『採用基準 地頭より論理思考より大切なもの』(伊賀 泰代)の中で著者は
リーダーになるために、神がかったカリスマ性や生まれながらの卓越した能力、溢れるような人間的魅力が不可欠と言うわけではありません。
リーダーとは何をすべきなのか、そのためにどう振る舞うべきかを理解し、小さな場面でそれらを体験して成功体験を積み重ねることにより、ごく普通の人がリーダーとして活躍できるようになるのです。
と述べています。
著者のこの一文は、「リーダー=特別な人」という思い込みを静かに崩してくれます。
私たちはどこかで、リーダーとは生まれつき人を惹きつける力を持ち、圧倒的な能力や存在感を備えた人物だと考えがちです。けれども著者は、そうした“才能神話”を否定します。リーダーとは資質ではなく、役割であり、行動であり、習慣の積み重ねなのだと。
「何をすべきかを理解し、小さな場面で実践する」という言葉は、とても現実的です。大きな決断や劇的な変革よりも、日々の会議で方向性を示すこと、困っている人に声をかけること、責任を引き受けること。そうした小さな場面の積み重ねこそが、周囲からの信頼を形づくります。
実際の職場を見ていても、必ずしも声が大きい人や目立つ人がリーダーになるわけではありません。むしろ、自分の役割を理解し、周囲のために一歩前に出る人が、自然と中心になっていくことが多いように感じます。リーダーとは「選ばれる存在」というより、「行動によって結果的にそうなる存在」なのかもしれません。
この考え方は、年齢や立場に関係なく希望を与えてくれます。今いる場所で、小さくても責任を引き受ける。その経験を重ねることが、やがて自分自身の器を広げていく。
私自身、振り返れば、大きな肩書きを得た瞬間よりも、目の前の役割に向き合い続けた時間のほうが、結果として周囲との信頼を築いていたように思います。特別な能力があったわけではなく、「その場で何をすべきか」を考え続けただけでした。
リーダーとは、生まれ持った才能ではなく、日々の選択の積み重ねである。そう考えると、誰にでもその可能性は開かれているのだと感じさせてくれる一節でした。




