前回の記事は、こちら─、
『 見た目の仕事の華やかさと、業界内でのヒエラルキーとは反比例!? 』
ソフトウェア業界のヒエラルキーにおいて、
さらに、その下に階層に棲息しているのが、
いわゆる─、
ネットワークエンジニアと呼ばれる人たちである。
彼らの仕事は、文字通り、
ネットワークを専門としたもので、
その内容は、主にネットワークの、
構築、運用、保守、といったものになってくる。
一部、通信関連モジュールのシステム開発に、
携わることもあるが、
大方は、何らかの既存のツールを用いた、
ネットワークの管理が、その主な仕事となる。
そして─、
サイバーセキュリティの分野も、
この階層にカテゴライズされることになる。
サイバーセキュリティにおいては、
技術は一つの要素でしかない。
リアルな脅威は技術以外のところから発生することの方が
はるかに多いのだ。
(中略)
ほとんどのシステム屋は、サイバーセキュリティは
技術のかたまりだと思っている。
そのあがりに、日本のサイバーセキュリティレベルの
低さが良く出ている。
例えば、世界的に流行したウィルス、スパイウェアだって
技術的に高度なものばかりではない。
巧みに人の心理の裏をかいたようなものや、いちはやく
最新のセキュリティーホールを利用したものの方が多い。
サイバーセキュリティの本質は技術ではない。
『 檻の中の少女 』( 一田和樹 ) より
この作品の著者は、元サイバーセキュリティの、
専門家というプロフィールを持つ人物で、
それだけに─、
極めて例外的に「 技術的ディテールの正確 」な、
サイバーセキュリティ小説である。
"リアルしばり"、すなわち「 現時点で実現可能な技術 」
という制約の中で、面白いサイバー小説を書くことに、
著者は成功している。
『 ScanNetSecurity ブックレビュー 』より
http://scan.netsecurity.ne.jp/article/2013/03/14/31230.html
との評価もあり、最近になって遅ればせながら、
拝読した次第である。
また─、
技術屋に対する、微妙に屈折した心理なども、
巧みに描かれていて、興味深い。
もちろん─、
どんな分野でも追及すれば、
上には上が、奥には奥が存在する。
しかし─、
その一方で、どんな業界にも、歴然とした、
ヒエラルキーが存在することもまた事実である。
これは─、
決して、業界内の "偉い人" たちが、
勝手に決めた序列などではなく、
その仕事の難易度を多少なりとも理解する者ならば、
誰もが納得せざるを得ない、共通認識と言える。
もちろん─、
ビジネスにおける判断基準は、
あくまでも市場であり、
それが、市場において、
魅力的に受け入れられるのなら、
それを開発するのに要した、
技術的難易度など、何の意味も持たない。
しかし─、
ここで留意すべきことは…、
( 次回へつづく... )
『 これから IT 業界に進もうと考えている若者たちにサイバーセキュリティの分野をすすめるか? 』