『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤 義典)の中で著者は
TDRには「対価を受け取る仕組み」が多数存在する。事実、アトラクションやショー、物販店、飲食店の数は、それぞれほぼ30強ずつだ。つまり、アトラクションは全施設の1/3で、残りの2/3は物販と飲食店なのだ。こうなるとTDRは「テーマパーク」というより、巨大なショッピングセンターだといえるだろう。
と述べています。
ディズニーランドから帰る人の手には、たいてい紙袋がぶら下がっています。ぬいぐるみ、お菓子の缶、カチューシャ。「そんなに買うつもりはなかったのに」と言いながら、みんな笑っています。
あの場所で財布のひもがゆるむのは、値段を忘れているからではありません。買っているものが、商品ではないからです。
パレードを見た興奮の続きとして、ぬいぐるみを抱える。並んだ時間を分かち合った記念に、同じお菓子を選ぶ。人が持ち帰っているのは、モノではなく、その日一日の記憶なのだと思います。
数字を見れば、アトラクションは全体の3分の1にすぎません。残りの3分の2は、物販と飲食。冷静に眺めれば、確かに巨大なショッピングセンターです。それでも誰も、そこで「買い物をさせられた」とは感じない。
ドリルではなく、穴を売る。TDRが売っているのは、アトラクションでも土産物でもなく、「今日は特別な一日だった」という実感なのでしょう。
だからこそ、人は何度でもあの場所に帰っていくのだと思います。


