『世界一楽しい決算書の読み方』(大手町のランダムウォーカー)の中で著者は
「赤字が続くと、行きつく先は倒産」と言う先入観があり、赤字はネガティブなイメージを持たれがちです。
ただ、赤字が倒産につながると言うのは、実は少し違います。
赤字だから倒産するのではなくて、企業は現金が払えなくなったために倒産するのです。
と述べています。
本書で語られている「赤字=倒産ではない」という指摘は、決算書の知識というよりも、現実の社会や仕事を見てきた人ほど強くうなずける話だと感じました。
私たちはどうしても「黒字=安心、赤字=危険」と単純に考えがちですが、企業の生死を分けるのは、もっと生々しい「現金が回っているかどうか」という一点です。
実際、仕事を続ける中で感じるのは、数字がきれいに見える会社ほど、必ずしも余裕があるとは限らないということです。
利益は出ていても支払いが先に集中すれば苦しくなる。一方で、一時的に赤字でも、手元資金に余裕があれば次の一手を打つことができる。この違いは、損益計算書だけを眺めていては見えてきません。
著者の言葉は、「決算書を勉強する目的」を思い出させてくれます。それは知識を増やすことではなく、現実を誤って判断しないための目を養うことなのだと思います。赤字という言葉に必要以上に怯えるのではなく、その背景にある資金の流れを冷静に見ること。そこに気づくだけで、会社の見え方も、経済ニュースの受け止め方も大きく変わってきます。
決算書は、特別な人のためのものではなく、働く一人ひとりが「世の中の仕組み」を理解するための道具です。本書のこの一文は、その入口に立つための、とても実践的なメッセージだと感じました。
