5月10日の事です。
いつものように、市内の自然公園に散策に出かけました。
園内の小さな池では、苔むした岩に泡状の物体がついていました。
モリアオガエルの卵です。
モリアオガエルは、水面に面した岩や木の枝に産卵します。
毎年必ずこの卵塊を見かけますが、産卵シーンは見た事がありません。
いつみても、不思議な習性だと思います。
公園の広場では、スズメが桜の傍で芋虫を捕っていました。
すぐに飲み込まず、何度も嘴で咥え直しながら、肉塊に変えていました。
もしかすると、雛に給餌するためのなのかもしれません。
林の辺縁で、聞きなれない囀りを耳にしました。
「ピピピ、チュー、チョチョチョ」
いったいどんな鳥が鳴いているのだろうと、しばらく探してみます。
しばらくして、鳴き声の主を見つけました。
最初は黄色味が鈍いキビタキ♂だなと思いました。
しかし、頭部に光が当たり、誤りに気付きました。
ムギマキ♂です。
ムギマキは、キビタキによく似た鳥ですが、眉の部分が白いのが特徴です。
夏鳥のキビタキに対して、ムギマキは春と秋の渡りの時期にしか会えない稀な野鳥です。
毎年の秋に、ムギマキに会うために有名探鳥地に行きますが、いつも会えるとは限りません。
そんなムギマキを、初めて地元で観察する事が出来ました。
確認できたのは1羽だけでしたが、それでも十分です。
秋には聞く事の出来なかった囀りまで、初めて耳にすることが出来ました。
ムギマキが繁殖するのは、日本よりも北方のはずです。
♂が囀る理由は分かりませんが、貴重な経験でした。
同じ公園内で、キビタキの囀りも耳にしました。
ムギマキに負けじと、大きな声で囀っています。
鮮やかな黄色のキビタキと、落ち着いた黄色のムギマキ。
どちらも美しい鳥でした。