆さんの会話に耳を傾けました。

キツツキの巣に営巣したのだそうです。

数日前、鳴き声から偶然見つけたのだとか。

 

「見つけた時は2人だけだったけどね」

「隠れてたけど、別の人に見つかって…」

 

現場の口コミで広がってしまったそうです。

申し訳無いと思いつつ、誘惑に勝てません。

皆さんと一緒に待機しました。

 

 

 

巣までの距離は40m程でしょうか…

人通りの少ない山道でした。

2回だけ、地元の方が車で通行します。

三脚の方もいましたが、直ぐに退きました。

皆で運転手さんに謝罪と挨拶をします。

高齢の男性は笑顔で応じてくれました。

山仕事か畑仕事だったようです。

 

 

 

待てども、動きがありません。

サシバが上空を飛び、ヒヨドリが横切ります。

 

「最後に見たのは3時間前だよ」

「本当に居るのか?」

「中に入ってはいないんじゃ?」

 

撮影者達は、不安気に囁き合いました。

しかし、誰一人としてその場を去りません。

やはり、ひと目見たいのでしょう。

私も同じ気持ちでした。

 

 

 

出現は唐突でした。

一瞬、巣穴から燈色の嘴が見えます。

合図無しに巣から飛び立ちました。

あっという間の出来事です。

その行動を、意外に思いました。

 

①まずは交代する個体が来る。

②巣の前で鳴いて合図する。

③鳴き声に気付いた個体が出てくる。

④鳴いて合図した個体が巣に入る。

 

通常はこんな段取りの筈だからです。

これは、その場の方々に教えて頂きました。

 

 

 

その後、何度か姿を現してくれます。

巣の中で交代した事もありました。

聞いていた方法とはやや違いましたが…

様々な交代のパターンがあるのでしょう。

初めてなので、全てが貴重な体験でした。

 

「こんなに観察しやすい巣はないよ」

「アカショウビンにブッポウソウ、贅沢…」

「ツアー会社のバスが来るかも」

「不法駐車で警察騒ぎになるかもな」

「ここじゃ、営巣を放棄するかも…」

 

皆、喜びとともに心配もしました。

まずは口外しない事が重要です。

尤も、私も現地で教えて頂いた身でした。

あまり偉そうな事は言えません。

 

 

 

結果、私は誰にも教えませんでした。

連絡を取り合う知人も殆どいません。

雛が無事に巣立つ事を願いました。

 

…次回に続きます。